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異世界でレッドドラゴンに転生した俺は…

作者: 那堕翔

前回の短編の続き物として書きましたので、前回読まれた方は今回の短編も読んでくれると嬉しいです。

 俺の名は真盛(まもり)太陽(たいよう)、高校2年生の17歳だ。

 昨夜は若くて綺麗な声の女神に、飲めば超能力を取得する事が出来ると言う怪しい薬を渡されて、試しに飲んでみたら2回テレポーテーションを使えたものの、3回目を使おうとしたら眩暈がして意識を失うと言う変な夢を見た。

 そんな変な夢から覚めたら、いつもの俺の部屋の天井ではなく鍾乳洞だった。

 俺はまだ夢から覚めないのか?

 1日に何度も夢を見るなんて、俺は深い眠りに就けない程ストレスが溜まってるのか?

 昨日は特に何の変哲もない、いつもの1日だった筈だが。

 何か身体中冷えるな。

 起き上がろうとしたら、身体がやけに重かった。

 俺って、こんなに重たかったっけか?

 身長175センチで体重は67キロだから、極めて標準だと思うけど。

 まさか、熱があるのか!?

 額に手を当ててみたが熱くなかった。

 自覚症状なく身体に支障が出る程ストレスを感じてるなんて、俺は相当ヤバいんじゃないか!?

 確かにこの現代社会でストレスフリーで生きて行くのは無理ゲーだけど、毎日神ゲーやってストレス発散してるしな。

 て言うか、今度は俺の部屋じゃなくて洞窟に居るとか、全然繋がりのない夢だな。

 あれ?ちょちょちょちょちょ待った!

 手を突いて起き上がろうとしたら手に違和感を感じたので、目の前に翳してみたら余りの衝撃に思わず叫んだ。

 

「何だ、この手は!?」


 鱗のある赤いゴツゴツした鋭い爪の生えた分厚い手を見て、仰向けに寝てた状態から起き上がって胴体を見て更に驚いた。


「この体はモンスターか!?いや、ドラゴンか!?鏡がないから顔は確認出来ないけど、この威厳溢れる風格はきっとドラゴンに違いない!生態系最上位種のドラゴンになる夢を見るとか、今度は最高じゃないか!」

『これは夢ではありません。あなたはあちらの世界で死んで、こちらの世界でドラゴンに転生しました』

「何だ!?また女性の声が脳内に!」

『私はナビゲーターです』

「ナビゲーターって。まだ今の状況を全て飲み込んだ訳じゃないけど、俺が死んだって言うのは本当なのか!?確かに眩暈がしたのはリアルだったけど、その後の記憶が全くないのも確かだからな」

『異世界転生と言うのはご存知ですか?』

「ラノベやアニメでよく見る、あの異世界転生?」

『あなたの世界の事は分からないのでラノベやアニメと言うものが何なのかは分かりませんが、ご存知なら話が早いです』

「えっ、あれはリアルで起きてた事なのか!?」

『はい。あなたも戦争の女神の餌食にされたようですね』

「戦争の女神!?あなたもって事は、他にも居るのか!?」

『はい、99人居ます』

「そんなに!何でそんなに被害が出てるのに止められないんだ!?」

『神が住む天上世界から干渉してますので、我々にはどうする事も出来ないのです』

「戦争の女神って、戦争させるのが好きな女神って事か?」

『はい。人々を争わせて、それを見物して愉悦に浸る女神です』

「戦争で金儲けして喜ぶ死の商人みたいなものか。それで、戦闘に特化した能力ばかりだったのか!でも、薬が効かないんじゃ意味なくないか?」

『人間には毒だったようですね』

「他の奴らも異世界転生したのか?」

『はい。今回みたいな人智を超えた力が関わった死の場合は冥界には行かず、異世界転生しますからね』

「他の奴らも俺みたいにドラゴンに転生したのか?」

『名前に応じて何に転生するかが決まりますので、この世界の最強種族の頂点に立つレッドドラゴンに転生したのは、あなたが初めてです』

「この世界の最強種族の頂点って、俺がこの世界で一番強いって事か!」

『はい』

「それは凄いわ!名前に応じてって、俺の名前が太陽だからか?」

『はい。レッドドラゴンは太陽の化身ですからね』

「太陽って名前が嫌でずっとコンプレックスだったけど、まさか死んでから名前に感謝する日が来るとはな!」

『ですが、この世界ではドラゴンは忌み嫌われていて人類の敵とされていますので、この世界で元の世界みたいに平穏に暮らしたいなら擬人化して、人間として生きて行く必要があります』

「そうだよな、大体ドラゴンは悪役で討伐される側だもんな。本当は人類と共存出来るといいんだけど、なかなか難しいよな」

『この世界にはかつてドラゴンは5体居て各地で暴れ回っていましたけど、いずれも勇者の聖剣によって討伐されましたからね』

「みんな勇者に討伐されたんじゃ、この世界では勇者が一番強いって事になるじゃないか!」

「正しくは聖剣を持った勇者なので、聖剣がなければドラゴンは討伐出来ませんでしたし、ドラゴンに取っての天敵は聖剣と言えます」

「聖剣がドラゴンの弱点と言う訳か。ヴァンパイアで言う、十字架みたいなものか。俺が勇者に討伐された内の1体として生まれ変わった訳だな!」

『そう言う事になります』

「て事は、後4体も誰かが転生してるのか?」

『その可能性もないとは言い切れませんけど、ドラゴンに転生するのは極めて稀な事ですからね。既に転生していたら、私のようにその者に付いてるナビゲーターがアドバイスして、上手く人間に化けて溶け込んでいるかと思いますが、同じ種族同士なら姿形が変わっても気配で分かりますからね』

