白猫様は今日も気まぐれ
クリスマスも終わって今年も残り数日。 朝帰りした莇は無事始末し、そのついでに今年最後のゴミを捨てようと我が家を大掃除。
「と、思ってたんだがなぁ……」
普段から綺麗にしてるし掃除も時間があればやってるからそこまでやることは無い。 強いて言うなら厨房を普段の数倍綺麗にした。
「捨てるゴミあるかー?」
「ハーイ! コレとコレとコレと……あとはソージでワタシの処女を捨てるだけです」
「悪いけど粗大ゴミは回収してないんだわ」
「お、喧嘩か?」
ベルは無視してっと……というかあいつゴミ多いな。 乙女は色々あるのかね。
「紅葉ー」
呼びながら部屋のドアをノックする。 さっき掃除するよう言ったからそこそこ出てると思うが……あれはあれで綺麗好きだからな。 もしかしたらそこまでの量は無いかもしれない。
……返事が無い。
まさか自慰中か? そうか悪いことしたな……
いやいや流石にこんな真昼間からしないでしょ。 そういうのは夜にやるもんでしょ知らんけど。
「紅葉ー」
これで反応が無かったらドアを少しだけ開けて呼んでみる。 もしかしたら寝てるかもしれないし。
……やはり反応が無い。
というか物音1つしない。 俺の最&高な聴覚すら音を拾わない。 もしかして死んでんのか?
おいおい冗談は身体能力だけにしろよ。 もし事故物件にしたら骨になるまで燃やして壺にぶち込むからな。 言い方物騒だけど丁重に弔ってるだけじゃねぇか。
少しだけドアを開けて部屋の中を確認。 明かりはついてる。
そっと部屋に入ってみると普通に居た。 紅葉さんベッドでゴロゴロしてる。
「……奏士?」
「おう。 お前のご主人様だ」
「……冗談は顔と生き様だけにして」
開幕早々全否定されたんですけど。 俺から生き様取ったら何が残るんだよ。 イカれた頭とナルシストとよく回る舌。 マイナス方面の物しか残ってねぇ。
「……乙女の部屋に無断で何用?」
「ゴミの回収だ。 今年最後のな」
「……部屋に入るならノックくらいして」
「何度もしたぞ」
「……」
紅葉さんこっち見ようか。 b○gbug今月号(エロゲ情報誌)読んでないでこっち見ろ。
「……ゴミならもう玄関の外に出してある」
「仕事が早くてよろしい」
「……用件が終わったなら出て」
「そうか。 慰めの邪魔して悪かったな」
「…………」
無言で後頭部に投げられた雑誌を躱してキャッチする。 あ、そういや俺まだ今月号読んでねぇや。 買ったけど未読棚に置いてそのままだわ。
「本は大切にしろよ」
近くの棚の上に置いて部屋を出る。 さーてゴーミゴミゴミゴッミゴミ♪ ゴミは捨てましょゴミ箱に。
……うれしいひなまつり風に歌おうとしたけど、『ぼんぼりに』の後が思い出せん。 替え歌なら出てくる。 俺の地域では『ドカンと1発ハゲ頭』だった。 ぼんぼりじゃなくて爆弾だったのよ。 昔は。
集まったゴミを確認する。 そこそこの量だけど少ない方だな。
「えーと、こっちが燃えるゴミ、燃えないゴミ……で、」
庭に埋めたゴミも確認。
「これが燃やすだけじゃ足らないゴミ」
「私何されるのですか」
頭だけ地面から出てる莇を見下ろす。 これはどう処分しようか。
「安心しろ。 後で委員会の皆でパーティ開いてやる。 最後の晩餐では何が食べたい?」
「出来れば最後にしないでいただきたいのですが」
「お客様当店ではそのようなサービスは行っておりませんのでお引き取りください息を」
「この世から退店させようとしてます? 私の安全な未来は何処ですか」
「そこに無ければ無いですね」
既に生産終了してるから入手困難だけどな。 諦めろ。
「消す前に吐け。 貴様あの夜に何があった」
「何があった、と言われましても……」
「まさか性夜か? 燃える闘志で突き進んだ聖闘志性夜か? 口付けは許すが破った訳じゃないだろうな」
「そう申されましても……」
莇が目を逸らす。 コイツ……さてはヤッたな?
