熱血!竜騎士団!
今、最後の決戦が始まろうとしていた。
目の前には化け物たちの大軍が迫っている。大きな棍棒を持った巨人が無言で歩き、緑色の肌で人型の異人たちは笑い、スライムは青い水の玉が地面を這うように進んでくる。
俺たち王国軍も戦いのためにここにいた。
俺は赤い鱗の身体の竜に乗り、これから戦うのだ。
とはいえ、怖い。
すぐに死ぬかもしれない。いや、本当に怖い。
なんでこんな戦いに出陣しないといけないんだろう。
もう普通に皆で戦ってくれないか?
そんなことを思うが誰もそんなのは通じないだろう。
それどころか、皆が期待に満ちた目で俺を見ているのを感じる。
無数の視線が俺を見る。
背後で竜を駆る他の竜騎士達も俺をじっと見る。いや、お前らもなんか言えよ。どうせ怖いんだろ。なんで俺だけが言わないといかんのだ。
「マルス、頑張れ~」
「皆を奮い立たせろ~、お前ならいける~」
「熱血熱血~」
「うるせえな!」
俺が振り向き怒鳴ると、彼らはすんっと、真面目な竜騎士に戻る。くそ、外面だけはしっかりしやがって、だから変に期待されるのに。
やらないといけない。
顔を両手で叩く。
よし、切り替えろ。
「お前ら!!! この戦いはここで終わらせる!!! 俺たちは最強だ!! 闘志を燃やせ!! 熱血魂でいくぞおおお!!!!」
「うおおおおおお!!!!!!」
大音量の雄たけびが木霊する。
ちょっと気後れしつつも、俺は竜を操り先陣を切った。
まずは一撃を見舞おう。
まあ、死んだらそれでいいや。もうしらん。
俺は竜を操り、一直線に敵の先陣に突っ込んだ。
「うおおおお!!! この俺の前に出てくるとは愚か者たちが!!! 死ねええ!」
槍を突き刺し、巨人を屠る。
そしてそれを合図に俺たちの軍勢が敵軍と衝突した。
俺は必死に戦う。
とにかく死にたくない。
必死に敵の攻撃を避ける。どうにか避けて、周りの味方から離れないように戦う。
そこにスライムたちが飛び乗ってくる。
「うお!」
スライムが俺の頭を包む。息ができない……。
水中で溺れるかのようになり、必死にスライムを引きはがそうとするが、全然動かない。
やば、死ぬ。やっぱ命令を無視して家に引きこもってればよかった。
「……」
俺が死にかけ、竜から落ちそうになると、急にスライムが取れて息が楽になった。
「おい! マルス! 死ぬんじゃないぞ!」
見ると周囲には竜騎士達がいて、俺を助けてくれたようだ。
「すまん、助かった」
「ほら! 声を出せ! お前がいないと皆が戦えないんだからよ!」
「……そうだな」
周囲を見ると、あちこちで衝突が起きていた。
剣士が緑色の異人を切り殺す。巨人のこん棒で兵士たちがゴミのように吹き飛ばされる。
勝つために声を出さないといけない。
「よし!! 敵は弱い!!! 皆俺の周りに集まって! 一気に叩くぞ!!!!」
そうして戦った。
やがて敵軍が逃げ出していく。
「臆病者どもが!! やったぞ! 俺たちの勝利だ!」
味方の軍から喜びの声が上がる。
俺たちは勝ったのだ。
そしてどうにか俺も生き残ったのだ。よかった。
……とはいえ、これじゃあ熱血竜騎士団はまだ続きそうだな。まあいいんだが。
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