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魔法結晶を手に入れた。2


 世界樹という名の門を通過するとそこは武器庫だった。

 エルフの里の武器庫に直通。ここで彼の呪文を唱えたならば一気に形勢逆転してしまうだろう。そしてそれは行われるべきだった。が、レッドはそれをしなかった。

 正直村の住人が、ドワーフたちが、これまでに苦労を重ねてきた証、過労死するだけの労働をたったの一言で無に帰すのが惜しかったのだ。

 というのは、建前で、本音はそれだけの武器を手中に収めない手はないと思ったからだろう。

 そして、武器庫だというのにエルフの王がそこにいたのも、恐らく関係する。

「こそこそと動き回る輩は君等か。」エルフの王は訊く。

「こそこそ動き回った事なんてこれまで一度もない。」とドワーフの王は言う。堂々と言う。威風堂々だ。その様にエルフの王は、たじろぐ様子を見せる。いや、何かが違う。

「貴公は君等に入らない。」

「王よ。こそこそ動き回る様に命を出されたのは王ではないか。」エルダーナは言う。

「飼い犬に手をかまれるとはこの事か。」とエルフの王。

「配下を犬呼ばわりとは無礼である。」とドワーフの王。

「そうかも知れぬ。だが、事実。」やはりエルフの王の様子がおかしい。ドワーフの王にだけ特別な感情でもあるかのような、そんな様子だ。

 あーあ、そういう事か。色恋沙汰には頓着が無かったがここまであからさまだと分かってしまう。

 エルフの王がドワーフの王に、ねえ。同姓で、種族を超えて、禁じられた恋って奴か。どこまで自由なんだエルフの里恐るべし。

「そして君とは、そこのゴブリンを指して言うておる。」

「こそこそした覚えなんてない。」レッドしれっと嘘をつく。

「輩である事には変わりあるまい。」

「アンタから見たらそうかも知れないな。」

「そもそもゴブリンがこれほどまでに幅を利かせる事となるとは、予想しておらなんだ。」

「ゴブリンだろうとオークだろうと知性が在り生き抜いて来た事こそ事実。」ドワーフの王は口を出す。

「そもそも差別。底の浅い、程度の低い問題を後生大事に守り続けるアンタ等エルフこそ輩って時代だぜ。」

「差別は大事です。」とヒュートレッド。「奴隷や差別の問題が解決しないのは、無くてはならないからです。欠かせないのです。」

「どっちの味方だお前。」

「ジョヴァンニでは。」

「なる程、多数決の国の住人だったな。」

「戯言は仕舞いか。」とエルダーナ。「仕舞え。そして只今よりエルフの王を拉致させていただく。」

だから、どれだけ自由だよ。お前らエルフ。


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