「よし決めた。 極刑」
「お待ちください」
「今委員会全員呼ぶから最後の時を楽しめ」
「話を聞くとは一体」
この世は力の有る者が有利になるように出来ている。 そして怨みの力はとても強い。 つまり俺超強い。 急に語彙力が消えてね?
「そもそも私からは何もしていません」
「つまり相手からの誘いは断らなかったんだな?」
「……………………」
「最後のチャンスだ。 貴様……ヤッたな?」
「……………………黙秘権を行使します」
よーし殺す。 今までは童貞だから見逃していたけど前々からこのイケメンは気に入らなかったんだ。 今がチャンスだ。
「判決、獄王輪廻」
「それなんですか」
ノリで言ったから知らん。 聞くな俺に。
俺が今回取り出すのはこちら! 我が家に伝わる、天を廻る純白の龍を元に作られた輝く大剣! 御先祖様が狩人やってた頃の遺品らしい。 なんか知らんけど、切ってると65%の確率で通常よりよく切れるし、光当てると虹色に光るし時々黒い瘴気みたいなの纏ってるから装飾にオススメ。
「貴様の最後だァ! ヒャッハー「ガスッ!」ごうえ゛っ!」
首を掻っ切ようと世紀末風の味付けで飛びかかった瞬間、なぜか飛んできたキツツキ、もとい木彫りの熊。
「げっ!」
見事な直線で無防備な脇腹へズドン! 内蔵にめり込むクマたん! ベクトルが変わって我が身体は大地と熱烈なハグ。
「ぐふっ!」
そして頭上から舞い降りる大剣。 剣の腹が背骨にクリティカルヒット!
……あ、これダメかも。 痛い超えて超痛い。 語彙力はさっき消えたから無い。
「……ナイスピッチ」
「で、死球だろ……」
試合なら即退場モノだ。 審判は何をしている! さっさと奴を地球から追い出せ! 審判の権力への信頼が凄い。
「おや、紅葉殿」
紅葉が庭用のサンダルを履いて出てきた。 冬用のモコモコ厚手靴下だから靴のサイズが少し合ってない。
「……悪辣成敗」
「む、無実、だ…………」
立ち上がれる感じが無い。 主人公達はボロボロの身体で立ち上がるけど俺は1発KOで立ち上がれない。 主人公より強いヒロインとかそれ何時のルビサファ?
