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病気

「全然平気だよ。」


ガッツポーズをしてみせたその腕にはたくさんの医療用チューブであろうものがつながっている。

「大丈夫ならよかった。」

「ちょっとふらついちゃっただけだから」

嫌なことが頭の中をよぎった。


「そうか、、、」

部屋の中に気まずい雰囲気が漂い始めた。

いつもだったらこんなことないのに。

「じゃ、そろそろ帰る」

「うん」

病室を出ると目の前に莉子の妹、鈴奈がいた。

「祐希も来てたんだ。学校もまだ終わってないのにこんなに急がせてごめんなさい。」

「おお、久しぶり。一応早退って言ってからきたから大丈夫」

鈴奈は、中学3年生だ。莉子よりも年下なのによっぽどこっちのほうがしっかりしている。

「、、、話は本人から聞きました?」

「いや、、、特に」

「言ったほうがいいのか私にはわかりませんが、、、じつは、、、心臓病にかかってたんです。」

「え、、、」

メールに書いてあったのは登校中に倒れて搬送されたことだけだった。

「おい、なんで言わないんだよ!!」

病室を開けベッドにいる莉子に声を掛ける。

「、、、。」

感情的になっている僕に対し莉子は落ち着いたように話す。

「今日、それを言うつもりだったの」

「図書室で?」

「そう」

「え、じゃあもともとかかってたって言う事?」

「そう、、、。あと1年ってお医者さんが。」


「1年、、、」

「でも大丈夫、私には未練がない、、、とも言い切れないけどそれなりにやり尽くした。、、、うん、人生悔い無し。」

作ったような笑顔で話す

「未練はあるのか、、、?」

「それはあるでしょ。将来の夢とか、青春したい!!とか。でも叶えられないのが現実。それはもうしょうがないじゃん。」

ベットの布がぽつ、ぽつと色が暗くなった。

「叶えようよ、、、」

考えるよりも先に口が動いていた。

「あと1年、、、いやまだ1年ある、、、と考えれば時間はある。やり残したこと存分に楽しもう。」

ーガラガラ

医者が入ってきた。

「こんにちは。彼氏さんかな?」

「、、、こんにちは」

「御見舞中ごめんなんだけど、検査とかも未だあって立ち会えるのは親族だけなんだ。だから今日は、、、ゴメンね。」

「あ、ハイわかりました。じゃ、また今度。」

「バイバイ。」

病院を立ち去った。

「ただいま~」

「こんな遅くまで何してたの。ご飯できてるから食べちゃいなさい。」

どうやら家では僕以外は知らされていないようだ。

「は~い。」


「あと1年かあ、自分だったらなにするだろ。」

風呂に入りながら考える。

行きたいとこ行くとか

無謀なこともやってみたいな〜

そんな事を考えながらベッドにつく。

ブブブ、携帯がなる。

『今日はお見舞いありがとうね。お医者さん彼氏とか言っちゃってるよーw』

そんなコメントに添えられ、画像が送られてきた。メモのようになっている。

『to doリスト』

「祐希と夏祭り行く!!」

そういや中1のときから行ってなかったな。

「ご当地グルメ全制覇!」

ほんと、食べるの好きだな。結構きつくないか?

読んでいると自然と涙がこぼれた。下の方へスクロールすると、

「映画に映ってみたい!!」と大きな文字で書かれていた。

ああ、そういえば女優になりたいんだっけか。なんかちっちゃい頃言ってた気がする。

、、、そういえば、、、

ハッとし、クローゼットの奥を探す。

「あった。」

撮影用のカメラとマイクなど亡くなったお父さんからもらった機材が眠っていた。

「僕もいつかなってみるっていう夢だったんだよなー」

やはり親子の血が感じられる。僕も映画が好きになった時、映るのではなく監督になりたいと考えた。

携帯を取り出し画面を開く。

『これ、いいじゃん。映画のセットうちにあるから一緒に撮ろうよ!!』

しばらくして返信が返ってくる。

『でも、、、祐希の時間も使っちゃうよ、、、?』

『なにそんな控えめになってんだ。お前は元気なほうが似合ってるぞ』

『なんだって、私は女の子らしくないと?一生彼氏ができないと?』

『いやそこまでは言ってねーだろ』

『眠くなったから寝るわ。あ、そういえば3日後から学校行けるよー』

『はぁ、おやすみー』

あのままのほうが良かったかな?

リストを見返す。

「全く無謀な挑戦ばっかだな」

一通り見終えたあとに眠りにつく。

一番下の、小さく書かれた文字に気づかないまま。

 



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