プロローグ
短編集とほぼ同じ内容です。最後に一文追加しただけです。
両親、そして、五人の兄に溺愛されて育っている私、鳳院藤香は重要な事を思い出してしまった。
それは、瑞雲学園と言うお金持ちの子息令嬢が集まる学校の前を通った時の事。その建物を見た瞬間、一人の少女がその見事な学舎を見上げる絵が頭に浮かび・・・大量の記憶が流れ込んできた。
四歳の私は膨大なそれを受け止めれず、寝込んだ。そして、目覚めた時には自分が何者であるかを思い出してしまった。
私は転生者と呼ばれる存在。前世の私は病弱で人生の殆どを病院で過ごし、十四歳と言う若さで限界が訪れた。目を閉じる前に見た家族の泣き顔が悲しかったのも思い出す。
だが、今は悲しんでいられない。重要なのは、今。幸い、今の私は病弱と言う訳では無い。丈夫とも言えないが、それでも、健康体。
鳳院藤香。今世の私の名前。前世でも、覚えが有る。
・・・私はお嬢様であり、瑞雲学園に通う事になるだろう。転機は高等部に上がる時。私は悪役として、ヒロインを虐げるの。その末路は退学。更には、会社倒産。他にも有るが、まさにお先真っ暗。
それを何故知り得たか。それは、ここが前世で愛読した小説の世界だから。
私は、ショックで再び寝込む事になった。
ここから、元病弱な少女が転生した物語が始まる。