「きっ、貴様っ……な、何…何をする」
「……ゴミ掃除?」
なんて無垢な目で言いやがる。 いや普段と変わりないけど。
「……奏士ゴミ掃除」
「BKBみたいに言うな」
さっきまで発声もままならなかったのにツッコミだけはスっと出る我が身体。 流石調教されてるだけはある。
「……奏士がまたリア充アレルギー発症してたから治療した」
治療ってこんな物理極振りだっけ? 荒療治ってレベルじゃねーぞ。
「……ヤッたの?」
「流石に女性相手に申すのは気が引けるのですが」
「……じゃあ華に直接聞く」
一瞬で諦めた紅葉はそのまま大地に背中を任せた良き相棒である俺の元へ。
まさかトドメか? こんな無防備なか弱い男にトドメ刺すのか?息するのもやっとなんだけど。
これ本当に骨とか折れてないよね? 心は既に折れてる。
俺の心はシャー芯より簡単に折れるぞ。 毎度毎度チャームポイントがマイナスなんだよなぁ……これをチャームポイントと言い張る図太さはプラスじゃね? 確かにこの狂気的ポジティブシンキングは高評価だな。
「…………」
トドメを刺すかと思ったが、紅葉は顔の前で止まってしゃがんだ。
「…………」
ニットワンピは丈が短い。 それだけ言っておこう。
ねぇちょっとー 紅葉さん下にスパッツなりショーパンなり履こうよ。 位置的に紫色が丸見えよ。 普段は結構派手なの履いてるのね。
「……生きてる?」
「……ギリ」
「……仕留め損ねた」
ねぇやっぱり殺りに来てない? 俺がお前に何したって言うんだ。
「……撤収」
「ぐえっ」
首根っこ掴まれて無様にもドナドナされる俺。 いや何時もの事か。
「うっ、おいもう少し丁寧に扱え。 段差でケツが痛い」
「……SGSのお尻はタルクくらい硬いから大丈夫」
「奏士ゴミ掃除のネタまだ引っ張るのかそれとタルクの硬さは全鉱物の中でも最低ランクだ」
「……奏士煩い」
「うっ」
きゅう……………
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奏士が紅葉に首トンで黙らされた頃、庭に取り残された莇は
「……終わったのであれば掘り出して欲しいのですが」
一切身動きが取れないでいた。 以前の砂浜とは違い、今回は土をガチガチに固められているから自力で抜け出せない。
「あの〜 流石に肌寒いのですがー 」
しかし返事は無い。
このままだと流石の莇も風邪を引くだろう。 その場合、ある意味奏士の怨みが通じたと言えるのかもしれない。
どの道ゴミカスもとい奏士ゴミカス掃除である事に変わりは無いが。
えBKB伝わるよね。アレだぞ。 NFC大阪26期生の人だぞ。 特徴で真っ先に出るのが最終学歴ってどうなんだ?
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SGS side ヒィーア! BKBに寄せて自ら首を絞めるスタイル。
「……はっ!」
目覚めて飛び起きた。 この流れ久しぶり。
「むっ」
急に視界が真っ暗になった。 柔らかくてほんのり暖かい。 ホットアイマスクか何かか?
「ぐえっ」
途端に弾かれた。 後頭部強打。 超痛────
「──く、ない?」
視界に気を取られていたが、後頭部に当たる感触も柔らかい。 重政スマン。 もうちょい枕にさせて。
「……起きた」
頭上から紅葉の声が。 まさか天の声? そうかここは死後の世界か……神絵師が本当に神様だった件。
いや待て。 この俺がそう簡単に死ぬ訳が無い。 いや何度か地獄観光してるけど完全に死にはしない。
根拠は? 俺ってば不死の男だから。 家庭で作るカルピスくらい根拠薄い。
マジレスすると、後頭部の柔らかさとか温かさとか鼻腔をくすぐる仄かに甘い香りとかが現実を突きつけてくる。 奏士くん現実アレルギーだからマジ勘弁。 数字的な意味で低次元を生きるタイプだから。 本体が元から低次元とか言ったら絶滅させちゃう。
落ち着いて、且つ素早く状況把握。
ここは愛する我が家。そして俺の部屋。
しかし知らない天井だ。
いや違う。
奏士、これ天井やない。 南半球や。 デカすぎて陰作ってる紅葉の南半球や。 紅葉の顔が見えねぇ。
成程、先程顔をぶつけたのは紅葉の下乳か。 そして位置的にこの後頭部の柔らかいものは紅葉の太もも。 つまり膝枕、か。
落ち着いて考えたら謎が深まったんだけど。 なんで俺は膝枕されてんの?
