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教会騎士アルトの物語 〜黎明の剣と神々の野望〜  作者: 獄門峠
第一部:教会騎士 第一章:夢
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未来予知

 

 キケロの言葉に二人は驚いた。


「あの、強すぎる力は代償を払うんじゃ・・・」


「大丈夫。アルト君の今の能力でも代償無く、未来予知が出来る。例えば造語だが、一般的な感知者の最大感知力を十とする。そして、未来予知に必要な感知力は十五。今、抑えた状態のアルト君の最大感知力は十五だ。代償を払わないで済むように抑えている状態でも一般的な感知者よりも高い。代償無く未来が見えるなんて、羨ましいよ」


『あれだけ苦労したのにな』と朗らかに笑うキケロに、ミーナは恐る恐る尋ねた。


「あの、今の例えで言うとキケロ様の最大感知力は・・・?」


「・・・・・・秘密」


 ニッコリと答えたキケロは、そそくさと、アルトに指示を出した。


「アルト君、ここに座って瞑想をするんだ。目を閉じて背筋を伸ばし、ゆっくりと鼻で呼吸をする。呼吸をする事のみに意識するんだ。何か浮かんでも考えず。ただ、呼吸をするだけ」


 キケロの言葉通り、アルトは瞑想を始めた。なかなか、雑念が消えなかったが次第に頭が空っぽになるような感覚がした。


 辺りは風や、それに揺れる草花や生き物の動く音のみが支配する。


 アルトの頭の中の暗闇は深まり、ゆっくりと光景を映し出す。いつも夢で見る光景だ。ただし、ティトは出てこない。夢とは違い村の光景が鮮明にわかる。次第に光景が動き始めた。そこには、声や人の動き、揺れる炎。今まで見えなかった事、聞こえなかった事がわかる。


「ッ!」


 しばらくすると、アルトの体が大きく揺れた。

 息を思いっきり吐きだし、大きく呼吸する。顔は汗ばんでいた。


「未来が見えたか」


「はい。・・・襲撃は明日の夜。それと、ミーナは絶対に攫われる」


「えっ」


「あの場所に、攫われる場所に行かざるを得なかった。そうしないと死んでいた。そして、俺とモルさんが追いかけた先、そこで途切れました」


「そうしないと私は死んでいた? どうしてなの?」


「獣人達が襲ってきたんだ。最初は市場から。そこでモルさんと一緒に戦っていた。しばらくすると、ミーナが逃げてくる。家の方向からも獣人が襲ってきたと叫んで避難所方向に逃げようとしたらどこからか獣人が出て来て連れ去られた」


「そんな・・・」


「キケロ様、この未来を変える方法はないですか?」


「未来が変わることは滅多にない。ミーナさんが獣人から逃げて来たと言ったけど、そうせざるを得ない他の要因があるということだ。残念だが、その流れには逆らえない。そして、途切れた先に君達の運命がある」


 無言になる二人に、キケロは続けた。


「だが、心構えと準備は出来る。途切れる所までは君達は生きている。そうなるように準備をするんだ。市場でアルト君はモルという人と一緒に戦って途切れる所まで行く。その後はミーナさんを攫った獣人と戦いになるだろう。ミーナさんは攫われた後がわからないから、二人が追いつくまで、道中、生き残れるように準備をするんだ。途切れる場所は具体的にわかる?」


「はい。門を出て進んだ森です」


「そうか。経験だが未来予知で見えないのは見えない理由がある。森自体にマーラを阻害する何かがあるとか。だが、場所がわかるなら都合がいい。その場所で何が起きてもいいように準備が出来る。確実なのは、攫って行った獣人との戦い。そこで二人とモルという人が生き残れるように回復薬や代えの武器を周辺に置いておく」


「あの、森に罠を張るのはどうでしょうか?」


「良い発想だが、今回は森でのミーナさんの状況がわからない。罠が不利になる事がある」


 一通り話したキケロは最後に二人に告げた。


「未来予知で見た光景が変わる事は滅多にない。だが、その先の運命は自分たちの力で選べる。選んだ答えが運命だ。幸いにも運命の時まで、時間に余裕があり具体的な場所がわかる。だから、全力を尽くすんだ」


 二人の顔は、さきほどの悲壮感から力ある表情になっていた。


「二人なら、必ず最良の答えを出せる!」


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