エルフと共に旅を始めました。
これにより、魔法結晶はその全てが破壊された。破壊した。
これから、新たな時代の幕開けの、その為の犠牲。それが魔法だ。
愛、夢、希望を根源に持つ魔法を、ようやく終わりにしたのだ。
しかし、一方で魔法を頼りにする人類もいる。北で寒さに震える皆々、南で渇きに喘ぐ同胞たち。皆、魔法結晶の帰りを望んでいた。心待ちにしていた。その可能性を無にした罪は誰かが償わねばならない。
と、まあ重い話は置いといて、エルフは激怒した。
「それでも真の王か。」エルダーナは持て余す事無く全力をぶつける。
しかし、剣を出せばヒュートレッドに、魔法を詠唱すれば速度に置いてレッドに敵わない。
動くのは、敵うのは首から上での戦いでのみと悟ったエルダーナは激しく罵倒したが、それすらもミカドの上を行く事は無い。何でも出来るゆえにその全てを封じられてしまった。一能に置いて才を持つ皆の勝利と言える。しかし、それだけだった。
全に重きを置いたエルダーナは、一人でなければ相当に厄介な相手となっていた。つまり仲間がいるなら問題になる奴。おまけにそう言った事を嗅ぎ分けて裏切ろうとする奴もいるから余計に厄介だ。
そこで成された提案、それは、魔法結晶の製造だった。
「そんな事出来るのかよ。」
無論、出来る。とは誰の言葉であったか、とにかくそんな事が出来てしまう。
「ドワーフに会いなさい。そうすればきっと手がかりは見つかります。」
ドワーフとは、エルフに搾取され続けている技術屋集団の総称くらいの認識で結構だ。下手をしたら、いや、上手くいったら答えまで一直線だとも思われた。
そうして、ドワーフの住む谷へ向かう事となった。
欲望への階段と呼ばれる地下へ向かう巨大な洞穴。それがドワーフの住む谷だ。
誰の欲望なのかはさて置いて、驚くほどのダンジョンがそこに在った。どっちに入ったら正解なのかと迷った末にどちらも行き止まりなんて事は何度もあったし、ダンジョンのコツみたいな物を掴みかけるとは見失う。そういったあれこれを乗り越えて、ようやく人の住む集落を見つけた。
しかし其処には王がいないという。
それでは話にならない。とすると、住人はいろいろな事を聞いてきた。
「なぜ、王が居ないといけないのか。」
「なぜ、民草を優先する考え方ではいけないのか。」
「なぜ、エルフはゴブリンを連れているのか。」
「なぜ、こんな辺境まで来たのか。」
「なぜ、なぜなぜ、なぜなぜなぜ。」
それ等全てに返答する事は出来ないとして、掻い摘んでいくつかだけ答える事にすると代表格の住人を見つけた。今はそれで十分だった。
もっと地下に行かなければならないという事で、いっぱいいっぱいだった。
そして、昼も夜も無い洞穴の中で久方ぶりに布団にくるまって眠ることが出来たのが幸いだった。
布団にくるまって色々と話をしたのは幸いだった。
それまでの蟠りの様なものがすっと消えていくのを感じる。
「なぜ、王が要るのだろう。」
「独裁は正しければ王になる。」
「なぜ、民草は王を尊重しているのだろう。」
「道程を否定されたくはないからだろう。」
「なぜ、俺たちは決別している。」
「全てはエルフの撒いた種とでも言いたそうだな。」
「俺は、お前を許したわけじゃない。」
「お前に主導権がある様な言い方じゃないか。」
「エルフィランでの振る舞いは許しがたい物があるのは確かです。人を焼くだなんて、恐ろしい。」
「確かに、あの頃の俺はどうかしていた。」
「今はその言葉で十分だが、覚えておけよ。」
それで一人は眠った。これを合図に皆眠った。




