白猫と新学期とクラス替え
新学期の一大イベント、クラス替え。
仲良くなったあの子、気になるあの人、嫌いな彼奴……誰と同じクラスになるのか、誰と離れ離れになるのか気になって仕方ない。
クラス替えの裏話は少々現実的で悲しい話なので置いておこう。
とにかく、クラス替えというのは学生にとって1年のスタートダッシュを成功させるための準備運動みたいなものだ。
俺はクラス替え関係無いがな! 去年まで校内の人付き合い皆無だったし!
強いて願うなら、極力疲労の少なそうなクラスになることを願う。
でも無理だよな。 うちの学園の3年クラス替えはコース別だし。 俺のコースは少数派だし。
────────────────────────────
朝 あさ ASaだ。 今日もお天気良好。 桜の花弁が風に舞う春の日だ。
「……通ります」
「はい通りまー通り魔ートリマー」
生きてる人間を見つけたゾンビみたいに掲示板に集まる学生。 その人混みを掻き分けて紅葉と前に出る。
「クレハクレハ! はよ! はよ!」
「……今出すから待って」
まだかまだかと急かすベル。 他の学生達も口には出さないが、どうやら同じ気持ちみたいだ。
「……奏士」
「へいただいま」
鍵を取り出して掲示板の制御盤を開ける。 カタカタカターンッ! ってね。
「切り替えたぞ」
「……(コクリ)」
掲示板を普段の紙を貼るタイプの掲示板から電光掲示板に切り替えて反対側の紅葉に合図。
「……スイッチオン」
紅葉が掲示板の起動スイッチを入れる。
一瞬にして変わる画面。 そこには今年度のクラス名簿一覧が。
「ぐおっ! また別のクラス……」
「きゃーっ! やったやった! 私たち同じクラスよ!」
「ふん……興味無いね」
望み通りのクラス替えじゃなくて膝から崩れ落ちる者。 友達と手を取り合ってはしゃぐ者。 興味無いくせに態々見に来てる者。 興味無いなら態々混む時間帯に見に来なくても……まぁそう言いたいお年頃なんだろ。
「……見つからない」
「除籍されたんじゃね?」
「……(つねり)」
紅葉に右手を破壊されました。 俺はこれからどうやってスマホを弄りながら背中をかけばいいんだ? スマホ置いてポリポリしたら?
クラス替え発表という生徒会の大仕事を終え、俺らも人混みの後ろから自分の名前を探す。 なんか後方彼氏面してる気分。
「……あった?」
「んー……泉ちゃんはBクラスか……」
「……真っ先に探すのがそっち?」
当たり前だろ。 知らなかったら泉ちゃんのクラスでの様子を確認できないじゃないか! 最悪、どうせ同じクラスの頼金から写真買う。 あ、薪姫も同じクラスだ。 トリオは今年も仲良しトリオだね。
「おはようございます、紅葉さん」
「……ポニ──小百合」
「……今、私の名前より先に髪型が出ませんでした?」
「……気の所為。 小百合は多分寝惚けてる」
「そ、そうですの……」
言いたいことは有るけど諦めたらしい。 このポニテ百合さんは。 混ざってる混ざってる。
「コホン。 紅葉さん、今年も同じクラスですわね。 また1年間、よろしくお願いしますわ」
「!?!!?!?」
ポニテさんはお友達に軽い挨拶……のつもりだったのに、紅葉の予想外の反応に戸惑い。 扇子の文字も『何故!?』に変わってる。
「ど、どうしましたの?」
「……今世紀最大のネタバレされた」
「へ?」
「……まだクラス替え見てないのにバラされた」
「え、えぇ……そんなことで……」
紅葉は予想以上にしょんぼりしてる。 そりゃあ、まぁ楽しみ潰されたしな。
「よく存じ上げませんが……謝りますわ。 このとおり」
「……絵のモデルになってくれたら許す」
「え、えぇ……デッサンするのであれば御協力致しますわ」
流れで了承してるけど、紅葉のはデッサンなんて可愛いもんじゃないぞ。 満足いくまでありとあらゆることさせられるからな。
「そ、それはそうと! 柳さん、貴方も同じクラスでしたわ。 今年もよろしくお願いします」
「えー俺もまだ見てないのに」
「なんなんですの貴方達!」
学園の2トップが新学期早々しょんぼり。 頑張って朝早く来て仕事したのに……仕事の内訳は『クラス替え発表1:紅葉を連れてくる9』
「……奏士も同じクラス?」
「みたいだな」
「……裏を感じる」
「だな」
あの人が裏で手を回したんじゃないかって。 若しくはニコチンの化身。
アイツ最近ズブズブらしく、この前『健康のために運動始めました』って誰かが撮った写真送られてきた。 も助がどんどん尻に敷かれてる……くわばらくわばら。 披露宴のスピーチは悠ちゃんに任せよう。 俺は葬式のスピーチの準備しなきゃだし。
「……天音さんはなんて?」
「『よく分からないけど神様に感謝!』って返ってきた」
「…………」
なんであの人卒業してまでも俺に厄介事残すの? 厄介事は紅葉だけで十分なのに。
「やっほやっほー」
なんか女子学生が近付いてきた。 あれ誰?