ええと、確か莇を抹殺しようとして紅葉に制止されて……
「そうだ。 俺は────」
今までの記憶を取り戻した俺は再び起き上がろうと身体を起こす。
「ぶっ」
そして再び南半球にぶつかって反動で元の位置に戻った。 全ての記憶と引き換えについさっきの記憶を失ってるの笑う。
「……セクハラ?」
「不慮の事故だ」
紅葉に消される前に今度こそ起き上がる。 無事回避した。
「あーっと…………一応聞くが何故あんな暴挙に出た?」
「……奏士が無粋な真似してたから」
「失礼な。 俺は心からあの二人の幸せを願っているぞ」
「……本当?」
「ああ。 そして心の底から莇の死を望んでいる」
「……全てを帳消しにするスタイル」
俺の純粋な想いが否定されてマヂショック……もうマヂ無理……世界に反逆しよ。 メンタルの強いメンヘラだ。 何それ「手ごねハンバーグの機械」の類語?
「お前は毎度毎度人の首を……一歩間違えたら重症+不治の障害が残るぞ」
「……元凶は常に奏士」
まぁ確かに紅葉から逃げて捕まって首トンされてがお決まりですけど。
しかも最近縄での捕縛術の腕も上がってるからね。 紅葉の進路希望にカウボーイがあれば世界狙える。 いやカウガールか。 そこどうでもいいわ。
「くっそ……奴から童貞を抜いたら年下好きでただスペック高いだけのイケメンになってしまうだろうが!」
「……憎しみが強い」
いや落ち着け俺。 まだ本人の口からヤッたという証言と証拠が出ていない。
そう。 シュレディンガーのにゃんこ宜しく、卒業の証拠が観測されていなければ卒業したことにはならない。 まだ薪姫に膜が存在していて、莇の莇が公園で虫取りしてる可能性にかけるんだ。 表現捻りすぎて読者に童貞を意味してること伝わらないだろ。
「……奏士も卒業したいの?」
「いや俺は卒業するとかしないとかそういう次元から既に脱してるからそこまでは」
「……脱してる? スタートラインにすら立ててないの間違い」
「うるせぇ」
い、いいもんね! ちょっと遅れてから出た方がハンデが丁度いいから対等だ! おいデュエルしろよ。 せめて涙を拭け。
「……そんなに心配する事ない」
「なぬ」
紅葉が慰めた、だと!? 貴様偽物だな! 本物なら更にボロクソ言ってくるはずだ!
「……あと500年もすれば奏士でもワンチャンある」
「は?」
なんで人生5回分でやっとワンチャンなの? もうちょいあるだろ。 例えば俺が今すぐ風呂に行く覚悟が決まればとかさ。 これはノーチャンですね。
「……ドンマイ」
「慰めるな」
「……よちよち」
「頭撫でんな。 お前の心が笑ってるの知ってるぞ」
というか、膝立ちで撫でてくるから、胡座の俺と丁度体格差が変わって霊峰の谷が見えるというか胸に抱かれる感じになる。 なんか最近こういうのあるな〜 紅葉のマイブームなのか? その矛先は出来ればベルとかに向いて欲しい。
「……そんなに羨ましいならベルあたりに頼めば?」
「死んでもゴメンだしまず俺が羨ましがってる前提で話すな」
「……違うの?」
ははーんさてはお前人の話聞いてなかったな? 俺は純粋に薪姫と莇の幸せ、そして莇の不幸と死を望んでるだけだ。 死んでる川くらい濁ってるのに曇りなき眼とはこれ如何に。
「……じゃあ泉?」
「色々と無理」
「……瑠姫さん」
「マジ勘弁」
「……じゃあ、理事長?」
「もっと勘弁しろ。 身内だぞ」
「……従姉は4親等以上だからセーフ」
「そういう問題じゃないしなんで結婚まで見据えてんだお前」
悠ちゃんと結婚した場合、ウマは合うだろうけど相性が悪いから結局は無理だと思う。 お互い我が強いし。
「…………私?」
「正気かお前」
「……一瞬でも本気だと勘違いした奏士のおつむが心配」
「よし喧嘩だ。 貴様の顔を血と涙と鼻水でカオスにしてやる」
「……奏士の返り血で?」
「お前の血だよ」
「……乙女の顔を傷付ける男のクズ」
男の脆いハートを砕いた挙句、原子レベルで分解したお前にだけは言われたくない。 俺のハートに再生機能が付与されてて良かったなぁ!
