リア充の仲間入りしたけど感覚は今でも非リアバンザイ
まだ昇降口にすら着いてないのに帰りたい気持ちで胸いっぱい。 金あるんだから式典くらいオンラインで済ませて欲しい。
そんな僕を紅葉は掴んで離さない。 おーてーてーつーないでーバルス! 今の俺ならひとりでできるもん!
何故俺が滅びの呪文を使えるのか。 何故俺が朝っぱらからこんな戯言を抜かしているのか。 何故俺が変身直後に頭が痛むのかァ。 それを説明すると長くなるので詠唱省略『ゥ』 途中からウイルスの話になってね? しかも自分でバラしていくタイプの感染報告。
「なぁ紅葉、やっぱ俺やることが「ダメ」」
僅かな抵抗すら許されない。 紅葉は家を出た時から手を繋いで仲良し登校。
そんな僕らを学園の奴らは投降勧告。 好奇と殺意と殺意と殺意と殺意の視線が凄いや。 なんか思ってたより女子比率が高め。 いや勿論殺意の話ね?
耳をすませば当然この状況を勘繰ってる声が多数。 あとは大体「会長が汚された」だの「似合わない」だの「どうやって洗脳した」だの言われ放題。 憧れの会長様が人に堕ちた事を嘆いて俺にバイデント先が。 矛じゃ収まらず二股に。
「……奏士を悪く言ってる」
「それに関してはいつもと変わらん」
元から紅葉信者には好かれてないしね。 紅葉を天上の何かだと思ってる奴らにとって、紅葉が人間だと証明してしまう俺という存在は邪魔でしかない。 ヒエー宗教怖え〜
「……顔は覚えた」
「そんなことに脳の容量使うなよ」
「……初めに関係者が居る部活は廃部」
「強権政治はすぐ崩壊するぞ」
あと1生徒会長にそんな権力ありません。 いやでも紅葉信者多いここなら無理でも通りそう。 道理なんて便秘の時くらいすぐ引っ込むし。
「……もしくは硫酸一気飲みの刑」
「刑が重すぎるだろシンガポールのポイ捨てか?」
「……硫酸バリウム一気飲み」
「レントゲンでしたか」
いや尚更意味分からんけど。 ゲップしたら更なる罰が待ってるとかそんな感じっこ?
「……じゃあ濃硫酸のプールを泳ぎきったら無罪」
「全滅確定のデスゲームじゃん。 あと既に硫酸プールの時点で罰だろ」
「……なら濃塩酸3、濃硝酸1の順で飲んでもらう」
「体内で王水作らせようとすんな宝石の肉編でGTロボ倒す時のココかよこれ伝わるか?」
布教しまくったので紅葉もすっかり美食屋。 紅葉曰く、俺の捕獲レベルは27くらいらしい。 ガンセキコンドルと同じだと喜べばいいのか、俺を捕獲対象だと思ってることに恐怖すればいいのか。
「……私の夫を悪く行っていいのは私だけ」
「存在しない人ですね」
あとなんでしれっと自分だけ許してんだテメェ。
「……奏士は病める時も健やかなる時も私に服従する事を誓います」
「色んな意味で違います」
後半が無ければまだ良かったのに。 結婚は墓場って本当なんだな。
「……誓いの『か』が『が』になってる」
「逆に聞くけど今の条件で結婚できると思ってんの?」
「……近い内にまた分からせて誓いの『が』を誓いの『か』に変える」
「さいですか」
「……つまり奏士風に言うと「誓いの『か』になる日も近いのか」」
「朝からうるせぇな何だコイツ」
うーわすげぇドヤ顔してる。 何が「ムフーッ」だよ鼻息荒くしおって。 これが最近噂のフレネミーって奴か。
まぁコイツと友達になった覚えも友達だと認めた覚えもないから最初から変わらず純然たるエネミーな訳だが。
朝から外野より身内にイラつくが、このままダラダラ歩いていると紅葉が手を出しかねないので、うちの子を抱えてスタコラサッサと昇降口に急ぐ。
「……こうなったら学園でも婚約を周知させて何もかもはっきりさせる」
「お前がそうやって動く度に結婚遠ざかってるけど分かってる?」
「……つまり大人しくすれば結婚?」
「いや結婚するかどうかは変わらず最後次第」
「……つまり今確率下げても排出率は大差無い」
ガチャ廃人の思考回路で紅葉が暴走しかけてる。 マジで学園中に婚約報告したらとりあえずシバく。
「……奏士は付き合いたての熱が無い」
「目で見える熱は無いだろ。 やってる事この1年の延長戦みたいなモンなんだから」
もう少し紅葉と険悪だったりちょっとずつ関係が変わっていってたら違う未来もあったかもしれんが、険悪さはお互いバチバチに警戒してた初めだけだし紅葉が懐いてからはずっとベッタリだから付き合って変わったことなんて微々たる差だし。 これは多分俺より紅葉が悪いと思います。
「……つまり目で見えない所に嬉しい箇所がある?」
「…………そうなんじゃね?」
「……照れてる?」
いえ違います。 これからは癒しが欲しい時合法的に撫でれる存在が増えたとか思ってませんし。 重政は時々撫でさせてくれないので年中無休で撫で待ちしてる紅葉はちょっとだけ重宝。
執拗い紅葉を押さえて靴箱を開けると大量のラブレターが。 デスレターかもしれない。
「……その浮気は看過できない」
「落ち着け紅葉。 俺がラブレター貰える訳が無いだろ」
「……確かに」
とても不本意ながら紅葉を落ち着かせることに成功した。 これが行いの結果。
「……なんて?」
床に落ちた手紙を拾って開けてみる。 紅葉ちゃんこういう時はあまり覗き込まないモノよ?