「皆同じクラスなんでしょ? ボクもC組だから、同じクラスの好で混ぜて混ぜて〜」
妙の馴れ馴れしいボクっ娘女子学生。 本当に誰?
「紅葉、知り合い?」
「……私の交友関係の狭さを舐めないで欲しい」
自ら弱点披露するとかバイオのボスか? いや舐めるほど俺も広くは無いけど。 なんなら交『友』の時点でゼロだけど。
「……何方?」
「ダメだよお嬢様、一応彼知り合いだよ」
「君も酷いよ神鳴君!」
朝から喧しい。 だが、このツッコミ、嫌いじゃない。 俺の代わりを果たせそうだ。
あと神鳴居たのね。 珍しく静かだったから忘れてた。
「申し訳ございません。 私、貴方と接点皆無でしたので」
「あれ、そうだっけ?」
確かに。 別クラス・異性・登場皆無のキャラなんかほぼ初対面だわな。
「んで、何用?」
「ちゃんとボクのこと覚えてるじゃん!」
プンスコする謎の女子学生、もとい、滝鞠焔。 いやいや今思い出したんだって。 ホントホント。
「……意外なクラス分け」
「だな」
「……コースの配分が気になる」
俺と紅葉は卒業(進学も就職もしない)コース
小百合さんと神鳴と焔の3人は進学コースらしい。
さっき焔は「C組」と言った。 つまり俺ら5人はA~Gの3番目。
そしてベル達は見たところE組。 ベルが進学組で、莇は(永久)就職。 これらから計算すると
A~Cは進路決まってる卒業組
C~Eは進学組
E~Gは就職組
みたいな配分なんだろ。 現状の情報からの予想だから細かい部分は違うかもしれんが。
「……ベル達とは離れ離れ」
「みたいだな」
向こうを見れば、ベル達いつメンは同じクラスに慣れたことを喜んで抱き合ってる。 あ、勿論女子達だけでだぞ。 莇達野郎3人は軽い挨拶と談笑をしてる。
……皐月さんがベルと遥さんのに押し潰されてるけど、あれ助けなくていいのかな……命よりメンタル面の救出を。
「……私達もああいうのする?」
「よっしゃばっちこい! ボクはいつでも受け入れるよ!」
「(無視)……小百合、やる?」
「えっ、あのその……も、紅葉さんがどうしてもと仰るなら……」
「……じゃあ神鳴でいい」
「ちょっ、あの紅葉さん!?」
「いやぁ役得だけど、お嬢様に怒られちゃうから遠慮しとくよ」
「……じゃあそこら辺の野良猫とやる」
…………俺だけ飛ばされた。 まぁええか。 俺も野良猫と戯れる。 重政に怒られない程度に。
他の猫の匂いに嫉妬する重政可愛いんだけどな。 やりすぎると引っかかれるから。
「……にゃー」
「なぁーぉ?」
「……なんて言ってるの?」
「俺が分かるわけないだろ」
重政以外は何となくしか分かりません。 積み上げた年月が違うから。
「にゃ〜ん♡」
白い野良猫ちゃん、紅葉をスルーして俺の元へ。 なんだコイツお腹見せて甘えて可愛いな。
「……私の猫」
「お前より俺の方がいいんだろ」
「……こうなったら私も対抗してお腹出す」
「お前がここで腹出しても痴女になるだけだぞ」
メス猫とも言えるからある意味猫だろうけど。 いや紅葉は元々猫か。
「……私も撫でたい」
「威嚇しない?」
「……した覚えは無い」
