初恋は散る
書いててイライラしていたので胸くそ悪い人もいると思いますので、なんでもOkの人向けです。
―好きな人がいた―
俺はフレジリオークス・モロス。フレジリオーク王国の第三王子として生まれ、甘やかされ育った。皆が褒め称えてくれたし、多少量々が良かったから天才だと持ち上げた。自分は誰よりもすごい、幼い頃の俺は何の迷いもなく思っていた。
好きな子ーは婚約者だった。本来であれば必ず結ばれる相手、でもたった3歳の俺はその恋心に気づかなかった。只々圧倒された。その美しさに。
チャルメイト・キャエル、チャルメイト侯爵令嬢は同じ3歳ながら完成していると、確かに感じた。しかもキャエルは神の加護を持つもの。すでに時期聖女となることが、すでに決まっていたと、あとから聞いた。
当時の俺は彼女の美しさに圧倒され、
「みにくい」
と真逆のことをくちばしった。
彼女は奥歯を噛み締め泣き出した。すすり泣きながら、極力音を出さずに。
キャエルはよく王宮へ来た。そのたびに俺は彼女をいじめた。キャエルの気を引くために。
キャエルは泣きべそかいて毎回走り出した。でもちゃんと夕暮れまでには戻ってきていたので誰も気にしなかった。気づかなかった。
いつも帰って来た。しかし、あの日は違った。
キャエルはいつまでたっても姿を見せず、俺はてっきり勝手に帰ったのだと思った。無礼なヤツだともその時は思った。
しかしキャエルは家に帰っていなかった。
チャルメイト侯爵夫婦の心配そうに、キャエルを探し回って、でもキャエルは全く現れなかった。
俺は、キャエルが俺を避けるために何処か行ったのかと思った。キャエルとはもう会えないと思うと、その時は胸が締まった。
キャエルは1年後、とある洞窟前で見つかった。そこは王宮からは遠く、子供が一人で行ける距離では明らかになかった。
俺はキャエルが見つかり、俺から逃げるためじゃないと不思議と安心した。
俺はキャエルにどんな態度を取れば良いのかわからなかった。
キャエルは聖女となることが決定しているのに加えて王子の婚約者だった。
キャエルは一人倍勉強する必要があった。妃教育に聖女教育。忙しくてキャエルはめったに俺の前に姿を出さなくなった。
キャエルもまだ7歳だったのに……俺は全く不思議に思わなかった。
俺はある日、俺よりも2つほど年上の男の子と、楽しそうに話していた。
俺は醜くも嫉妬した。
キャエルのその笑顔も、その笑い声も、俺には絶対に見せてくれない、聞かせてくれないとわかっていたから。
あとから聞いた話ではキャエルが1年行方不明になった時にキャエルが引き取った付き人だったそうだ。でも、彼に対する笑顔すら、俺には見せてくれないだろう。
その時、俺はキャエルが好きだと自覚してた。
俺は恋心に自覚しても、キャエルの邪魔しかできなかった。嫌われると分かっていたのに。素直になれない俺は変わらなかった。
彼女は確実に俺を嫌っていた。お互い13歳となり、デビュタント。社交デビューの時、俺はキャエルと出席した。
しかし彼女とは入場の時とファーストダンスの時意外、顔を合わさず、ダンス中もお互いがお互いの顔を見なかった。
13歳にして俺達は冷めきっていて、時々会った時も、彼女は微笑んでいながら、笑っているように感じなかった。
俺は彼女の気が引きたかった。13歳になってから正式に聖女となったキャエルは、誰からも慕われ、誰からも憧れられた。
俺は婚約者でありながら、その有象無象の中の一人だった。
彼女の気を引きたかったが、やり方が分からず悪手ばかり引いた。
社交界で少し遊んで見た時があった。彼女に嫉妬されたくて。叶わないと分かっていただろうに。彼女は特に何も言わなかった。彼女にとっては気にもしていないような事だと感じ、分かっていたのに心が苦しかった。
彼女は完璧だった。どんなに俺が嫌いでもニッコリと社交界の場では対応し、パートナーになってくれた。
彼女に嫌われていたけれど、俺が王子である以上、俺を認知してくれる。俺が婚約者である以上、いつか結婚できる。それだけを希望として生きていた。
キャエルはどんどん聖女としての仕事が増えていった。特に魔物退治の依頼が教会からキャエルにお達しが行った。
キャエルはしょっちゅう魔物退治に向かった。聖騎士となった……彼女の付き人と共に。
俺はキャエルの負担を減らしてやりたかった。彼女は殺生を酷くきたったから。相手が魔物であろうとも。魔物退治のあとは彼女はいつも辛そうな顔をしていた。彼女のフォーカーフェイスが壊れるほど嫌なことをこれ以上続けてほしくなかった。
俺は必死に魔法書を読み漁り、魔物消失魔法を開発した。国じゅうを包む程の規模の魔法。
国が、いや世界がひっくり返るような魔法だけれど、この魔法はキャエルにしか作れなかった。
ただの結界魔法を元に創り出した魔法には普通の人の魔力では到底足りなかったし、魔法を完成さすためにはいくつもの準備が必要だったから。
俺はキャエルに頼んだ。人と魔物をの世界を分ける魔法を展開してくれを言ったら、二つ返事で了承した。キャエルは初めて俺個人に笑いかけてくれた。
俺は彼女を喜ばせれたと思い、嬉しかった。
いよいよ魔法が発動し、結界魔法が完成するまであと少しの時、キャエルが慌てて俺を訪ねてきた。
『モロス殿下、あの魔法は何だったのです?』
息切れしているのに、間も開けずに早口で言う彼女に圧倒しつつ、俺は淡々と言った。
「魔物消失魔法だ。これでお前が魔物退治を知る必要もないだろ。」
そう言うと、キャエルは真っ青な顔でその場から逃げるように何処かへ行った。
その時の彼女の後ろ姿は、彼女ふぁ行方不明になった時と、重なった。
気づいたのなら、とめるべきだったろうに、俺は動けなかった。
数時間後、魔法が王都中を包んだ。そして魔物は結界内に入ると、王幅に身体が弱った。
キャエルは戻ってこなかった。その後に騎士団を総動員で探したが見つからず、あの規模の結界魔法を展開したことにより魔力暴走で亡くなったと結論付けられた。
ありえないのに。彼女は魔法展開中に俺の元には走って来れたほどだ。そんな彼女がその後魔力暴走で亡くなったなんてあり得ない。しかし、彼女はもう俺の前には現れない。
俺が余計なことをしなければ、共に入れただろうか?
―好きな人は俺を恨んで消えた。そうであって欲しい―
いつしか俺は彼女の夢を見る。彼女に会えたと喜べないのは、恨み言を言うわけでもなく、彼女が泣く訳でもなく、笑いかけてくれる訳でもなく、彼女は何も言わずに微笑みながらお茶を飲む。夢の中ですら、彼女は俺に何も見せてくれなかった。
2025/12/31、23:45分に短編投稿します。




