年末年始の予定は大体ダラダラして総崩れ
「でけたぞー」
「おめでたデスカ!?」
「日本語でおk」
アホは流して器を食卓だではなく、今日は今の炬燵へ持っていく。
「ほい。 年越し蕎麦」
「……! ……!」
「おお、これがあの」
紅葉はいつも通り目を輝かせているが、今回は莇もだ。 イギリス生活が長いから珍しいのかね。
「……えび天が2つも」
「いい海老が手に入ってな。 追加分もあるぞ」
「……今だけ奏士を愛してる」
「えび天2本分の愛か……」
「ワタシは無償で年中無休愛してマス!」
「それは重すぎて要らない」
「じゃあ今日はえび天2本分に抑えマス」
「切り替え出来るんですか?」
「無理デス! この愛受け取「早く食わないと蕎麦伸びるぞ」まだ言ってる途中なのに!」
いつも通り騒がしいやり取りを済ませて炬燵に入る。 炬燵って背中が微妙に寒い。 下半身が暖かい分、よりその差を感じる。
手を合わせて麺をすする。 クソ熱くて火傷しそう。 冷えた麦茶があって良かった。
「……♪」
「おや、これは鶏肉……かしわですか?」
「今年最後だから豪華にな。 かしわ、ネギ、えび天の豪華セットだ。 お好みで油揚げもどうぞ」
「……食べる」
「ワタシもー!」
他にも天かすや七味等の追加パッチでそれぞれ自分なりの年越し蕎麦をカスタムする。 俺は何だかんだシンプルが1番。
「そういえば、年越し蕎麦は年内に食べ終わらなくてはいけないなんて話を聞きますが」
「元の意味がその年の厄祓い、というか悪縁切りだからな。 年越して食うと去年までの厄が持ち越されるとか、その年は厄年になるとか。 詳しくは知らん」
「成程。 だから切れやすい蕎麦を食べるのですか」
「そゆこと」
最近、莇の料理スキルと食材の知識が鰻登りでベルを超えたんじゃないかと思う。 俺はまだ越えられるほど浅くない。 直接比べた事がないから憶測だけど。
「……」
「どした。 おかわりはあっちだ」
「……動くの面倒」
「こいつ……」
「あ、ワタシも! マスターの出任せで!」
「おまかせだろ」
今から嘘八百並べればいいのか? えー……私は貴方が大好きです。
追加の蕎麦を盛って、ついでに天ぷらの残りも器ごと全部持って帰る。
「ほい。 汁追加してあるから熱いぞ」
「oh! ついでにワタシにもアッツアツのベーゼを……」
「ほーら重政。 お猫様専用の年越し蕎麦だぞー」
「にゃっ(ウマウマ……)」
「大変デスアオバ! ワタシ無視に慣れて来マシタ!」
「えぇ…やっとですか?」
「……♪」
例え食事中でも騒がしい我が家。 俺は静かに食いたいんだが……
まぁ、うん。 なんだ。
他の誰かに迷惑をかけてる訳でも無し。 今は受け入れるとしよう。 重政もそれなりに楽しんでる様だし。
「ソージ! 食欲を満たした後は性欲を満たしまショウ!」
「食事中に立たない」
「失礼な! ワタシの乳首はまだ半立ちデス!」
頭と胃が痛くなってきた。 やっぱり黙らせるべきかもしれない。
────────────────────────────
「じゃあ、夜食置いておくから」
「Thank youソージ! お礼にワタシを夜食に召し上がってクダサイ」
「俺夜食は食わない派だから要らね」
「何をぉー!」
これ以上絡まれる前にベルの部屋から出る。 アイツはこれから年越しまで友達とお話するらしい。
そして莇は彼女とお話するらしい。 身体で語り合い始めたら奴の首を落とす。
そして俺は毎年年越しにやる事があるからそれまで時間潰し。 積みゲー積みゲー積みゲー消化。 消化不良起こして便秘気味だったからさっさと遊ぼう。
