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エルフが現れた。14


 最後の王政国家フウガ。

 レッドはそこでエルフの里の情報、つまり、攻めるなら早くしろ。と、告げるために玉座のミカドへと走った。しかし、そこで思いもよらないことが起きたのだ。

 ミカドが仕事をしていたのだ。

 いや、目を見張るのはそこでは無く、その相手、つまり、謁見している相手が、エルフだった。

 流れる金髪の翡翠より深い青の目をした亜人種。耳が長く魔法を使う魔法文明最後の砦とまでなったエルフだ。

「遅かったじゃないか、ゴブリン。」と爽やかに決めて来るこの感じは間違う事はない。

「エルダーナ。」レッドは一目でエルフの真名を看破する。

 とは言え、火を吹く魔剣は見間違う訳もない。その上、魔法結晶の四つもチラつかせている。これはもう間違いなくエルダーナだ。

「報告を。」と、ミカド。いつも通りの別段変わらない様子でそう尋ねる。

 ヒュートレッドは早くもエルダーナに会釈なんてしている。

 敵情視察して帰ってみたら敵将が玉座に居るなんて事が何でもないはずは無い。何かある。そう感じ取ってレッドは答える。

「大した事はない。」愛、夢、希望、その全てが顕現し、その全てが平和を作り出している魔法文明のすごい事をレッドは列挙する。

 人間やゴブリンと同じく王政国家でありながら、爺のエルフに名前がない事。

 王族不在でも安定して強靭な国家であるながら、一難去ってまた一難の森の奥からようやくエルフの里に侵入したのに、入国はすぐにバレていた事。

 魔法無くしては二本の足で立つ事すらままならない状況だと言う事。

 レッドが報告し、ミカドが聞く。

 そして答えるのは、エルフだった。

「それで、君の感想は。」

「今話したろ。」つっけんどんに返すレッド。

「今のは報告、私が聞きたいのは、かんそう。」

「答えてあげなさい、レッド。」とミカド。これはもう命令だ。

 何故このように上下関係になったのかは、先の戦争での事だが、今はそれよりも感想だ。

「高齢化に伴い少子化もますます深刻となっている国だ。放っておけば勝手に倒れる。その前に一波乱あるかもしれないが、それはまだ先の話だ。だから攻めるなら今だ。」

「そうじゃない。真面目か。」

「真面目にもならあ。」とレッド。百人殺せば英雄と同じく百回助けられたならばその恩はどう返そうというのだ。真面目にもならあ。とレッドは言う。

「だから、そういうのでは、無い。」とエルダーナ。

「答えてあげなさい、レッド。」とミカド、黙するレッドにそういう。

「生きた心地がしなかった。」ぶっきらぼうにそう答える。

「当たりだ。やはり君は他のゴブリンと少し違う様だ。」

「コイツ、UZZZZ。」とレッドはミカドに目で訴える。

「彼らは皆、生きているのではない。生かされている。檻の中の動物、牙を折られた狼の様に、自身の足で立ち上がる事もままならない状態だ。」

「そこでお前みたいな奴が、冒険者とか言うならず者が、方々に散らばって果報を持ち帰るって腹か。」

「果報になればそれで良し。ならずに滅ぶもそれで良し。と言った所だ。が、ゴブリン、名をレッドと言ったか。」俺と組まないか。と、エルフは言う。

「中にはお前みたいな、率先して国崩しをしようって輩も沸く訳か。」レッドは呆れてはいるが、乗らない手はないとも思う。

「国崩しではない。只の外圧だ。どこ吹く風とまで行かない、行かせないからこそ国は元の強靭なものへと変われる。俺は只、果報を持ち帰るだけだ。外圧という果報を。」

「鬼畜。」言いながら笑みを隠せない。

「話が纏まったならそれでよいのですが、ヒュートレッド様。」不意の呼びかけに動揺しながらヒュートレッドは文を読み上げる。

 魔法結晶よ砕けろ、だ。

 つぶやきに反応し四つの魔法結晶は砕けて消えた。

「あ。」という間の話である。

 


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