「そうなのか!それなら、他にも俺と同じようにドラゴンに転生した奴が居ないか探してみるのも面白そうだな!」

『いずれにせよ、そのままの姿で居るのはまずいので人間に化けて下さい』

「どうやってやるんだ?」

「如意宝珠に、前世の自分の姿に変わるようお願いするだけです」

「ニョイホウジュ?」

『はい。胸の中央に付いてる如意宝珠に願えば何でも叶います』

「胸に?」


 胸を見たら、直径10センチくらいの鈍く光り輝く赤い球が付いていた。


「これがニョイホウジュか!何でも叶うって凄いな!でも、これを壊されたらドラゴンに取って致命傷になるんじゃ?」

『そうですね。如意宝珠を聖剣で打ち砕かれて討伐された訳ですので、ドラゴンの命その物でもあります』

「そんな弱点を堂々と曝け出してるなんて危険じゃないか!」

『逆に如意宝珠さえ傷付けられなければ無敵と言えます。聖剣でないと打ち砕く事は出来ませんので、聖剣さえなければ問題ありません』

「その聖剣を持った勇者は、今何処に居るんだ?」

『もうかれこれ30年程前に亡くなりましたので、聖剣も今は何処にあるのか分かりません』

「そうか。それじゃあ、聖剣を見付けて手に入れてしまえば、俺はこの世界で何にも脅かされる事なく平穏に暮らして行けると言う訳だな」

『そうですね』

「ちょっと待てよ!何でも願いが叶うと言う事は、生き返って元の世界に戻る事も可能なのか?」

『如意宝珠に叶えられない願いはありませんので可能です』

「そうか!それは助かるわ!訳分からないまま女神に殺されて、幟穗璃(しほり)ちゃんの居ない世界で生きてくなんて地獄でしかないからな!」

『シホリと言う方は、恋人か何かですか?』

「ゲームのキャラだけど、まあそんな所だよ」

『ゲームと言うものが何なのかは分かりませんけど、恋人と離れ離れになるのは辛いですものね』

「そもそもドラゴンにはこんなチートアイテムがあるんじゃ、聖剣を壊して貰えば良かったのに」

『流石の如意宝珠でも、神の力には対抗する事が出来ないのです』

「何だよ、叶えられない願いもあるんじゃないか」

『そもそも如意宝珠自体が、神によって作られた物ですからね。この世界は、神によって創られた世界な訳ですしね』

「人類の敵であるドラゴンへの対抗手段として、聖剣を与えた訳か。そう考えると、この世界の神も勝手だよな。結局この世界の神も、争わせるのが好きなんじゃないか?まあ何にせよ、俺は元の世界に戻れればそれでいいんだけどな。神に一泡吹かせる事が出来ないのは残念だけど。他の理不尽に殺された99人も生き返らせて元の世界に戻してあげたいんだけど、それも可能なのか?」

『はい、可能だと思います。レッドドラゴンの如意宝珠は、他のブラックドラゴン、ブルードラゴン、ホワイトドラゴン、ゴールドドラゴンの持つ如意宝珠と比べて、生命に関する力が一番強い球ですので』

「そうと決まれば、こんな幟穗璃(しほり)ちゃんの居ない世界とはおさらばだ!どうやって願いを叶えて貰うんだ?」

『心の中で念じれば願いは叶えられます』

「そうか!」


 俺は心の中で「戦争の女神に殺された人全員を生き返らせて、元の世界へ戻して下さい」と念じたら、如意宝珠が眩い光を発した。


『如意宝珠が光り輝いたら、願いは叶えられます』

「それは良かった!短い間だったけど、色々教えてくれてありがとな!」

『はい、あちらの世界でシホリ様とお幸せに』

「おう!」


 ナビゲーターに別れを告げて、元の世界へと戻って来た。


「おお、俺の部屋だ!幟穗璃(しほり)ちゃんの居る、元の世界に戻って来たぞ!」


 時計を見たら7時5分だった。

 スマホを見たら、日付けも変わってなかった。

 異世界に行ってから、まだそんなに時間が経ってなくて良かったわ。


「お(にい)ー!まだ寝てるのー!?いい加減起きて来ないと遅刻するぞー!」


 1階から生意気な妹が、大声で叫ぶ声が聞こえて来た。

 だが、いつもならイラつくその声を聞いて安心する俺が居た。


「もう起きてるわ!今から降りるとこだし!」


 そう叫び返して、急いで制服に着替えて1階へ降りて行った。

 普通の日常に戻ったと喜んでいた俺は、その時はまだ気付いていなかった。

 胸の中央に、大きな痣が出来ている事に。

如何でしたでしょうか?

次回からは現代を舞台にした物語が展開して行く予定ですので、また投稿した際には懲りずに読んで貰えると嬉しいです。

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