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元病弱少女転生記  作者: 如月瑠宮
物語が始まる前のお話
9/16

いきなりですが、テストです

 友達が出来て上機嫌な私でしたが、明日は重大な事がありました。テストです。塾に通い、前世の記憶もある私に小学一年のテストは簡単でしょう。

 だが、私が通うのはお金持ちの学校。普通の学校とは違うテストもあった事を忘れていた。それは、マナーである。

 小学一年生とは言え、今までお嬢様として育ったのだから、ある程度は自信があったりはする。

「ふぅ・・・」

 それでも、マナーに関しては復習した方が良いだろうとマナー本を読み漁っているのだ。前世では縁の無かった物である。尤も、ずっと入院生活を送る子供には必要の無い事だが。

「・・・お金があっても大変なんだね」

 前世では知らなかった。私が知っていたのは、病気の苦しみと入院による家族への負担。何度、もっとお金があったらと考えただろう。

 でも、今では前世は前世で良かったと思える。苦労というのは目に見えないから、羨ましいと思ってしまうのだ。

「この位で良いかな?早く寝よう」

 粗方読み終わった。後はこの小学一年生である体を休めよう。私は灯りを消して、ベッドに潜り込んだ。落ち着く良い香りがした。確か洗濯をしているのは・・・爺やだった筈。大切な私の理解者である爺やの気遣いに笑みが零れる。

 幸せだと思う。今の私も、前の私も。




 そして、当日。緊張しながらも順調にテストを進める。今の所、分からない所は無い。こんな所で前世が役に立つとは・・・秘かに感動しながら、鉛筆を動かす。

 問題のマナーのテストは最後にある。本当は一番最初に受けたいのだが、決まっている物は仕方が無いのである。全ての回答欄を埋め、見落としは無いかチェックを済ませても時間が余っていた為、マナーのおさらいを頭の中でした。大丈夫、ちゃんと覚えてる。出来る。うん。

 心配はあるが、何とか心を落ち着かせる。自信は無いが、酷い結果にはならない。そう言い聞かせて。

 そして、テストはとうとう最後の一つになった。テストの方法はグループに分かれて、ランダムに三つの課題を熟すという物だ。私は不幸にも悪魔と同じグループになってしまった。逃げ出したいが、今はテスト中。我慢だ、我慢。

 別の意味で緊張しながら、私は遣り切った。湧き上がるのは達成感である。前世を含んで一番頑張ったテストではないだろうか。もう結果はどうでも良い。遣り切った事が最大の喜びである。それ位のプレッシャーだった。

「ふぅ・・・」

 小さく息を吐き、迎えを待つ。この喜びを誰かに打ち明けたい。迎えはきっと爺やだろう。テストが上手く出来た事を伝えれば、爺やも喜んでくれる筈。

「うふふ・・・」

 つい漏れる笑み。前世でも覚えのある感情だった。家族に喜んで欲しくて、褒められると嬉しい。爺やは家族も同然の存在だ。

「爺やの次はお兄様達かな?」


 そして、私の予想通りに爺やの喜ぶ様を見る事が出来た。でも、爺や・・・お赤飯はやり過ぎだと思うの。結果もまだ出てないし、ただ出来ただけなんだけど。説得に成功したと思ったら、今度は兄達に知られ、お祝いパーティを開こうとしていた。

 ・・・・・・喜んでくれるのは嬉しいが、中々激しい表現ではなかろうか。

「お願い、やめて。本当にやめて。お願い」

 必死のお願いで何とかやめて貰えた。そういえば、前世でもちょっとした事で大喜びしていたな・・・私の家族。大袈裟だけど、それが嬉しかった。勿論、今だって嬉しい。

 だからね、結果が出たら・・・お祝いしようね。




 なんて、思ってた私の予想を上回るお祝いに冷や汗が流れたのは結果が出たその日の夜の事である。少しは遠慮とか、加減という物を覚えて欲しいです。

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