「覚えが無くても、動物は些細な変化を感じとるぞ。 穏やかな気持ちで触れることだ」
「……頑張る」
足元でゴロゴロ甘えてくる白い野良猫を紅葉に譲る。 あぁ、俺のケセパサ……
「……わっ」
紅葉がそっと猫に触れる。 猫の毛は春の陽気でポカポカふわふわ。 撫でてる紅葉も撫でられてる猫も心地良いらしい。
「……♪」
クラス替えのネタバレで少ししょんぼりしてた紅葉もご機嫌。 夢中で撫でている。
「にゃー」
野良猫ケセパサが起き上がって再び俺の元へ。 なんだコイツ足にスリスリしやがって。 可愛いかよ。 重政も頼んだらしてくれるかな……
「お? なんだお前メスか」
「にゃ〜♡」
よーしよしよし吉○三。 ゴロゴロゴロ……
「……」
猫を取られたからか、紅葉さん少し膨れっ面。 頬を押したら空気抜けそう。
「…………にゃっ」
「いてっ」
猫を撫でる手を叩かれた。 何? 急に何?
「…………」
「おい、無言で叩き続けるな。 なんだ口で言え」
「……なんでもない」
明らかに何かある様子。 だが、この状態の人に何言っても「なんでもない」と帰ってくることを知っている。 ここは諦めて叩かれてやろう。 なんか絶妙に「ちょっと痛いかも」くらいの力で叩いてくるし。
「にゃ?」
「ああいやなんでもないぞ。 大丈夫大丈夫」
「……にゃ〜ふ」
白にゃんこは突然立ち上がると背伸びして校門の外に走り去った。 校門の影から様々な模様の猫が数匹こっちを見てる。 どうやらお仲間が居るらしい。
「…………」
「おい、そろそろ叩くのをやめろ」
「……ぷいっ」
紅葉ちゃん猫からの好感度で負けて拗ねモード。 君幾つ? とりあえず顎撫でてみよ。 ゴロゴロゴロ……
「……何?」
「……違うか」
どうやら撫でて欲しいわけじゃなかったらしい。 難しい。 重政! 今ここに来て紅葉の言葉を翻訳して! 猫だから分かるでしょ多分!
「そこのお2人、そろそろ教室行きますわよ」
「へーい」
「……(コクリ)」
靴と裾に着いた毛を軽く払って立ち上がる。 後で手も洗わないと。
「どした?」
昇降口に行こうとしたら袖を引かれた。 紅葉は袖が大好き。 絶対違うと思う。
「……後で」
それだけ言って紅葉は小百合さんの元へ。 後でって何が? 「後でまた手を叩く」って意味? そうじゃないことを願う。
「ほーら! 奏士も行くよー!」
「へいへい」
────────────────────────────
「み、皆さんおはようございます。 これから1年、私が担当します。 よ、よろしくお願いします」
「ねいしゃー」と心の中で挨拶。 凄く陰キャっぽい先生だ。 確か、去年紅葉の担任だった人だっけ?
「えーと……今日は今後の説明と各委員決めがメインです。 まずは学級委員から……あ、その前に皆自己紹介した方がいいかな。 いやでも流石に顔見知りだよね。 私みたいな子は居なさそうだし……」
「先生、落ち着いてくださいまし」
アワアワする先生を、ちょうど目の前の席に座っていた小百合さんが宥める。 あの人新クラスでも堂々としてるな。
ところで、俺クラスメイトをとある4名除いて名前とか知らないんだけど、自己紹介してくれません?