積みゲーがあるのにセールやってると買ってしまうこの衝動。 俺はパケ派だけどDLは安価で手に入り易いから一長一短だ。
パソコンにイヤホンを接続して音量と漏れチェック。 接続ミスで喘ぎ声が大音量で響いたら死ねる。 作者は既に死んだ。 死亡回数は大体130回くらい。 土管の神か何かかよ。
「重政ー」
「な?(んだコラ)」
「おいちゃんこれからゲームするから静かにしてるんだぞ」
「なーん(心得た)」
そう言うと、重政はググっと伸びをして部屋から出てった。 居間の炬燵の上は重政の縄張りだから多分そこに行った。 ちなみに炬燵の下(中)は紅葉の縄張り。 猫は炬燵で丸くなる。
そして人も炬燵で丸くなる(正月太り)つって。 俺は若干寒い方が過ごしやすいから炬燵には入らない派。
今年最初で最後のパーリナイ。 今年最後の日が今年最初って泣ける。 毎回どっかで邪魔が入るから……
でも今日は夕飯も早めに食ったし、初日の出まで時間はある。 進めよう! やったぜ!
いざ! 新世界へ!
-セーブファイルが破損しています-
……くそぉ!
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…………できてしまった。
ゲームが! 邪魔されず! 完走してしまった!
途中まで遊んでたゲームとは言え、妨害されずに完走出来てしまった!
これはなんだ? 世界滅亡の前兆か? こんなことありえない! こんな事実信じられるか! これならまだSTA○細胞の存在の方が信じられる。
恐ろしや……なんだ!? 何が始まるんだ!? 俺は無事に年を越せるのか!?
※ 幾度となく妨害された結果、彼は少し壊れています。 暖かい目で見落としてください。
いや待て。 落ち着け柳奏士。 紳士たれ。 あのクラーク博士も言っていたじゃないか。 落ち着いてフィボナッチ素数の数を数えるんだ。 約2。 このバカタレ。
そう、普段ならもうすぐベルが「ヘーイ!」とか言いながら襖を開けて現れる頃だ。 俺はよく知っている。
……
…………
……………………
現れん。
まさか本当に今日は無事なのか? 苦節半年。 漸く俺に楽園が訪れるのか?
よーしなら思いっきりゲームしちゃう。 次は何しようかなー そろそろ続編が出るきまぐれな誘惑の無印やろうかな。
ゲームをやっていなくても、無事遊んだ人が感想とか上げるから大体の内容は知ってる。 これあるある。
そして内容を知ってしまって買うか否か、遊ぶか否か悩む。 これもあるある……あるある? 少なくとも優先順位が変わるとかはある。
マウスをカチカチ。 インストールはしたけど前過ぎて何処に入れたか忘れた。 エロゲは同じファイルにブランド別で保存してあるからそれさえ分かれば。 このためにツール起動するのも面倒。
素直にツール使えばよかったかもしれない。 めっさ見つからん。
「どこだァ〜? 今直ぐ大人しく出てきてくれるなら俺のカスピ海より広い心で許してやるぞ」
「……これだと思う」
「……お、ホントだ。 サンガツ」
天啓によりフォルダ発見。 そろそろデータ諸共整理しようかな。 デスクトップにショトカ起きすぎて背景が見えにくいし、余計なフォルダ多すぎて少し重いし発掘しにくいし。 とりあえずこのゲームフォルダはショトカ作っとこ……
「…………」
「……何?」
「……ふむ」
もうつっこまなくていいか。 毎回やるのはダルい。
「……今北産業」
「なんでお前に言わなきゃならん」
「……?」
どうしてそんなピュアな瞳が出来るんだ? お前の頭の中身はどこにある。 カタツムリに食べさせるぞ。
「何用だ」
「……もうすぐ今年が終わる」
