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教会騎士アルトの物語 〜黎明の剣と神々の野望〜  作者: 獄門峠
第一部:教会騎士 第二章:ザクルセスの塔
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決着

 

 モルは吹き飛ばされたドヴォルに驚き、辺りを見回してアルトを見つけた。


「アルト。何でここに」


「父さん達を助けに来たんだ」


「助けって・・・。アリア達はどうしたんだ!?」


「皆、宿の方にいる。早くこいつらを倒して家に帰ろう。マールさん、ごめん」


「・・・はぁ。あとで説教だな」


「俺もマールさんに言いたいことがある。でも今は、周りにいる人の治療をしてあげて」


「わかった。モル! ボーッとするな!」


「あぁ。俺もあとで説教だからな!」


 そこに、もう一体のドヴォルと戦っていたアーブから声がかかる。


「こいつは俺が相手するから、二人はそいつに集中してくれ!」


「わかった。すまない」


 吹き飛ばされたドヴォルは立ち上がり、握り拳を作った。


「アルト、気を付けろ。このあと火の玉が飛んでくるぞ!」


「わかった!」


 アルトは集中して、直感力が高まっていくのを感じる。


「!」


「アルト!」


 ドヴォルから放たれた火の玉がアルトを狙う。それを横に避けて、すぐにドヴォルに斬りかかる。アルトの剣を受け止めたが、モルが隙を突く。一撃を入れた後に、二人は下がる。


「さっき避けれたのは、偶然なのか?」


「いや、マーラの力を使って。あと、あの火の玉はどうやってるかわからないけど、マーラを使ってる」


「魔法じゃなかったのか。火の玉を撃つ瞬間はわかるか?」


「わかる。あと、マーラの流れで火の玉を準備しているのもわかる」


「よし。火の玉を準備し始めたら教えてくれ。見た限り、あれはすぐに撃てないんだろう?」


「そうみたい。撃つまでに間ができる」


「それなら火の玉を撃つ準備をするまでは、二人で連続で攻撃するぞ!」


「うん!」


 二人は同時にドヴォルへ向かい、斬撃を与える。マーラを使ったアルトの強力な攻撃を受けるのに苦戦して、モルの攻撃が入りやすくなっている。致命打にはならないが、着実にドヴォルを追い込んでいく。


「お前が来てから、楽になった!」


「最初から、こうすれば、よかったんだ! 準備はじめた!」


「離れろ!」


 アルトはドヴォルの手にマーラが流れていくのを感じる。


「右に避けて!」


「ッ」


 火の玉はモルに放たれたが、アルトの言葉通り右に避けれた。放った瞬間の間を狙い、アルトの突きが入った。火の玉を避けきったモルも、すかさず、ドヴォルを貫く。


「アルト、今だ!」


 剣を抜いたアルトはマーラを腕に集中させて、ドヴォルの体を斬る。深く入った一撃でドヴォルは倒れた。

 ドヴォルの体が崩れていくのを確かめた二人はアーブの援護に向かった。

 アーブは互角の状態で応戦していた。


「くっ」


「アーブさん、そのまま引き付けてください!」


 アルトはドヴォルの隙を突き斬りかかった。予想していなかった襲撃を受けたドヴォルは太い腕で防ごうとしたが、斬り落とされた。圧力が弱まった剣をアーブは弾き返し、素早く連撃をあたえた。よろめいた隙を突き、とどめの一撃をいれた。


 ドヴォルの体が崩れていく。


「・・・・・・ありがとう。助かった。ラウ!」


 アーブは簡潔に礼を言うと、ラウのもとに行った。

 マールが治療していた。


「傷は治しました。今は、気を失っている状態です」


「よかった・・・。ラウを助けてくれてありがとうございます」


 アーブは仲間の無事に涙した。


「・・・・・・やっと、これで終わったのか」


 モルは溜息をつきながら、戦いの終わりの余韻を感じていた。

 アルトもマーラを使い、周辺に魔物がいないか調べた。その様子をアーブは見ていた。モルはそれに気付き、複雑な思いをした。


「アルト君、ラウさんは大丈夫だから他の人の治療をしていこう。薬と手伝いの彼女達を呼んで来て。モルは動けない怪我人を集めて」


「私も何か手伝います」


「それなら、アーブさんは村全体のことをお願いします。避難している人に戦いが終わったことを知らせないと」


「わかりました」


 アルトは仮設治療所に行こうとしたら、モルに呼び止められた。


「アルト、言いたいことはたくさんあるが。・・・助けに来てくれて、ありがとう」


「うん。父さんも無事でよかった」


 モルは笑いながらワシャワシャっと飴色の髪を乱暴に撫でた。

 普段ならアルトは嫌がるが、今ぐらいは良いかと素直に乱暴な手を受け入れた。


 こうして、リンド村は魔物達との戦いを終えた。

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