いややっぱいいや。 どうせ覚えないし関わり無いし。 必要になったら聞こう。
「…………」
紅葉は興味無いと言わんばかりに肩肘ついて窓の外を見ている。 窓際の席の特権使いやがって……俺その隣だけど。
でも四隅の席って目立つんだよな。 俺的に1番快適なのは教室中央列の一番後ろ。 まぁ今の俺窓から2列目の1番後ろだけど。 ここは良くも悪くもない。 強いて言うなら後ろに誰もいないから良い方。
「…………」
そんなこと言いながら、俺も委員会決めに興味無いから参加してるフリしながら考え事。 生徒会入ってるから委員会決めに入らないからね。 暇だから頭の中でモンハンやってる。 想像ゲームのレベル高。 ちなみに3G。 4Gじゃないんだ……
「……ふぁ…………」
紅葉が欠伸してる。 春の陽気+窓際ブーストの強制日向ぼっこが眠けを加速させる。
俺は絶妙に日陰だが、窓から入ってくる春のそよ風が心地良い。
そういや、紅葉のブレザーどうなったんだろ。 今は着てるけど、これ確かこの前緊急修理した奴だ。 サイズが合わないから2個ほどボタンを開けてる。 生徒会長が不良に……いや不良か? なんなら俺ボタン全開けだし。
校則だと「式典等では正装すること」と書いてある。 要するに「しっかりした場所以外は制服着てればある程度OK」って事だ。
俺みたいに全開けしてる人も入れば、キチンと上までボタン閉めてピシッとしてる人もいる。 何となくだけど、ボンボンさんは前者、俺ら平民は後者が多い。
あ、これは男児学生の話しね。 女子学生は人によりけり。 いいとこのお嬢様でもお洒落したいお年頃だからね。
「……」
紅葉と目が合った。 いやお前じゃなくて窓の外見てんだけど。
『……何?』
『いんや? 今日もお天気快晴だなってね』
『……ジロジロ見ないで』
『話聞いてた?』
『……そんなに見てもブレザーガードでブラ透けは見えない』
『自意識過剰乙。 俺がそんな期待で見るわけないだろ』
『……でも泉なら?』
『泉ちゃんのを見てしまったら罪悪感から指を切る』
『……責任の取り方が武士じゃなくて極道』
一言も話さなくても伝わる言葉って素晴らしいね。 意思疎通楽で。
「あとは前期の学級委員だけど……誰かやりたい人居ないかな……」
どうやらサクサクと進んでたらしい。 学級委員やりたい人居ないのー? 内申上がるよー?
「あ、は、花伝さんはやる気あったりしないかな……皆を纏められそうだし」
「……私は生徒会著の仕事があるので」
「あ、そ、そうだよね……えーっとぉ……」
「…………」
「………………は、羽月さんは?」
あれ今目合ったよね? 明らかにスルーされたよね? 紅葉の生徒会の話で俺が副会長であることを思い出したに1票。 決して、話しかけるのを拒否したわけでないことにかける。
「ほ、ほんと? やってくれるの? ありがとう〜」
お隣の席の羽月さんとやらが委員長をやってくれるらしく、先生は喜びのあまり涙目で「わ〜」とぱちぱち拍手。 何だこの先生。 マスコット枠か?
「じゃ、じゃあこれからは進行役をお願いしてもいいかな? ほ、ほら私より向いてそうだし……学級委員長だし」
今ちょっと本音が見えた気がする。 この先生、良くも悪くも人間臭くて好きになれそう。
「えー……それでは、続きまして学級委員を決めたいと思います。 可能なら3名、最低2名決めます。 やりたい人挙手!」
だーれも挙げない。 そりゃ面倒臭いもんね。 学級委員の上位版やってる俺ちゃん激しく同意。
「そうですか……では言い方を変えます。生徒会長の役に立ちたい人挙手!」
めっちゃ挙がった。 既に委員会決めた人も挙手しとる。
いや待てポニテ。 あんた風紀委員だろ。 神鳴笑ってるぞ。 アイツだけ挙手してないし。 俺もしてないけど。
「えー……先生どうします? ジャンケンとかでもいいですか?」
「こ、この量を? 凄い試行回数になると思うけど……」
「ではくじ引きで。 あ、既に委員会決まってる人以外でお願いします」
この委員長、中々にやり手だ。 進行と切り替えが早い。
「では1人ずつお願いします。 こんなこともあろうかと事前にくじを作ってあるので」
何を想定して作ったのか聞きたい。 未来予知?