「で?」
「……年越しゲーム大会」
「1人でやれば?」
「…………」
「ンだコラ」
俺の頬が伸びる伸びる。 CMのピザのチーズくらい伸びる。 あれチーズじゃなくてボンドとか混ぜてるらしいけど。 詳しくは知らね。
紅葉の手を振り払ってみょーんと伸びる頬を元に戻す。 おお痛え。
「……遊ぶ」
「嫌です」
「…………」
今度はさっきより強めに引っ張ってきた。 俺が口裂け男になっちゃう。 第2のゼブラになっちゃう。 ちょっと喉を鍛えようかな。
「……ダメ?」
「そんな可愛子ぶってもダメ」
「……むぅ」
やったほっぺ解放された。 その代わり別の問題が発生した気がする。
「…………じゃあ奏士と青葉で快楽堕ち系BL同人誌描く」
「和平条約を結ぼうか」
作家らなではの脅しされた。 出来れば俺は攻めがいいかな。 何ちょっと受け止めようとしとんねん。
「つーかお前そっちの趣味もあったのか」
何気にオタ方面が多いこの作品唯一の腐枠が紅葉さんですか? でもそんなデータは僕の知識に無いぞ! その台詞言う知識枠で本当にデータ網羅してる奴この世に居ないから。
「……私は別に。 校内でばら撒く」
「テロか?」
こいつジュネーヴ条約に則って今直ぐ廃棄した方がいいのでは? 俺の平和の為に。
あ、でも絵が見れなくじゃなかった。 拝見出来なくなったら俺の心の平穏が保たれない。 何だこのジレンマ。
「お・ま・え・は普通にお願いできないのか」
「……痛い」
今度は俺が紅葉の頬を引っ張る。 凄い滑って掴みにくい。
「……普通にお願いしてダメだったから力技で行っただけ」
「0か100かの2択しかないんか?」
「……じゃあベルの身体を自由にする権利をあげる」
「まさかマイナスが追加されるとは思わないよね」
紅葉ちゃん学習能力何処に落としてきたの? それで俺が揺らぐと思われてるの心外超えて新学会なんだけど。 なんの学会だよ。 イズミナールじゃね? まだ生きてたんかその妄言物質。 そんな第2位みたいなルビするなよ。
「……今日の奏士は頑固」
「いや物凄く柔軟な対応してると思うぞ」
普段が物凄く優し〜くしてるだけで毎回首を縦に振る訳じゃない。 そういうのは赤べことイエスマンで事足りる。
「…………」
「おい近寄るな」
無言で音も無く距離を詰める天性の暗殺者紅葉。 まさか首を? 窒息は苦しそう。
前門の紅葉、後門の机。 そして天井にスパイディ。 冬なのに蜘蛛が出るとは。 重政の為に家ん中暖かいからかね。
「…………」
かつての親睦海水浴の夜を思わせる様にジリジリと迫ってくる。 前と違うのは今回は自我がある事。
思わずキョロキョロ。 何度も死を覚悟した事はあるが、ここまで死が近いのは久しぶりだ。 いや俺が勝手に見えてるだけだけど。 えーとえーと辞世の句はどうしようか。
なんて思考が異世界転生してる間に紅葉はインファイトゾーンへ。 ン何だお前!? やんのかァ? 団長の手刀より早く降参してやろうか。
『毎度毎度都合よく迫られてないで逃げろ』って? 普段逃げた結果どうなってるか読み返してから言え。
「…………」
紅葉はそっと首に手を回そうとしてきた。 本当に首を折る気だ。
「……」
その前に紅葉の手首を掴んで止める。 絵に支障が出ないように優しく確りと掴む。 こんな時でも相手を気遣える余裕を見せて強者アピールを欠かさない奏士くん。
「……何」
「命の危機を感じた」
「……そんな事しない」
「じゃあ今何しようとしたのか言え」
「…………嫌」
言えないことをしようとしたの? そんな惨たらしく殺すって事? 畳が血で汚れるから殺るなら外で殺れ!