「お前を許さない」「会長を返せ」「会長は騙されている」「洗脳の技術を伝授して欲しい」「貴方の事が嫌いです。 放課後まで待てないので今すぐに町外れの森まで1人で来い」「会長を解放するかお前の穴を掘るか選べ」「君の心臓を破壊したい」「死ね」
「……愛憎たっぷりのラブレターだな」
「……お墓はどんなのがいい?」
コイツ彼氏が脅迫されてるのに墓石のデザインを心配してんだけど。 出来ればゲーミング墓石で。
「よくもまぁさっきの今でこんな量を」
「……皆行動が早い」
「それだけじゃないぞ。 見ろ」
俺が指さした先には、ついさっき新設されたばかりの『憎きド畜生への贈り物箱 お手紙呪い大歓迎!』と書かれたプレゼントBOXが。 靴箱に入り切らないから追加するとは流石の知能だ。
「……今もどんどん増えてる」
「こりゃ75Lゴミ袋1つで足りるか分からんな」
ウチの学園ってゴミ出しの日いつだっけ? まぁゴミ捨て場に持ってきゃどうにかなるだろ。 最悪焼き芋の燃料にする。 まだ時期じゃないけど。
「……やっかみが凄い」
「分かったろ? 紅葉が結婚報告したら本当に未亡人になりかねん」
「……悔しい」
余程言いたいらしい。 これもう卒業までの半年待ってもらうとかそんなレベルじゃなさそう。 まだ時間かかるんすけど。
大量のラブレターは持ってたゴミ袋に放り込んで教室へ。 俺の懐は何でも入ってる。 念能力風に言うなら『俺の懐は大容量(4dポケット)』 これは具現化系に当たるのか?
先の一件でご機嫌ななめな紅葉を引っ張って教室に行くと、僕の机がゴミだらけ。 いやラブレターって意味ね。
中身は読むまでも無く殺害予告だろうし、泉ちゃんからのガチラブレターは混じってないので容赦無く袋に。 なんで分かったかって? 泉ちゃんの匂いもオーラも感じなかったから。
あ、藁人形。 五寸釘刺さってる。 でもこれ俺の毛髪入ってないからゴミの塊じゃね? 五寸釘ってゴミに出すのめんどいんだけど。
クラス中の視線を無視して席に着く。 紅葉はまだご機嫌ななめ。 机に突っ伏して膨れっ面。 今すぐよ〜〜〜しよしよしよしよしよしよしピーちゃんしてやりたいが、流石にクラスメイトの視線が集まる中そんなことはできないので見守る。 こういう時はゴーイングマイウェイなお友達が来るはず。
「ご機嫌よう紅葉さん。 とついでに貴方も」
「……おはよ」
「はー(おはようの意)」
毎度の事ながら雑に扱われるので俺も雑に返す。 まぁお互いに紅葉繋がりで縁は薄いしね。
そんな俺だが、今は内心「キターッ!」って叫んでる。 いや織田裕二じゃなくて。 あの人の場合は「キタァーッ」だし。 イントネーションの違い?
