エルフを召喚。
ゲートのつながった先はフウガだった。
西の国フウガ。世界で一番の人間と亜人種の兵隊が居る、その中心。
魔法を研究するのに十分とは言えなくとも、真似をするのには十分だったらしく、魔法陣の真ん中に突然現れたレッドとヒュートレッド。
迎えるのはミカドであったが、目を丸くしていた。
「ヒュートレッド様にエルダーナ様、レッドは何処へ。」
久しぶりの帰還だった。凱旋位しても良い気がしたが、ビビアンが居ないのが気になった。
「レッドか。奴は、死んだよ。」と、レッドが言う。
一旦、目を細めてヒュートレッドがミカドに説明を始めるが、そんな暇はない。
ドラゴンを送り込まれる前にビビアンを殺さなくては、とレッドが言う。
何よりもドラゴンを恐れている様子だったが、ミカドはすぐに答えた。
「では、この魔法陣から部隊を送り込みます。」
「理解が早くて助かる所だが、その部隊ってのは誰の事だ。」
「ゴブリンのファイターを手配します。」
「だから、そのゴブリンは誰の事だ。」
「レッドではない誰かです。」と、そういってミカドは微笑む。
バレた。本能的に察知して、レッドは逃げ出した。
逃げた先の部屋にブルーブレスが居た。
再開は久しぶりだが、喜ばしくはない。
「エルダーナ様。」と、言うので装いを改める。
やはり目を丸くしている。
「そんなに珍しいか。」とエルダーナの振りをしてみる。
だから、そんな暇はないのだけど、相手はブルーブレスだ。発作的に何をするのかある意味ドラゴン以上に怖い気がして気取られるのを嫌った。
「ええ、珍しいですね。貴方が部屋に飛び込んでくるのは。」と、ブルーブレスは勘ぐった。生意気に。
「部隊を早急に手配して欲しいのだ。」
「では、まずミカド様に話を通して頂きたい。」
「そういう事務的な手続きも含めて君にやって欲しい。出来るだけ強い部隊を頼む。」
「ゴブリンのファイターとなりますが、お連れになりますか。」
ゴブリンが強いというのはくすぐったい感じがするが、ミカドやブルーブレスが推奨するくらいだから嘘ではないのだろう。
「私も帰ったばかりだ、連れはしない。」が、事は早急を要する。気取られない様に事を運ぼうとするが、部屋にミカドの遣いが入って来た。
ノックもせずに無礼な奴め。と、罵ったら、貴方もでしょう。とブルーブレスの冷遇を受ける。
結果的に、ビビアンがドラゴンをフウガに寄越す事は無かった。
ドタバタしたが、レッドがエルダーナに入れ替わった事に対しては何も言われなかった。それはそれで寂しい気がしたから、それとなく謝った。
訊けば、最初からある程度の予想がついたという。
掌の上で転がされてる感じが嫌じゃないのは何かしら不安になる所だが、出で立ちというか、持っている空気というか、とにかく最初の方からなんとなくレッドに似ているとかそういう事らしく、ヒュートレッドの説明を受けた後もそこまで驚きはしなかったという。
寧ろ、何故そんな危険な賭けに出たのかが分からないと困惑するが、エルダーナが用済みになったと答えて置いた。ただ、驚いたのはそこではなく、ヒュートレッドに背中を預ける方がどうかしていると指摘された。が、そこは言わないのが吉。と言う事で話してない。
逆に魔法陣の事を訊いた。
報告はしたものの真似できるものでは無いだろうと、突っかかった。
報告が上がれば調べるのは当然と答えが返るが説明になってない。マナとかオドとかの概念はどうやって乗り越えたのかと訊いた。
乗り越えては居なかった。というのが、答えだった。
つまり、本当にただ真似をしただけで、レッドとヒュートレッドが飛び出て来たという。
新技術発見の現場に際してあれだけの反応だったのかと、この女の空恐ろしさが身に染みた気がする。
模倣から生まれるものもあるのはよくある事だ。頭を切り替える事にして、次の任務の話をする。
暫く休めとの回答だったのは、以外だった。
其処を重点的に聞き出そうとすると、ヒュートレッドが割って入る。
「まるでコイビト。」との事。
なんとなく否定も肯定もしたくない気分だったから適当にあしらう。
「嫉妬か。」2連撃は強烈だと身に染みてわかった。
何故攻撃されたのかは分からないが、とにかく話が折れた。それ以上に骨が折れるというのがこうも文字通りだと休養も止む無しだ。