「……天井のシミを数えてる間に終わるかもしれない」
「そこははっきりしろ」
あと俺の部屋の天井にシミ無いから。
そこから少しの間拮抗したが、普通に力負けして押し切られた。 涙は枯れた。
そして、紅葉はそのまま首に手を回してへし折る────かと思ったが、手を後頭部に持って行って引き寄せる。
「むぐっ」
紅葉の胸に顔面ダイブした。 なんかつい最近こんなことあった気がする。 早くもネタ切れか?
「…………♪」
ついでに頭も撫でられた。 何だこの唐突なバブみのテコ入ゲフンゲフン、演出は。
というか硬さが感じられない。 またブラつけてないなコイツ。
その状態で数分間、紅葉の胸に顔を埋めながら頭を撫でられた。 何この罰ゲーム。
「……なぜいきなりこんな事をしたのか聞こうか」
「……天音さんが『こうすれば何でもお願い聞いてくれるよ!』って言ってたから」
「あの姉を名乗る狂人か!」
紅葉に何吹き込んでんだよあの自称『全ての姉』は。 紅葉が本気にして男性教員との交渉材料に使ったらどうすんねん。 学園に立ち入り捜査入るだろうが。
「……これで奏士もお願い聞いてくれるはず」
「いや聞かんが」
「!?」
なんでそんな驚いてんの? 前から思ってたけど、お前俺の事チョロいと思ってるだろ。 童貞は童貞でも超級童貞だぞ。 今更乳押し付けられた程度でイエスマンにならない。
「……これで巌先輩は言うこと聞いてくれるって天音さんが絶賛してたのに」
「俺をあんな初心な巨石と一緒にするな」
あの人すぐ顔赤くするくらい天音さんに対して初心だぞ。 但しそれ以外の異性は対象外だから動揺しないらしい。 美女と野獣の通り本当にお似合いで相思相愛な2人だくたばればいいのに。
「……奏士が言うこと聞いてくれるまで動かない」
「いや邪魔なんだけど」
「……奏士に予定が無いことはもう知ってる」
「バリバリにあるが?」
「……例えば?」
「彼女とデート」
「……画面の向こうの彼女なのに」
「あと姫始め」
「……画面の向こうの彼女で虚しくないの?」
もうそういう領域は通り過ぎたから……逆に誇らしいと思える。 胸とかめっちゃ張れるね。 ついでに七三にしてピンクベスト着て人差し指も立てちゃう。 完全にトゥースさんになろうとしてるよね。
「……寂しい人生」
「俺の人生の価値は俺が決める」
「……台詞だけは主人公」
そりゃ主人公降格されてますし。 しかしそうなると不在になるから仕方なく返り咲き、そしてまた降格。 再び返り咲き、即降格。 ポールポジションの様な無限ループが発生してる。 あれ裁定どうなるんやろ。
「…………ここに絵の資料用に買った大人の玩具がある」
「急になんだ。 あとどっから出した」
紅葉が背中から取りだしたのは男のアレを模した玩具。 これは電動じゃないタイプか。
「……奏士が遊んでくれなきゃ私はこれで自分の膜を破る」
「卑怯だぞお前」
こいつ自分の価値を分かってやってやがる。 お前のファンの大半がお前の処女を信じているってのに! 俺も。 いや俺のは単なる面倒な処女厨。 因みに確りと幸せに卒業した場合は別。
「……どうする?」
「くっ……今回だけだ! 次は無いと思え!」
「……♪ 交渉成立」
紅葉の処女云々に俺が何か言う資格は無いけどさ。 同居人の膜がないと知りながら生活するのは何となく気まずい。
「……♪」
遊べるとなって紅葉はどこかご機嫌。 それよりその玩具しまえ。 いや下の口にじゃなくて。
「…………♪」
人が疲れを感じてる隙に、紅葉はササッと遊び場を構築している。
「……早く」
「はいはい」
