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元病弱少女転生記  作者: 如月瑠宮
物語が始まる前のお話
15/16

アプローチの仕方を教えて下さい。

 ポカンと口を開けている兄を呼ぶ。相談しているのは一番話しやすいのではないかと判断したと一番下の兄である。前世さえも通しての初恋は私には難し過ぎた。しかも、一目惚れであり、相手の情報は極めて少ない。だって、とてもとても好きな顔立ちだったんです!頭の悪い事を言っているが、本当に好きなんです。前世で好きだった俳優さんと似た目元で落ち着いた声のトーンもその雰囲気を近付けていた。その俳優さんは結構年上だったから、将来的に初恋の相手は理想に近い人になるのではないだろうか。前世の家族が私を老け専とか枯れ専とか言ってたけど、だた素敵なおじ様だっただけだと思います。

「藤香、それは兄達には言ってないんだね?」

「恥ずかしくて・・・」

 真剣な顔をした兄は他の兄達には言わない方が良いかなと呟いている。ちょっと兄達はシスコンなのではないかと思っています。

「んー・・・誰か分からないんだよね」

「・・・はい」

 それが一番の問題である。確かに好きなのに相手の情報が殆ど無いのだから。外見や声といった、それらから探し出すのが大変な事しか分からない。学園に来るような人ならば、もしかしたら兄達が知っている可能性もあるが低いと思う。

「正直言って難しいと思うよ」

 ごめんねと申し訳無さそうな兄の顔は見るのが辛かった。収穫の無いまま話は終わってしまったのである。


「どうしよう・・・」

 相談したいが相手が居ない。誰かも分からない人を好きになったと言われても何をアドバイスしたら良いかなんてさっぱり分からないというのは経験が無い自分でも分かる事だった。前途多難という言葉が浮かぶ。

「もう少し経験してから死にたかった」

 思わず漏れた言葉は切実だったが誰かに聞かれたら困るものである。周りに誰も居ない今だからこその言葉であった。

「はぁ・・・どうしよう」

 両親や一番下の兄以外の兄達はきっとダメだ。恋愛相談なんてした日には赤飯でも準備してしまうかもしれない。使用人は報告するのが義務だから同じ事になるだろう。八方塞がりである。

「相談相手が欲しい・・・」

 この願いを叶えてくれるなら前世で早死にした事を恨みません。

「・・・・・・」

 この世界はもしかしたら、私に厳しいのではないだろうか。答えがある訳でもない疑問に深く溜息を吐いた。それでも、諦めたくはなかった。


 前と今、どちらが幸せなのかは分からない。たった一つ、同じなのは幸せになりたいという事でその為に頑張ろうと思う。


「よし」

 気合を入れる。私は私に出来る事をするしかない。不幸は嫌いだ。


「行ってらっしゃいませ」

 何時も通りの穏やかな声が私を見送る。私は幸せ者だと思う。もう一度、人生を与えられたのだから。

「行って来ますね」

 私の未来を明るくするのは私です。何故か空が綺麗に見えた。

 私の未来は明るい。

「おはようございます」

 何時も通りに挨拶を返して、私は日常を過ごしていく。本来の未来は暗いかもしれないけど、変えてしまっても良いでしょう。

 何時もより、周囲を見回す。ここは現実で夢じゃない。

 今日は快晴。決意を新たにするには丁度良いと思います。

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