目標地点
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アルト達、エレーデンテの三人はルベンについて行き中央の大きく透明な柱の前に立った。柱の中から皿のような板が降りて来る。
「さぁ、乗ろうか。これで上に行くんだ。どうしたの?」
三人が乗ろうとしないことにルベンは疑問を持った。
三人を代表したかのように、エリー・レドロがおずおずと聞いた。
「あの、この薄い板に四人も乗って大丈夫なのですか・・・?」
「あぁ、新人恒例のやつか! 大丈夫、大丈夫。これが昇ってる最中に落ちた事なんて、一回も無いから」
ルベンの言葉の信用し三人はそっと乗った。ルベンが行き先を告げると、上昇を始めた。余りの速さにあっという間に一階が遠くなっていく。
三人は下を向き体が強張った。クラルドは荷物をぎゅっと握って、エリー・レドロは下を見ながらそわそわした。アルトも腰に下げている剣の柄を強く握る。
その三人の様子を後ろから見ながらルベンは笑いを堪えていた。
しばらく昇り続けると、板が止まった。そこは談話室があり二つの通路に分かれていた。左に男のマーク。右に女のマークが記されている。
「印にあるように、左が男性。右が女性だ。それぞれの通路に行ってもらうと、また、小さな広間がある。そこに寮の部屋割りが書いてある。中には設備の説明の紙がある。部屋は二人一組となるから、隣人とは仲良くするように。それじゃあ、部屋に荷物を置いて。ここに集合」
「「「はい!」」」
クラルドと通路を進むと小さな広間に出た。そこには、話の通り名簿で記された部屋割りの紙があった。アルトは五番。クラルドは七番だった。
「アルトと一緒じゃなかったか。残念」
「そうだね。相部屋の人が良い人だといいな。それじゃあ、こっちの部屋だから」
「うん。また後で」
部屋を開けると中は意外と広かった。奥の窓際には二つの机が置かれ、その横にベッド。ベッドの手前側にはクローゼットや荷物置き場があった。シンプルな部屋だ。ここにもパルメラ石が置いてあり、夜は石が照らしてくれるのだろう。
机には紙が置いてあった。紙にはパルメラ石の使い方やトイレ、風呂場や洗濯場、食堂などの説明が書いてあった。
同居人側の方を見ると、荷物はすでに置かれてアルトよりも早く来ていたようだ。
「おっと、ルベンさんの所に行かないと」
***
「よし。全員来たな。そらじゃあ、ザクルセスの塔の中を案内する。ついてこい」
ルベンを先頭に進む。また、あの乗り物だ。足を乗せた時に若干沈む感覚が怖い。寮に来るまで、どれほどの高さがあるか知っていると鳥肌が立ってしまう。
「ところで、これは何ていう設備ですか?」
「言ってなかったな。これはエレベーターだ。乗って行き先を言うとそこまで連れて行ってくれる。訓練室!」
ルベンの言葉にエレベーターは動き、訓練室と思われる場所に着いた。
「ここが、エレーデンテの訓練室だ。座学と戦闘訓練ができる場所。こっちへ」
促されてついて行くと、大きな講堂の様な場所に出た。
「ここで座学を学ぶ。読み書き計算。教会について。魔物について学ぶ」
クラルドが質問をした
「あの、すごく大きな場所ですがエレーデンテは何人いるのですか?」
「今回のエレーデンテは年長組は四十人だな」
「年長組?」
「一階で見たと思うが幼い子供もいただろう。あれは幼年組で、お前達、成人や成人に近い組は年長組って分けているんだ。訓練の内容も変わって来るからな」
「小さいのに、親元を離れて訓練ですか・・・」
「幼年組には色々とサポートもあるからな。考えているほど悲しい話じゃないぞ。アルトが知ってる人で言えば、アーブとラウも幼年組だ」
そういえばと、エストまでの旅の途中で聞いたことがある話だった。最初は寂しかったらしいが、親代わりの人や、同じ幼年組の仲間と助け合ったことを聞いた。
講堂で学ぶことを聞いた三人は外へ出た。広い運動場があった。高い階層だからか、冷たい空気が入って来る。
「ここで戦闘訓練をするんだ。剣やそれぞれに合った武器の戦い方や体術。身を守る術だな。エレーデンテ課程は二年間あるが、一年目の終わりに選抜試験がある。学力と武術で競い合い、優秀者は一般課程を終えて、上級騎士のもとで残り一年訓練するんだ」
「やはり、上級騎士との訓練になると内容も大きく違うのですか」
エリー・レドロの質問にルベンは曖昧な答えだった。
「んー、それぞれ違うからな。いきなり、上級騎士と一緒に魔物討伐に出る人もいるし。ひたすら武術の訓練をする人もいる。中には、学問を究めさせようとする人もいる。でも、上級騎士と訓練すれば間違いなく頭一つ飛びぬけた下級騎士にはなれるよ。そういう人が今の上級騎士にも多い」
この言葉を聞いて、アルトは自分の目標を見つけた。
(上級騎士との訓練。とりあえず、そこを目指して頑張るか)
自らの願いを叶えるため、アルトは気を引き締めた。
「エレーデンテで必要なことはこれで以上だ。この後は、三人の親睦の時間を取ろうと思う。昼飯は食べてないだろう? 食堂に行こうか」
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