ゴブリン、三度エルフの里へ。6
エルダーナの本体は無事だった。
そして、手続きも無事終わり、それこそ無事に冒険者を辞めることが出来た。
めでたしめでたし。とは行かないまでもエルダーナの不安は取り除くことが出来た。
その矢先の事。
レッドが顔を出したのは、そこだった。
冒険者の本体保管庫の奥の間。
仮面を外して気軽に挨拶なんかして来るゴブリンの手には、エルフの、住人の、胴体から切り離された、首。頭と言った方が伝わるかもしれない。
これを見ると、エルダーナは、エルフは激怒した。
「光よ。」
「魔法結晶よ。」
「我に力を。」
「砕けよ。」
言い終えるのは同時だった。しかし、剣はゴブリンを貫き、炎が傷口を焼いた。
肉の焦げる匂いがした。
攻撃するのはヒュートレッドも同じだ。
エルダーナは、その剣戟に倒れた。
地に伏すゴブリンに問いかける。
「このまま頭蓋を砕くことも出来ます。」
「しねえよ。お前は俺に。」負けている。だから約束を違える事は無い。そう言いかけて暗転した。
目を覚ますとゴブリンの姿があった。
手足を切り落とされて縛ってあるそれが、自分だと認識するまでに時間が掛かった。
「ここまでするかね。」
「女と学者の腕力では手足が邪魔でした。」とヒュートレッド。
レッドは生まれ変わったのだ。
新たな主人公として、冒険者としての、新たなエルダーナとして。
奪ったのだ。エルダーナの捨てた冒険者という肩書を。
そして、ゴブリンはエルフとなった。
ビビアンは言う。
「私に死ね。と、言ったあの言葉は、どうなる。」恐れている。レッドを、ヒュートレッドを。口調は歌い上げるものでは無く、いつしか自然なものを、失礼のない口調を選別していた。
「まず、それと。」レッドはニヒルに笑う。
「殺すな。私は役に立つ。」
「役に立つ内は殺さねえ。」
剣を握り握力を、剣の重みを確かめ、やはりナイフを拾い上げる。
「そっちの方が似合います。」ヒュートレッドが言うと、肯いて、剣をヒュートレッドに投げ渡す。
ヒュートレッドは、一応は手にするがやはりしっくりこない感じがした。
「そうじゃねえよ。」と、左手を開け閉めするレッドの言う通りにして、2本目を左手で持ちやすい所に帯剣した。
装備としては重くなるが、一瞬で2回の連撃が出来る方が強いと認めた。
「エルフを殺した。」言いながら、ビビアンを見た。
ビビアンは何と答えようかと模索するが答えが見つからない。
「罪人は王に会えるのか。」
「会える。」ビビアンは笑った。私が居るからな。とそういうのだ。




