表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

第21話:着信、そして「最強の家族」集結

祝・初孫誕生!最強の家族がリベリスへ殴り込み(お祝い)!

そこで待っていたのは、金色のあの娘……!

カミシロ村の夜は、文字通り「再生」の産声のような活気に包まれていた。

かつて絶望に沈んでいた老人たちが、ハナコの戦略とヨシコの喝によって、自らの技を「魔導ブースター・クロス」として磨き直す喜びに目覚めたのだ。

村人たちが持ち寄った最高級の野菜と、秘蔵の果実酒が並ぶ大宴会の最中、ヨシコは一人、村の外れにある結界の支柱を見上げていた。

「……本当のおばあちゃん、か」


手元のスマホの画面をそっとなぞる。

そこには、カケルとルシアナ、そして産まれたばかりの新しい命の姿があった。

かつてリベリスの街で再開した際、カケルは自分を大事にしない危ない面を持った息子だった。

その彼が今、一つの家庭を築き、次の世代へと命を繋いだ。

総務として、そして一人の「オカン」として、これ以上の報酬はない。


「しんみりしとる暇はないな。……よし、やるか!」


ヨシコはスマホを手に取ると、家族専用のグループ通話アプリを起動した。

四男・シロウが異世界の魔導波と地球の通信網を強引にバイパスさせて構築した、超法規的な通信手段である。


「あんたら、全員通信繋いでるね?緊急事態や。今すぐ準備しなさい!」


画面が分割され、地球の各地にいる弟妹たちの顔が並ぶ。

長男・イチロウが眉間に皺を寄せて映る。

「姉さん、急に何事だ。またどっかのギルドと国際裁判でもするのか?」

三男・サブロウが慇懃無礼な笑顔で続く。

「おやおや、今度はどこの組織を買い叩けばよろしいんで?」


「アホ。そんな物騒な話ちゃうわ。……カケルに子供が生まれたんや!ウチに初孫ができたんやで!」


その瞬間、画面の向こうで弟妹たちが一斉に絶句し、続いて爆発的な歓喜の嵐が巻き起こった。

「なんだって!?」

「あのカケル君が……感無量だね」

「お祝いの料理を用意しよう!」。


「めでたいやろ?だから決まりや。明日から全員でリベリスへ行くで。孫の顔拝んで、ついでにあの街の『滞り』を全部掃除してくるんや。シロウ、ゲートの出力最大に上げなさい!」


翌朝。

カミシロ村の広場には、見たこともないような巨大な光の渦が出現していた。

村の人々が驚愕で見守る中、ヨシコを先頭に、最強のスペシャリスト集団が光の中に一歩踏み出した。


次元の壁が軋む音が響き、風の匂いが変わる。

目を開けると、そこにはかつてヨシコが暴れまわった、自由の街・リベリスの広場が広がっていた。


「……母さん!」


前方から駆け寄ってくるカケル。

その背後には、赤ん坊を大切そうに抱いたルシアナの姿。

だが、その二人がたどり着くよりも早く、足元からキラキラと光り輝く金色の影が、弾むような愛らしさで飛び出してきた。


「ヨシコーーーーッ!!」


透き通るような金色の体。

女の子らしい、高くて鈴を転がすような可愛い声。

スライムのミュコが、まるで重力を無視したかのような勢いで、ヨシコの胸元へとダイレクトに飛び込んできた。


「わちゃちゃ!ちょっと、ミュコ!相変わらず元気やねぇ。そんなに勢いよく飛び込んだら危ないやろ?」


ヨシコは飛び込んできた金色の体を、慣れた手つきでしっかりと受け止めた。

ミュコはヨシコの胸元に顔を埋めるようにすりすりと甘え、その冷たくも不思議と温かい感触が、ヨシコの肌にじんわりと伝わってくる。


「ヨシコ、会いたかった!ミュコ、ずっと待ってたんだよ。あのね、ミュコ、またヨシコが作った『神の味のから揚げ』食べたい!あれがないと、ミュコの金色がくすんじゃう!」


状況の説明よりも何よりも、まずは食欲と甘えたい気持ちを全開にして訴えるミュコ。

その無邪気で真っ直ぐな愛嬌に、ヨシコは目尻を下げ、もう一方の腕でその小さな体を優しく抱き寄せた。


「はいはい、分かっとるよ。あとで山ほど揚げてあげるからね。ええ子やねぇ、ミュコは。あんたは、ウチにとってもう一人の可愛い孫娘やからね」


ヨシコが「よしよし」と優しく撫でると、ミュコは幸せそうに「ぷるんっ♪」と身体を震わせ、ヨシコの腕の中でうっとりと形を崩した。

その様子は、新しい赤ん坊に少しだけ嫉妬しつつも、大好きなおばあちゃんを独占したい幼い孫そのものだった。


その後ろでは、地球から来た弟妹たちが驚いてその光景を眺めていた。

「……姉さん、その金色の生物が……カケル君の相棒か」

イチロウが眼鏡をクイと押し上げ、その存在を静かに受け入れる。

「うわぁ、凄い!魔導伝導率がカンストしてそうな色だね!ちょっと成分を……」

とシロウが分析器を取り出そうとするが、ヨシコが鋭い視線で制止する。


「こら、シロウ!ミュコちゃんを怖がらせたらあかん。この子はカケルの最高の相棒で、ウチの家族なんやから。ほら、ゴロウ。あんたの出番やで」


五男のゴロウ(カリスマ保育士)が、優しく微笑みながら一歩前に出た。

「初めまして、ミュコちゃん。僕はゴロウ。ヨシコ姉さんの弟だよ。後で一緒に遊ぼうね」

その温かいオーラに、ミュコはヨシコの腕の中からひょこっと顔を出し、

「ゴロウ……?うん、いい匂いがする!遊んであげる!」

と、早くも懐く兆しを見せた。


カケルがようやく追いつき、苦笑しながらヨシコに歩み寄る。

「母さん、いらっしゃい。……ごめんね、ミュコが真っ先に飛び出しちゃって。毎日、空を見上げて母さんのこと待ってたんだ」


「ええんよ。ミュコがこんなに歓迎してくれて、ウチも嬉しいわ。……さあ、ルシアナさん、その子を見せて。……ああ、なんて綺麗な子や」


ヨシコは腕の中で甘える金色のミュコを優しくあやしながら、ルシアナの腕の中の赤ん坊を覗き込んだ。


「……ヨシコ、ミュコも赤ちゃん見る。ミュコがお姉ちゃんだからね!」

腕の中のミュコが、ちょこんと赤ん坊の顔を覗き込む。


最強の家族、そして金色の天使のような「孫娘」ミュコ。

リベリスに再降臨したヨシコ一家の物語は、この上なく温かな、そして賑やかな再会から始まった。

ヨシコは黒糖飴を一つ口に放り込み、カリリと音を立てて笑った。


「よし、挨拶はここまでや。……さて、リベリスの街の総点検、始めよか!」


(第22話へ続く)


ミュコちゃん、相変わらずパワフルやねぇ!

さあ、孫の顔拝んだら、リベリスの街の総点検、始めるで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