Now Loading…………
「はい、学級委員は山本さんと石江くんに決まりました。 これからは私含めた3人で進行しますので、よろしくお願いします」
羽月さんの学級委員長適性が思ってたより高い。 流石お下げ。
そんなことより、窓の外を小鳥さんが飛んでますよ。 美しいですね。 急にどうした? いやちょっと俺も路線変更で優美華麗なキャラで行こうかと。
「…………」
紅葉は春の陽気で少しウトウト。 表向きはクールな敏腕生徒会長なんだからここで寝たら終わるぞ。
「え〜……はいっ! それでは一旦休憩です! 次の時間は今年1年の流れを説明しますので、遅れないようにお願いします! 先にお手洗い行くか、オムツを履いておいてくださいね?」
先生が変なテンションになってる。 オムツって、履いてもどっちにしろ拭くフェーズが発生するから楽とか快適とは無縁だよね。 出してもそこに残ってる訳だし。
「それでは10分後にこの教室で!」
諸島で再開でもしそうな言い方。 10分じゃ麻でも成長が分からん。
先生が教室を出た後は賑やか休憩タイム。 新クラスだってのに既に仲良しグループは完成しているらしく、そこいらでワイワイやっている。
焔なんか早速女子に混じって談笑してる。 そういやアイツ女友達多かったな。
一方、教室窓際の隅。
「…………」
「…………」
静か〜! 源〜! 御前〜! 鈴鹿〜! 鈴鹿御前やないかい。 サーキットじゃないんだ……
俺は当然友達居ない側だ。 クラスが変わってもやる事は変わらず1人で遊ぶ。
いつも持ち歩いてる6面パズルは経年劣化激しくて修復中なので、持ち込んだゲーム機をピコピコ。「持ち込んだ」って表記するとなんか悪いことしてる感ある。 一応、校則違反はしてない。
「…………」
しれっと紅葉がケーブル取り出した。 あとゲーム機。
「…………」
ケーブルの反対側を渡してきたからゲーム機に刺す。 何してるかって? GBAだ。 学園に持ってくる者史上最も古い説ある。
「……ちょっと遠い」
「椅子寄せろ」
「……そっちが寄せて」
「めんどい」
「……」
「……」
このままじゃ埒が明かないと察してか、紅葉は少しだけ椅子を寄せる。 俺も少しだけ。 これでお互い半々だ。
「んで、何やんの?」
「……交換」
「……まぁいいけど」
ツッコミ忘れたけど、なんで紅葉はGBAとGBケーブル持ってんの? 年代じゃないだろ。 俺は爺さんのお下がり。
「どれ?」
「……何がある?」
「図鑑埋まってるから大体は」
「……151番目をどうやって……」
それほちょちょいのちょいってね。 嘘です爺さんに交換してもらって図鑑だけ埋めて返した。 だから持ってはいない。 つーかあれバグ技以外で無理じゃん。
「紅葉さん、柳さん、何をしていますの?」
おっと紅葉の保護者の1人が来た。 お友達とのお話はもうよろしくって?
「……通信交換」
「……少々近過ぎではなくて?」
「こうしないとケーブル届かないんだからしゃーないだろ。 光の加減もあるし」
上手い具合に光が入らないと画面見えないんだぞ。 今のとは違って。
「そうですの。 仲睦まじいのは大変よろしいことですが、余りにも親密ですと皆様が誤解しますわ。 節度を守りなさい」
「……節度?」
「今更?」
節度もクソもない生活してるのに? 一線越えて無いだけでほぼほぼアウトだぞ。
「あ、お前要らないやつ押し付けるなよ」
「……整理は必要」
「……はぁ」
なにやら後ろから頭を抱えるようなため息が。 どうした? お疲れ? ヤクルト100○飲む?