「元気がありませんわね。 仮にも生徒会長が夏休みにハメを外しすぎまして?」
「……ハメたけど羽目は外してない」
いーや外しまくりだった気がするけどな。 あとハメたは余計だ。
「……この学園は思ってたより心が狭い」
「……いきなりなんですの?」
「多分、皆が祝福してくれなかったことじゃないかな」
あ、神鳴まで来た。 君は呼んでないけどしゃあないか。 ポニテがいればコイツも居るし。
「……恩を仇で返す無礼者ばっか」
「人とはそういうものですわ。 信じていたからこそ、紅葉さんをお祝いしたい気持ちと彼のモノにしたくない気持ちがせめぎ合っているんですの」
「……人間は難しい」
まだ不機嫌だけど諭されて溜飲が下がったのか、紅葉の眉間のシワが少しだけ緩む。
「ご安心なさい。 こうして祝福してくれる友人は居ますわ」
「…………」
少し照れながら言うお友達。 こら紅葉急に抱きついてスリスリしちゃダメでしょ。
「……小百合、胸は硬いけどお腹は柔らかい」
「喧嘩売ってますの?」
「……ありがと」
微笑ましい友情を見れて紅葉が落ち着いたのはいいんだけどさ。
俺としては紅葉をNTRれた気分なんだけどどうしてくれんの? 紅葉のスリスリ役は俺の役目じゃあ……
「なんだか悔しそうにしてるけど、それなら君も混ざればいいんじゃないかな」
「別にそんなことは無いが、この世には性別の壁というものがある。 今紅葉に手を伸ばせるのは同性だけだ」
「強がりだねぇ」
いや全然悔しくなんてないですけど。 悔しくて血の味とか感じませんけど。 ぐやじいです! よく言えました。 生徒会室で思う存分甘やかそ。
「ところで、僕からのプレゼントはどうだった?」
「やはり藁人形は貴様か」
「うん。 皆がプレゼントあげてるし、僕も何か想いを込めた物あげなきゃと思ってね」
「うちの子に悪影響だから半径100m以内に近寄るな性悪ドSめ」
「悪影響度合いなら君たちカップルは僕以前に手遅れじゃないかな」
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『────残り半年も無事で過ごせるよう、怪我と風邪に気を付けて過ごしましょう』
会長挨拶を終えた紅葉が舞台袖に戻ってきた。 おい抱き着くんじゃない。
「おつかれさん」
「……褒めて」
「偉い偉い」
「……撫でて」
「よーしよしよし」
客席──生徒側から見えないとはいえ、幕を隔てたすぐそこに学園中の人が居るので小声で。 始業式中にこんなことしてたら言い訳しまくりのお説教が開催される。
「……皆私の挨拶より私達の関係の話してた」
「そういうもんだ」
ウチのクラスは今朝の小百合嬢の一件で多少マシにはなったが、他のクラス────特に下級生は紅葉とより接点が無い。 情報源も人柄も噂がメインの生徒会長が「副会長と夏休みに付き合い始めたし朝は手を繋いで登校」なんて話題性抜群視聴率も稼げるネタ放っておく訳無い。
「……皆奏士を悪く言う」
「当然の結果だ」
いやね? 今では俺だと主張するけど、紅葉との縁やらなんやらが無ければ俺が釣り合ってるとは思わないし。 色々重なった結果綺麗に収まっただけで、知らん人からすれば色々分からないぽっと出の副会長とみんなの憧れ生徒会長だ。
それでも、モブが何言っても俺は俺で紅葉は紅葉なので。 俺が諦めて俺が決めたので他人にとやかく言われても知らん。 噂する権利は有るけど口を出される権利は無いし。
「どうせすぐ飽きられる噂だ。 今じゃ先週の話題ってのは古い話だそうだ」
「……でもSNSじゃ先月のネタをまだ擦ってる」
「例外を持ち出すな。 それに最近のネットミームは廃れが早い」
なんか2週間で流行りのネタが変わってる気がする。 ネットミームが集まる度投下される混沌を極めるコラも前より登場スパン短くなったし。
「……ぎゅうして」
「生徒会室でな。 ここでやって見られたら怒られる」
「……2人きりならいっぱいしてくれる?」
「気の済むまでやってやるから早く離れて降りるぞ。 ほら校長が話してる」
壇上では我らが宿木学園高等部の校長が始業の挨拶をしているが、ほっとんど聞いてない。 まぁ誰も校長に興味無いわな。 おじさんより可愛い理事長と可愛い生徒会長の話の方が聞きたい。
『理事長挨拶 如月理事長お願いします』
『うむ』
舞台袖から出て体育館の隅の生徒会枠で紅葉を立たせる。 流石に大声で噂するような奴は居ないが、それでも関係を疑う声は耳に届くし、そういう氣が伝わってくる。
「…………むぅ」
理事長挨拶とヒソヒソ話を耳に始業式を流す。 式中だから紅葉をどうこうできないのがもどかしい。
俺としては別に事実陳列されてるだけだし他の人が思うのは勝手なのでそこまで気にならんのだが…………まぁ紅葉は紅葉の想いがあるしな。 ちょっと恥ずかちー
はいどーもみなさんこんにちは
最近「こんにちは」と言ってない気がする作者です。 強いて言えば今これを書きながら大阪蛮博のテーマソングを思い出して歌っています。
にしても懐かしいですね1970年の大阪蛮博。 私は当然意識が無い頃なので実際に目にしたことはありませんが、聞いた話だと蛮博は世界中から蛮族を集めて展示する日本蛮族博覧会が正式名称だとか。 冗談です。 博覧会なんて開かなくても治安悪い地域に行けばいくらでも見れますしね。
ではこの辺で。 流石に肌寒くなってきたので最近タオルケットから毛布に切り替わりました。 しかし冬毛布ではまだ暑い日があるので扇風機弱を使う時がある謎。 程よい気温に落ち着いて欲しいですね。




