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ゴブリン、三度エルフの里へ。4


 ゲートを抜けるとそこは牢屋だった。

 牢屋だ、牢屋。ついにここまで来たか嘆息するもよくよく思い返せばヒュートレッドとの出会いが牢屋なのでそこまで落ち込むことも無かった。

 そもそも、人間サイズの牢ではない。明らかに大きい。なので簡単に牢を抜けることが出来た。

 明かりは心許ないが、そこは魔法の剣の見せ場だ。火を吹く魔剣の出番だ。明かりをともす事も出来たからそれを採用して、奥へと進む。いや、すでに奥からなのでそこから出ることを考えて進む。

 出口を見つけるまでは眠れないとかいろいろ考えたり、口論したり、本当に長い間このダンジョンに悩まされたがようやく出口を見つける。勿論人間サイズの出口だ。

 そこから出ると、当然の様にエルフが居た。待っていたとそいつは言った。

 こいつが話の分かる奴なら話すし、分からない奴なら仕方がないが強硬手段をとることに心で決めて話しかける。

 そいつは名前を持つ数少ないエルフの一人だった。当然の様には名乗らないので少しかみ合わない所もあったけれど、悪くとも話の分かる奴だというのが何となしに分かると話は本題へ移る。

「ドラゴンは絶滅危惧種だ。」名持ちのエルフがこれを言う。

「だからって野放しにするのは危険だろ。」とレッドは呆れて言う。

「そうだとも、群れを統合し生存の可能性を与えなくてはいけない。しかしながら現在その計画は立ち消え状態だ。どこかの冒険者風情がゴブリンなんかを連れて来たのだから、仕方のない事。」ほぼほぼ一息で言う。芝居がかった言い方に聞こえるのは多分気のせいではなく、コミュニケーション不足から派生した独自の口調なのだろう。

「冒険者に責任がある様に言うな。」と、その冒険者当人であるエルダーナが言う。

「責任がどこかなどというのはどうでも良い事だ、問題はドラゴンを捕獲さえできない我等が冒険者というシステムにこそ欠陥がある。」

「責任の所在は大事だ。問題はゴブリンが王を縛り連れ去った事に起因するのだから。」

「王というシステムが我等エルフに足しになる事は少ない、だからこそ今がチャンスなのだ。生きている内にこんなチャンスに巡り合わされ、恐悦至極。」

「王を捨てるというか。」

「どうでも良い事だ。私の目標、世界の夢は、我らがエルフ族が頂点に立った状態で全種族を網羅する事にある。」

「そこに王は含まれない、と。」というのは久方ぶりにレッド。

「そうだとも、そして王も又そうなる事を望んでいた。私に名前をくださったのもそういう事である。しかしながら大臣たちは角の違う事ばかり、ため息の一つも漏れよう。」

「王が、王自身の返却を望んでいないなど、どこからはじき出された数式だ。そんなものは間違いに決まっているだろう。全ては王の為、全ては王の為に存在するのだ。」

「嗚呼、冒険者とはなんと浅はかな生き物よ。」

「冒険者が薄かろうと浅かろうと、どうでも良いが、結局何が言いたい。そして俺たちをどうしたい。」

 エルフはにやりと笑う。変な擬音だ。

 一方エルダーナもねめつけて来るがこれを無視。構っていたら価値観のすり合わせだけで日が暮れる。

「取引だ。ゴブリン。我等エルフを頂点に止めた上で、戦争をしよう。そして数だけ減らすのだ。」

「できないと言った場合は。」

「ドラゴンを人間の居る地にて解き放とう。」

 それは取引なんてものじゃなかった。脅迫だ。しかしながら欠陥もある。

「どうやって。」

「それは秘密だよ。ゴブリン。」

 暫くにらみ合い、結果としてそれを成そうと言う事になった。勿論レッドの頭の中での話だ。

「いいぜ。戦争だ。」

「戦争なのだからあらゆる物事を正当化しようじゃないか。」

「王の不在とかな。」

「話の分かる奴は嫌いじゃない。うん、今わかったが嫌いではない。只、不愉快だ。頭の中身をひけらかしている様な錯覚に陥る。まあ、それも含めて嫌いではない。」

「それで、そっちは何をくれる。」

「何が望みだ。」

「考えてみろよ。天才さん。」

「天才とは、普通ではないからこそそう呼ばれるに過ぎない。普通である才能が勝っていれば、今頃は普通の人生を歩んでいる。その方がいろいろと都合がいい。」

「世の中が普通を基準に動いてることを前提に物事を進めるな。そして謝るよ。天才なんて言って悪かった。こちら望みは、自滅だ。」と、レッド。

「阿保なのか。」とエルダーナ。呆れかえるその表情はものすごい。うわ、下に見てるって感じる。

「君よりマシだろう?」と名持ち。

「いや流されるな。冷静に考えるんだ。要求で自滅してくれと、阿保だろう。」

「イニシアチブの在りかにこだわるなよ。冒険者。」ヒュートレッドみたいに黙っていてくれ。とレッドは言った。

 この問答をやり過ごすには決定打がかけているのも確かな事だった。なので付け加えるように名持ちが歌い上げる。最初から言いたい事を無理にまとめているからこそ今解き放った。

「阿保は君だろう。ゴブリンは私と、私個人と話をしているのだ。冒険者よ、君も又外圧を必要としていたのではないのか。私又似たようなことを考えているだからこそなのだ。戦いに勝ち勝負に勝つ、それが私の理想であるならば、ゴブリンの要求は戦いに勝ち勝負では手を抜けという発想である。」

「分からぬ。」頑として譲らないエルダーナ。これに返すは名持ち。

「嗚呼、嘆かわしい冒険者よ。忠誠に託けてやりたい放題やって来た君にこそこの転換期が分かるというものでは無いのか。」

「いいよ、そんな奴放っておけ。で、乗るのか乗らないのか。」とレッドは言う。

 打開や和睦ではなくあえて放っておくという発想は名持ちには無かったらしくすぐには答えてはくれなかった。

「方法はこうだ。」とレッド。

 


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