「……小百合もやりたいの?」
「そういう意味ではありませんわ」
「悪いがこれは2人用だ。 やるならもう1セット用意するんだな」
「どこの小五ですか……」
そんな……あのアル○トリオンの幼体は玩具見せびらかすし結構な頻度で除け者にするけど、時々貸してくれるしライブ阻止という同じ目的ならちゃんと協力する良いクソガキなんだぞ! というか高価な物を軽々と人に貸す方が怖い。 自慢したい欲が出るのも分かる。 スネちゃまは結構普通の感性してる。
「……これは?」
「お前何出せる?」
「……唯一王」
「2匹も要らんわ」
「…………」
「おい俺のアドバンスを操作しようとするな。 交渉不成立だ」
「……ここは男を見せるシーン」
「普段は人として見てるかすら怪しいくせにこういう時だけ性別を持ってくるな」
「…………」
「…………」
見合って見合って〜 吐き気よーい売れ残り! 酒飲み過ぎて見合い失敗してんじゃねぇか。
「ハイハイ。 2人ともそこまでですわ。 これ以上は風紀が乱れます」
保護者のポニテさんに引き離された。 どうやらこの対決は引き分けみたいだ。 手首まで洗って覚えてろぉ! 風邪が流行る季節だからね。
「紅葉さん、仲良しは大変結構。 ですが、時と場合を考えなさい。 今の貴方は身体を殿方に押し付ける痴女ですわ」
「……痴女って言われた」
「貴方も。 副会長なら会長を止めて差しあげなさい」
「お飾りの副会長にそんなこと出来るわけないだろ」
今の保護者はポニテさん、君なんだ。 おいちゃんは君が非番の家と休日だけ担当するから学園はよろしく。
「とにかく、風紀委員の権限でこのゲーム機は没収します。 放課後お返ししますわ」
「……まだセーブしてないのに」
「職権乱用だろ」
「文句は後で聞きます。 神鳴、丁重に保管なさい」
「あ、僕今パック引いてるから無理」
「貴方のスマホも没収しますわよ……」
「は〜い」
スマホ没収は流石に嫌なのか、渋々従う神鳴。 でもセーブする時間はくれた。 優しい……DV被害者みたいな気分。
「それじゃ、これは預かるとしますかね……あ、僕のロッカーに入れておくからお昼休みまでに戻してね」
「……神」
「優しいかよ」
「……人選間違えましたわ……」
ポニテさん、頭が痛いの? 頭痛薬飲む?
「柳さんが入れば少しは紅葉さんもマシになると思いましたが……逆効果ですわ。 より際限無く締まりが無くなってますの」
「……そんなこと言われるのは心外」
「いやお前すっごい緩んでるぞ。 新学期3日目くらいで担任が怒鳴るくらい」
「……そんな新学期あるあるはいらない」
担任も大変だね。 舐められたら終わりだもん。 舐められないようにするには立場を明確にして上だと分からせる必要があるけど、やりすぎると学生に嫌われる。 難しいね、先生って。
「とにかく、もっとしっかりなさい。 貴方達は仮にもこの学園の代表ですわよ」
「そうだぞ。もっとしっかりしろ紅葉」
「……奏士、しっかりして」
「「…………」」
責任の擦り付け合い。 なんて素晴らしき友情かな。 草生える。
「次また何かしたら怒りますわよ。 本当に。 風紀委員長の権限で」
「……小百合に怒られた」
「怒られてやーんの」
「貴方は……私の家の力を借りてでも社会的に抹殺しましょうかしら」
「俺だけ違くない?」
なんかレベル違うというか枠が違うというか。 紅葉は怒るだけって。 お前こそ紅葉にベタ甘じゃねぇか!