「……喧嘩の内容は? 暴力?」
「そんな野蛮(+不利)なことするか。 ここは穏便に言葉で勝負しよう」
「……奏士の股間は芋虫以下」
「OKこれも止めよう」
自分か同性に言われるならまだ流せるけど異性から言われると思ってたよりメンタルに来る。
何この娘。 再生したそばから崩壊させてくるんだけど。 的確に倒しに来るの怖い。 もっと平穏を過ごそうぜ。
「……そんな事より遊ぼ」
「そんなことより?」
俺一方的にボコボコにされたんだけど。 反撃の機会寄越せよ。
なんて思ってる間に、紅葉はとても自然な動きで俺のゲーム機とテレビを起動してソフトを入れ、コントローラーを2つ取って戻ってくる。 わぁ凄い。 凄く手馴れてるね。
「……はい」
「いや『はい』て」
「……やらないの?」
「……まぁ、やりますけど」
コントローラーを受け取ってテレビの前へ。 あ、1Pだ。 さーてボタンはーっと……
「…………」
コントローラーの感度チェックしてたら紅葉が無言で胡座の上に座ってきた。
「は? ちょ、何? 邪魔なんだけど」
「……サービス」
「何の」
「……孤独な人生を送る奏士にせめてものサービス」
「あ?」
なんだコイツ喧嘩第2ラウンドか? ぶち殺してやろうか。
胡座の上に座られて重いし足痺れるし画面と手元が見えなくてクソ邪魔。 リアルの妨害行為アリなんすか?
「……硬くて少しおしりが痛い」
「なら退け」
「……寒いからこっちの方が暖かい」
成程真っ向から邪魔するって事ね。
その証拠に背中も頭も後ろに預けてだらーんとしてる。 背中はともかく頭は邪魔。
今までは紅葉の154cmが小さいと思ってたけど、こうして見ると思ってたより大きい。 もっとこう、紅葉の頭の上に俺の顎が乗るかと思ってた。
「……まぁいい。 もういい。 それより、ソフトは何入れた?」
「……レースゲーム」
「画面殆ど見えない状態でやるゲームじゃねぇ」
「……奏士なら画面見なくても行ける」
「無理だろ」
コースは覚えてるけどさ。 その他が把握出来ない。
「あと邪魔。 手元見えない」
「……見なくても奏士なら行ける」
「無理だっつの」
紅葉の頭の上にコントローラー置いてやれば見えるけど、それだと腕が疲れる。 前に伸ばしてやると腕は疲れないがコントローラーが見えない。 あと体勢的に紅葉の横乳に触れちゃう。 死にたくないから全力回避しなきゃ。
「…………」
「何?」
いつの間にかじっと見られてた。 それ首痛くないの?
「……さっきから胸をチラチラ見てる」
「人から見られてることを意識するのはいい事だが自惚れるな。 俺が貴様の乳を態々見るわけが無いだろうこの愚か者め」
「…………」
「暴力反対」
本当に見てないのに肘鉄かましてくるとは……いやまぁ、ね。 視界的にコントローラー見ようとしたら自然と入ってくるから見えてはいるんだけど、意図的に見ようとはしてないから。 ほんとマジで。
というか、君夏と比べて露出度上がってね?
夏:肩紐ワンピース(丈は足まで)
冬:オフショルニットワンピ(丈は太ももまで)
うん、寒いのそれが原因じゃね? 俺も作務衣着てるけどこれは冬用だし中に着込んでるし。 ちゃんと服着なさいって思ったけどそういやベルは冬でも部屋着がお変わりなくTシャツだけだった。 オシャレは我慢とかそういうレベルじゃねぇ。
「……そんなだから奏士は地球滅亡まで独り身童貞」
「500年所の騒ぎじゃないんだけど」
俺どんだけ生きてんだよ。 不老じゃないのに億単位で生きるつもりは無いわ。
「……そろそろ始まる」
「自由かよ」
流石、本能で生きるフリーダムモンスター紅葉。 略して「ーー」 伸ばし棒だけ取るってマジ?
