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エルフが現れた。4


「もう、バレちゃいました?」


 フウガを出てジョヴァンニへたどり着いたものの、城門が固く閉ざされ中へ入ることが出来なかった一行は城下町で情報収集することになった。

 集めた情報で憶測を重ねる事で、次の行き先が決まった。

 ブルーブレス・ワーガイア。それが新しく得た行き先だ。ではそのブルーブレスは何処に居るのかと言えば、エルフィランの復興に精を出しているとミカドは言う。

 確証はないが、ブルーブレスを追うならとりあえずエルフィランに行かなくてはならない。

 その先で、先のセリフを口にしたのは誰であろう、ブルーブレス・ワーガイアである。

「もう、バレちゃいました?」

「何を隠したキサマ!」

 ブンブンと剣を振るいながらイノシシの様に突っ込むヒュートレッドをだれも止められない。

 ただしそれは正面を切っての話だ。後ろからなら、ナイフ一本で、正確には足蹴の一つで止まった。

「やめろ。」と蹴ったのはゴブリンである。レッドである。

「我が妹ながら末恐ろしい迫力だ。」とブルーブレスの笑顔も凍る。

「して」と、早々に話を切り上げ、進めるのはミカドだ。

「何を隠しておる。」慣れもしない口調を使うのは恐らくブルーブレスを威圧する目的だろう。本来王族でも何でもない女だと、世間はまだ知らない。

「バレたんじゃないのならなぜこちらへ?」ブルーブレスはミカドに尋ねる。

「なるほど、な。」と、レッドが肯く。ヒュートレッドを抑えてから、そんな事を漏らした。

 当然発言権が移る。ブルーブレスとミカドの対話はレッドを交えた会話になってしまう。

「まあ良い、レッドよ、答えてみよ。」

「ブルーブレス・ワーガイアの隠してる物、そいつは本物の大地の魔法結晶だ。

 その上、ミカドの事も概ね把握している。ってな所かね。」

「流石、我が友人だ。」と、ブルーブレス。目つきも鋭く変わる。

「やめとけ、笑みを崩さないスタンスは大事だろうけど目つきまで悪くなったら完全に悪役だぞ。」とレッドは忠告する。

「ご忠告痛み入る。しかし、ゴブリン。いやレッドよ。君の腹黒さもなかなかだ。」

「話を頓挫させるのがお好みか。」とミカド。勿論ブルーブレスに対して。

「いえ、そのような事はありません。噂のエルフも必ず真の大地の魔法結晶を欲しがる事でしょう。」

 一同は把握する。この場のイニシアチブがブルーブレスの物だという事を。

「やはり斬ります。」

「やめろ、そいつは次の手だ。」とヒュートレッドとレッドはブルーブレスをけん制する。

「本物の大地の魔法結晶が無くとも既に目的を達しているかもしれないエルフの事は捨て置いて、頼みがあります。ブルーブレス・ワーガイア。」

「対抗手段と成り得る物を作れと?」

「そうです。」

「お断りします。」

「ひねくれ者。」と、レッド。

「ブルーブ。」と、ヒュートレッド。

「愛称なのに蔑まれた気がしますね。」

「なぜ、出来ない。」とミカド。

「我々が、私が、エルフと血の盟約を交わした者の子孫に当たるからです。」

「エルフはまだ支配欲に縛られているのですよ。」

「それが如何したというのですか。マイノリティは常に少数派です。」

「今度こそ人間を滅ぼすかもしれない。」

「交配可能な種族を滅ぼすなんて真似はしません。賭けてもいい。」

「賭けってのは少しでも勝ち目がある時にするもんだぜ。」とレッド。

「君たちゴブリンだってそうでは無いですか。」

「何がだ。」

「人間を滅ぼさないのは何故だ。交配可能だからだろう?」

「そんなん知らねえよ。」

「ゴブリンはエルフを絶滅寸前にまで追いやった奇跡の種だ。それなのになぜ人間ごときを下せないでいる? なぜ自らを人間より弱い立場だと卑下する?」

「なるほど、ほんとにオメエ捻くれてんな。そいつは単純にピュアなゴブリンってのが少なくなっちまったからって事が分かってないらしい。

 いいか、人間と交配できるから生かしてるんじゃなくて、人間の方が単純に強いんだよ。

 ゴブリンの最大の武器である所の繁殖力も人間とのハーフじゃこれまた半分だ。なのに人間を生かしてるメリットがどこにある?」

 ブルーブレスとレッドの言い争いはもう少々続くが割愛して、先へ。

「フウガとしてはゴブリンと手を組みエルフを打倒するのが良策と考えています。が、戦敗者のジョヴァンニはこの決定に不服と申しますか。」

「ジョヴァンニの事はグリーンピース・ワーガイアに聞いてください。」

「エルフに加担するのは貴方個人の考え。と、言う事ですね。」

「マイノリティと言えばもう一つ思い出したことがあります。」

「また主題を逸らそうと。」

「まあ、聞いてください。ここエルフィランでは、本来なら私のアウェイでした。しかし、エルフの出現時にこの勢力図が逆転したのです。そして私の勢力をさらに強めるためにヒュートレッド派の討伐を行いました。するとどうでしょう。ヒュートレッドは偶像に成り果て、宗教を嫌い、王政を嫌った者どもが皆手のひらを返し始めたのです。あれよあれよと私はこの国で、王に一番近い男になった。あとはヒュートレッド派を吸収して組織をもう一回り大きくするのが当面の目標です。」

「それと、これと、どう関係があるのでしょう。」

「分かりませんか?」

 そう訊かれるとミカドは黙ってしまう。分からないのだろう。

「革命だな。」

「分かるか、レッドよ。」

「ああ、分かる。やっぱりお前を斬っといた方が良いって事がな。」

「まあ待て、確かにエルフの対抗手段はない訳ではない。」

「だからどうした。」

「革命は面白いぞ。一緒にやらないか。」

「お前と一緒にしたくねえな。」

「ならば斬られるのはお前の方だぞ。レッド。」

「脅す材料がどこに……。」

「あるんだよ。火も風も水も大地も魔法結晶が。」無論偽物だが、とブルーブレスは語る。

「二枚上手だったって所か。」

「三枚だな、私自身それらを使えるという手札がある。」

 これを聞くと流石のレッドも黙ってしまう。

 事態は既に最悪の一歩手前まで来ていたのだ。



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