「まぁこういってる事だし、大人しくするか」
「……暫く大人しくしていれば小百合の目も緩む」
「だな。 とりあえず別のゲームするか」
「……(コクリ)」
カバンの中からボワッと現行ゲーム機登場! 収納ポーチにちゃんと入れてます。
「これならケーブル要らないからさっきみたいにならないな」
「……ナイスアイデア」
「貴方達、学園に何しに来てますの……?」
そんなもん泉ちゃんの様子を見に来るに決まってるだろ。 泉ちゃん居なけりゃ来る意味は無い。
キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴った。 先生は多分授業開始の5分後くらいに来る。
「……小百合、そろそろ授業始まる」
「席に戻って準備しなくていいのか風紀委員長。 俺たちはちゃーんと自分の席に座ってるぞ」
「ぐんぬぬぬぬぬぬ…………」
神鳴大爆笑。 ご主人様の悔しがる顔で飯食えてそう。
「お、覚えてなさいっ!」
「……寝首を洗って待ってる」
「普通に首洗えよ」
風紀委員長が去った後も通信通信。 クラスはまだ休憩ムードで賑やかだ。
ガヤガヤしてる時の声って、なんかどこで聞いても同じ声だよね。 フリーBGMでも使ってんじゃないかってくらい。
「は、はーい……これより説明を始めまーす……」
先生戻ってきた。 テンションが陰キャモードに戻ってる。 やはりさっきのは調子上げすぎた時の暴走状態だったか……
「じゃ、後でな」
「……(コクリ)」
急いでセーブしてゲーム機をカバンに入れる。 先生には気付かれてない。 授業中のゲームは校則違反だから危ない。
「えーと、皆さんは進学コースと卒業コースの半々ですね。 では、進学さんから説明しますね」
なら卒業さんの番までポケ〜っとしていよう。 折角だし、対戦構築でも練っていよう。
「…………」
窓の外を見る。 今日も平和だ。
「…………」
同じく窓の外を見ている紅葉を見て、ふと思った。
このクラス、学力の偏りエグイ。 3年生トップ4が同じクラスって大丈夫か? 言うて編成上仕方ない事なんだろうけど。
ほら、神鳴は一応小百合さんの護衛役って立ち位置だから同じクラス。 で、紅葉の交友関係上小百合さんと同じクラスにならざるを得ない。 俺と紅葉は生徒会役員で、別にするよりは同じクラスにした方が色々と都合がいい。
その結果、トップ4が揃ったって事か? 想像力凄いね君。 作家になれるんじゃないか? 一応人気漫画家ですぅ……原作だけど。 絵に頼りっきりだけど。
…………泉ちゃん元気かなー
心地良い陽気に包まれながら、先生の子守唄を聞く春の日。 新学期初日はまだ終わりそうにない。
────────────────────────────
「ところで、この席順何? 廊下側が1番だとするなら俺と紅葉の席逆じゃね?」
「……バラバラ?」
「意図が読めんなぁ」
はいどーも最近人生初のヤクルトを飲んだ作者です。 あれ美味しいですね。
ヤクルトを飲むと眠りが良くなると聞いて飲んでみました。
13時間寝ました。 眠りが良くなるってそういう事ですか?
多分、最近生活リズム改善のために寝る時間と起きる時間をなるべく同じにしようと日が変わる頃に寝るようにしていたのですが、昨日は午前3時頃まで起きてまして。 寝過ぎたのはそれが原因です多分。
だってぇ……モンハンが面白くて! 久々にやった4Gが面白くて! 極限最高。 3DSが小さく感じました。
それはそうと本編です。 新学期初日ということで優しめのスタートです。 奏士という爆弾処理班に見せかけた爆弾魔まで現れて、小百合が過労で倒れないか心配です。 基本は処理班なので頑張れとしか。
ちなみに次回も続きます。 生徒会の仕事も久しぶりに見せなきゃですし、忘れてたアレもありますし。 ヒントは千聖です。
それでは次回もお楽しみに。
追記 クリスマスに仕事という事実を受け入れたくないのでサンタさんの正体をネタバレしまーす!
実はサンタさんの正体って*************
※不適切な表現が見受けられましたので置き換えさせていただきました。