紅葉が人を座椅子にするならこっちも相応の権利を使わせてもらおう。
コントローラーを紅葉の顔の前に持ってきて操作する。 視界の妨害だ。 ついでに暖房を入れて暑さで離す作戦。
「……邪魔」
「なら退け」
「……めんどい」
「なら我慢しろ」
そのままゲーム続行。 なんでこの人殆ど見えてないのに普通にゲームできてんの? 怖ァ……
「おいモゾモゾ動くな」
「……勃ってるから刺激が?」
「違うわボケ。 足痺れてんだよお前が重いから」
「……」
「おっと指一本でも触れてみろ。 即座に貴様の乳を揉みしだいて乳首を開発する」
「……ヘタレな奏士に出来るわけが無い」
と言いながら大人しく引き下がるヘタレ(笑)な紅葉。 売り言葉に買い言葉的な感じで言ったけど俺の発言もアウトだわ。
「……私が触ったら本当にする気だった?」
「それは貴様の行動次第だ」
「……つまんない」
それだけ言ってゲームに戻った。
流石の紅葉でもどうなるかの好奇心に負けるなんてことは無いと思いたい。 だって俺のハッタリだし。 触れるわけないじゃないか怖いし。
何が怖いかって? それは勿論司法────より強い紅葉の制裁が。 司法が物理的に敗北してるんよ。
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「誰も助けてくれませんねぇ……重政殿。 一つ聞いても宜しいですか?」
「にゃ?」
「私、そこそこ長い付き合いですが、未だに奏士殿の良い所が見当たらないのですが。 皆さんは奏士殿の何処を好きになったのか分かりますか?」
「なー」
「出来れば日本語でお願いします」
「にゃー」
無茶言うなと言わんばかりに前足で莇の頭をポプポプと叩く重政。
そして、莇が救出されたのは奏士が思い出した5時間後だった。
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「あ、そういや俺、年末の3日間家に居ないから。 言うてお前もだろうけど」
「……冬コミ。 奏士も前日入りするの?」
「そりゃ当然」
「……何処に泊まるの?」
「絶対言わない」
なお、後で分かる事だが、紅葉と同じホテル且つ隣の部屋でした。 神よそんなにも俺が嫌いか。
はいどーも最近冬を待ち望みながら冬の訪れに恐怖した作者です。
何故恋焦がれているのか。 それは暑くなく虫がいないから。
何故恐怖しているのか。 それはバイト先の人手が激減するから。
主力部隊という名の学生達が軒並み退職して残りは新人だけってマジで言ってます? なんか毎年言ってる気がしますが、今回はその比じゃないです。 怖いなぁ…怖いなぁ
それはそうと夏も本番ですね。 30度超えると夏って感じがします。 どっちにしろ蒸し暑いから嫌いです。
今年は半分ですが色々とありました。 ゴキカブリの大人さんと遭遇したりトイレでクロゴキカブリの幼体と遭遇したり窓にカメムシが張り付いて中々逃げなくて夜なのに雨戸閉めれなかったり……
……なんか疲れました。 世間は夏休みに突入するそうですが、私に夏休み何てものは存在しません。 強いて言うならそろそろ発売するゲームをやる為に休んだ事が夏休みです。 1ヶ月の休みが欲しい……でも宿題はしたくない。 そしてお金は欲しい。
誰か養ってくれません? と流れ星に願いを込める作者であった。
ここに書く予定のネタを忘れたのでそろそろ終わります。
ではそれではまた来週。