「……『はい』は1回」
「俺の『はい』は『特性:おやこあい』で2回出るから」
「……奏士はメ○ガルーラか何か?」
紅葉が急かしてくるから素早く準備。 プレイマット敷いて、ケースを取りだしてデッキをシャッフル。 ショットガンシャッフルはしない。 カードを炒めるから。 チャーハンかよ。
「あ、ちょいまち」
「?」
固定スタンドとビデオカメラを取り出してっと……もうちょい明るさ欲しいな。
「今から対戦してるとこ録画するけど大丈夫か?」
「……別に構わない」
「そ」
えーとここを微調整して……よし。
「待たせた」
「……録画して何するの?」
「後から見返す。 ただそれだけ」
「……それだけ?」
「それだけ。 時々笑えるネタ試合とか神試合が撮れるから見返すと面白いぞ」
「……不思議な趣味」
それでも趣味そのものを否定しない素晴らしいお方紅葉さん。 流石です。
「……奏士も笑うの?」
「お前は俺をなんだと思ってやがる」
「……人の心を失くした妖怪」
「本当に人の心が無いならお前を甘やかしはしない」
まだ残ってるはず。 まだ俺は人間を名乗っていいはず。 我は人間だ! 自分で言うと人間じゃなくなるの不思議。
「……録画良し。 始めて大丈夫だ」
「……スタンドアップ・ザ」
「これデ○エマだろ」
────────────────────────────
「攻撃してこいよ、紅葉」
「……トドメ」
「こうすればよかったんだ!」
────────────────────────────
とまぁ、違うカードゲームのネタがあったりもしたけどそれなりに勝敗は拮抗してまして。 お互い最近のパワカガン無視で古のデッキを使ってるから凄く平和。 俺はヒューマノイド(ハンター)デッキで紅葉はエイリアンというエモエモなバトルだ。 世代が近いからね。
「……む」
気が付けばそろそろ年が終わる時間だ。 カードゲームは1度遊ぶと時間を忘れる。
「……もうすぐ年明け」
「年明けって朝日昇ってからじゃね?」
「……細かいことは気にしない」
あっそう……俺も拘りないから良いけど。
そうこうしてる内に残り1分を切った。
「……今年の締め」
「何かするのか?」
「……最後の言葉を考える」
「もう手遅れ近いだろ」
「……………………特に思いつかない」
「それ見ろ」
「……奏士は?」
「俺ぇ? あー……………………俺も特に無い」
「……虚しい終わり方」
紅葉が言い終わると同時、時計の針は元の位置に戻って0時0分。 20────え、今何年? 作者が遅筆過ぎて時空が歪んでるから分からん。
「……奏士」
「────え、あ、何?」
呼ばれた気がして返事してみたけどどうやら合ってたみたいだ。 普通に聞いてなかった。
「……あけおめ」
「あ、あー……あけおめ」
「……あけおめこ」
「新年早々……」
紅葉は最初のセリフを台無しにするスタイル。 厳密には違うけどそれはそれこれはこれ。 地続きならぬ字続きという事で。
丁度いい機会だからと立ち上がって背伸びして一息。 腰が鳴ってらぁ。
ついでにカメラの確認。 充電してなかったからバッテリー残量が心許無い。 予備のバッテリーあったかな……
「……撮れた?」
「えーと? …………あ、撮れて────」
そこで踏みとどまった。
撮れてはいる。 とても綺麗に。 対戦内容も申し分無いし、ちょっと編集すれば動画投稿サイトに投稿出来るくらいに。
しかし問題発覚。
お互いの場を撮るために上から撮った結果、顔は入ってないが別のものが入ってしまっている。
紅葉の! 胸が! バッチリ撮れてる!
