二つのプロローグ
プロローグが二つと言う書き方をしてしまいましたが、簡単に二人のスタートラインだと思って下さい。分かりにくかったら申し訳ありません(汗)
プロローグ
『桂木 誠治』
『人が生きるのはきっと意味があるからだ』
何かの本で読んだこの言葉をずっと頭の片隅に置いて生きて来た。だけど日々同じ事を繰り返す日常の中で虚ろになって行く自分が居た。
『人が生きるんに何か意味があるんかなぁ?俺は自分が生きとる意味…分からんわぁ。』
そんな風に考える様になってた。
大した不満がある訳でも無く、
これといって大層な望みがある訳でもなかった。ただ、漠然とそんな思いが自分の中で大きくなっていたのだ。
そう…12月に入り寒さが増したあの日にあの子に逢うまでは…
その子に逢えたお陰で俺は自分の生きる意味を見つけられた。
後悔なんてしない、ましてや間違ってたとも思わない。
『これで良かったんや…ありがとう、逢えて良かった』
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プロローグ
『橘 悠翔』
真っ白なカーテン
真っ白なシーツ
少し大きめの窓
清潔にされた飾り気の無い部屋
僕はいつもこの真っ白い部屋のベッドの上で空を見上げていた。
透き通る様な青空が広がっている。
『僕は白より青の方が大好きなんだけどなぁ』
そう思っても僕はその外に自由に出られない。外に出れるのは散歩の時間だけでいつも看護婦さんが一緒だ。毎日が退屈に思えた時に、看護婦さんがお兄ちゃんを紹介してくれた。
その日から毎日が楽しくなって嬉しかった。苦い薬も痛い点滴も嫌だったけど、その時間だけは楽しみで仕方なかった。
でも…ある日いつもの様にお兄ちゃんと遊んでたんだけどその日凄く眠くて寝ちゃったんだ。
次に目が醒めたらお兄ちゃんは来なくなってしまった。お母さんに聞いたらどうやら遠くの実家に帰らなきゃダメだから来れなくなったって…
『嫌われたのかな…また会いたいな』
不安な気持ちになったけど、僕はお兄ちゃんが約束してくれた事を思い出した。
『いつでも側に居ったるから心配しなや』
て、言ってくれたから僕は信じる。
『また会えるよね?』
これから交互に二人の話を続けていくので宜しければ最後までお付き合いくださいませ。