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ゴブリン、三度エルフの里へ。5


 王を誹る事。それがレッドの言いだした方法という奴だった。

 それが如何して死ねにつながるのかはさて置いて、王政国家において王を誹る事なる程、国家転覆を謀る賊軍の考えそうな事である。

 それにはまず何をするのか、具体的な事の一つに冒険者の皆殺しを提案し、レッドは待つことにした。

 つまり今のメンバーはエルダーナとヒュートレッド、そしてビビアンの三人だ。

 ビビアンは科学と魔法両方に長けたエルフで、冒険者制御等までは一緒にいてくれることになった。


 冒険者制御等とは、その名の通り冒険者を制御する施設となるが、その行動までは制御しない。いうなれば本体保管庫だ。


 其処へ三人で向かう意味は特にないように思えると反論をして見たが、レッドが言うにはゴブリンが行くよりもエルフ三人の方が融通が利くのだ、という。

 別に一人で行ってもよかったのだが、というのはビビアンだったが、問題になるのはエルダーナの生死だ。

 エルダーナはついて来る事は決まる。そしてヒュートレッドは単にボディーガードだ。

 確かに強いから採用したが、レッドはどうするのかと言えば、ゲートのところへ先に行くという。

 一番近くのゲートは表はダンジョン、裏はドラゴンという、活路のないゲートだから納得した。

「それではしばしのお別れだ。」とビビアン。相変わらず舞台俳優の様な口調で一気に読み上げる。


 一方レッドはというと、そこがエルフの里でないことを看破していた。

 エルフの里というよりエルフの前線基地。そんな風に解釈して集落の外に向かう。

 目的地は人だ。エルフだ。名前のないエルフを探すのだ。

 名前のあるエルフは何かしらの事情もセットで持ち込みやすいが、名前のないエルフは現状のみを把握しやすい。仲間に引き入れたり、連れまわされたり、連れだしたり、しなくて済む。そういう考えが、レッドにある。

 そしてそれは、ほぼ正解だった。

 つまり、エルフ達と別れて、ゴブリンだけでエルフの一般人に会うというのは、正解だった。

 もしもそこにヒュートレッドをはじめとしたエルフが居たなら、今後のストーリーに支障が出るところだったのだ。

 ドアをたたくとエルフが顔を出す。

 エルフは景気の悪そうな顔をしている。名前のないエルフなってのは大体が景気が悪いのだから仕方がないが、レッドは言う。

「景気はどうだい。」

「新入りか。」と、エルフ。

 やはりここは前線基地の様な集落の様で、顔さえ隠せば、というより、顔を隠していても不審がられる事のない住民性だ。おまけにこのセリフ。「新入りか。」だ。これは、住人の入れ替わりが激しい事を意味する。

「だから、景気だよ、オッサン。」とレッドは一見無視した様に続ける。

「景気のいい話はねえな。」とエルフ。

 「オッサン。」という語尾に無反応という事でわりに妙齢だと分かる。ついでに景気のいい話がないとの回答で、一般のエルフよりは金回りが良い事は分かる。

 武闘派の物腰から想像するに兵士か、警察、下手をしたら冒険者候補生といった感じだろう。

「そうかい。ところで冒険者にはどうやったら成れるのか知らねえかい。」

 レッドは一番厄介な回答からつぶしに掛かる。

「冒険者になりたいのか。変わるもんだな。お前。」

「だから、知ってるのか、知らないのか、だ。」

「アカデミーだよ。学校だ。そこでいい成績とれば冒険者になれるらしいが、金持ちのボンボンくらいしかいねえのが現状だな。」

「道理で冒険者といい、学者といい、変な奴ばっかりだと思った。」

 相手に合わせる回答だが内心は穏やかだ。何せこれで、イケる。

「名前持ちの知り合いでもいるのか。」

 とうとう気を許したエルフは、これにて幕。

「知り合いって程じゃねえ。」

 言いながらレッドは、その名の通りに赤く染まった。



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