これはヤバイ。 全部は見えてないが、ガッツリ谷が写ってるし見えてないだけでほぼ見えてる。 なんでこんな露出多い服き着てんの。 そりゃそうだ撮られること想定しないもんな!
これはどうするべきか……俺的にとてもよく撮れてるから保存したいが、紅葉のが入ってるから保存出来ん。 誤解でも見られたら終わる時限爆弾だ。
「……私も見たい」
「……いや、悪いな。 よく撮れてなかった」
「……どんな感じ?」
しまった紅葉に食い下がる隙を与えてしまった。
「……見たい」
「……ダメ」
「……私の膜を」
「それは通用しないと言った筈だ」
「……えい」
「脛っ!」
俺の脛が……俺の脛という脛が……脛という脛って何?
「…………」
人の脛を崩壊させた隙にカメラを奪って動画を見る紅葉。 許してください悪気とかそういうのは無いんです。 むしろ俺にそういう目的があったら驚き。
「……私の写ってる」
「……写ってますね」
「……これが目的?」
「冗談は頭の中だけにしろ」
「……奏士、自害」
「しません」
「……むぅ」
おやおや何故か不機嫌。 紅葉ってもしかして痴女か露出癖があるとかなのか? クリスマスの時も人前で脱いだし。
「……保存するの?」
「……お前が嫌だと言うなら消す」
「……奏士は見たい?」
「何を?」
「……コレ」
「ちゃんと名称で言え」
俺に誤解イベントは通用しない。 ハッキリとしない限りうんともすんとも言わないのが俺だ。
「……消さないでおく」
「あ、そう」
思ってたよりアッサリと終わった。 もうちょい引っ張るかと。
「……」
また抱かれた。 いやそっちの意味じゃなくて。
「何だいきなり」
「……奏士の矯正」
「何を正すと?」
「……奏士の性欲を元に戻す」
「なら次元を落としてから出直してこい。 さすれば一考してやらんでもない」
「…………ꐦ」
息できないくらい強く押し付けられた。 どこに怒る所がある。
「Heyソージ! 新年あけま○こ!」
突如、日本語によく似た怪言語を発しながらベルが現れた。 襖は静かに開けろ。
「おや、クレハも────何してるんデスカ?」
「……奏士を真っ直ぐにしてる」
「そんな乳押し付けてソージのどこを真っ直ぐにしようとしてるんデスカ! チ○コデスか? 興奮でソージのソージを真っ直ぐにしようとしてるんデスカ?」
「まずお前は日本語を話せ」
「ソージは黙らっしゃい! 2人きりで抱き合うだけじゃなくてこんな大人の玩具も用意して……ソージ! 言ってくれればワタシがお世話するのに!」
「眼科行ってこいボケナス」
どこをどう見たら俺が抱き着いてるように見えるんだ? ベルの目が悪いと思ってたけど、色眼鏡は視力矯正に使えないぞ。
「ワタシも混ぜろーっ!」
「……むぎゅっ」
「ぐえ重っ」
ベルの突進により押し潰された。 紅葉まで上に乗ってるから更に重い。
「……にゃぁーふ(何やってんだお前ら)」
重政に呆れられながら新年早々ドッタンバッタン。 しかし、これが柳家の日常である。
はいどーも最近顔が濡れて力が出ない作者です。 湿度ヤバいですね☆
それはそうと、漸く作中世界の年が明けました。 本当に長かった……
年が明けてもお話はまだ続きますからね。 3年生編がありますから。
現実世界と季節は対極ですが、皆さん夏休みはどうですか? 学校は今週から入ってるそうで。
私も入りました。 人手不足の繁忙期に。
私今年のお盆休みはに連勤が確定したんですけど泣いていいですか? そりゃ夏コミの為に前半休みましたけど……それで後半連勤は鬼だと思います。
それでは次回。 次回はお正月です。 私の姫始めの相手は秘密です。 抱いた女(2次元)の事は忘れないゼッ!
……嘘です1月の事は覚えてません。