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元病弱少女転生記  作者: 如月瑠宮
物語が始まる前のお話
14/16

初恋です!本当に初恋なんです!

 虚無感を味わいながらその日は眠りに就いた。こんな思いをしなければならない望みだったのかとちょっぴり泣いてしまったのは秘密にしよう。兄達からの追及を逃れられる程、私は大人になっていない。これからの事を考えた。何度考えても、やっぱり同じ答えに辿り着く。

「頑張ろう」

 生きたい。生きて幸せになりたい。


 気持ちの良い朝日を浴びて私は目覚めた。

「ふぅ・・・」

 鏡を見ると何時もと変わらないように見えた。思ってたよりもすっきりとした目覚めだ。睡眠の質は良好だったようで、体調は良い。

「きっともう物語とは違うんだ」

 そもそも、私という存在が違う。物語から逸脱した現実はどうなるんだろうか・・・

「これからが本番なのに」

 ちょっとした油断が命取りになる場合もある。それでも、前世の記憶があるからか生きたいと思ってしまう。前世からの年齢を考えれば周囲より精神年齢は上になってるだろうけど、何せ前世では病院生活が大半だった。

「病弱じゃなかったら・・・」

 もっと生きられた。でも、今の私は居ない。だから、前向きに生きなきゃいけないのだと思う。嫌われるよりは良好な仲だと嬉しいし、皆仲良くは無理でも親しい人が欲しい。

 着替えながらこれからの事を思案する。中々難しい状況ではある。諦める気は無いけど。


 しっかりと朝食を摂る。今日の朝食は中華粥だ。優しい味がする。良い事があるような気がしてくる。まぁ、気分の問題なんだけど。

 ゆったりとした朝食が終われば、学校へ行く準備である。大体は終わっているから確認と身支度で済む。こうしてると健康な身体で良かったと思う。動くのも辛かった前世とは正反対だ。

「朝起きて苦しくないのが良い」

 前世では健やかな眠りと快適な目覚めが滅多に無かったのである。健康というのは良い物だと実感出来た所で準備は終わってしまう。

「行ってきます」

 私はまだ知らない。この日、前世も含めて人生で初めての恋をする事を。尤も、前世では恋なんかする余裕は無かったのだけれども。


 何時ものように廊下を歩いていると何時もと違った事が起こった。明らかに児童では無い人が歩いている。その堂々とした姿から不審者では無いと分かったが残念な事に私と衝突してしまった後である。急いでいる様子の相手の謝罪を受け、平気だと伝える。

「良かった」

 そう告げて行ってしまった相手を目で追う。顔中が熱く感じる。ボーとする頭は熱に浮かれているようだ。これは・・・どうしよう・・・前世も含めて、これが初恋です。

 名残惜しげに彼が通った後を見てしまう。暫くそうしていたようで、心配げに話しかけてきたクラスメイト。ごめんなさい、何でもないの。心配してくれてありがとう。

 そう、体調は悪くない。

 ただ、私は浮かれているのだ。初恋というのはこんなものなのか。身体がふわふわして飛んで行きそうだ。

「・・・どうしたら良いんだろう」

 誰かも分からない相手なのだ。先ずは相手の事を知らなければ、どうするかも決められない。だが、来客が誰か聞いたとして、応えて貰えるものだろうか・・・無理だな。普通に考えてそんな事をしたら問題になるよね。厳重なセキュリティに穴を開ける様な事は出来ないし、どう行動したら良いのかなんて分からない。

 私が思い浮かんだのは兄達に相談する事だけだった。だって、経験値ゼロなんだもん。全く経験が無いのも嫌だが、兄達が大騒ぎするだろう事を考えるのも嫌ではあるが仕方ないのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり読んでいるといつの間にか暖かい目になっていて、ほんわかした読了感がありますね。 [一言] 兄たちの反応やいかに。竹の花が咲くまで気長に、稀に思い出して読み返しながら見守っています。
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