レッドサンシャイン!無敵キズナイジャー!!
思いついたのでゆらゆらと書いていきます。本家みたく、1週間に1度は更新していきたいです・・・。
「ハッ、ハッ」
いきなりで悪いけど俺の名前は愛野メグミ、よく女の子みたいな名前って言われるけどれっきとした男だ。
そんな俺は学校帰りの日課の夕飯の買い物を済ませて家に帰るところだった。
が。
「バッテンバッテン!」「バッテンバッテン!」
今、悪の組織の戦闘員っぽい奴らに追われています。
「クソッ」
愛野メグミは怪しげな集団から夢中で逃げているうちに行き止まりへと追い込まれてしまった。見たところその集団は手に大きいナイフのような鉈のような武器を持っており友好的でないことは明らかである。メグミは人生最大の命の危機を感じていた。
「バッテン!」
怪人がその武器を投げてメグミの頬とメグミの持っているエコバッグを掠めた。頬からは血が流れ鋭い痛みをメグミの脳髄へと伝えてきた。
だがしかし、メグミはそんなことよりも。
「てめえら何しやがる!!」
道端に散乱したエコバッグの中身のほうを気にしていたのだ。
激情にかられたメグミは怪人の一人に殴り掛かった。
「バッテン!」
「これは今日の夕飯の材料なんだぞ!!汚れちまったじゃねえか!!」
メグミは自らが傷つけられたことより、弟たちへ作る夕食の材料が台無しになったことのほうに怒るタイプであった。
しかし、いくら怒りで強化されているとはいえ、人間の能力には限界がある。
「ぐぅっ」
すぐさま怪人たちの力に組み伏せられてしまった。
(ちくしょー・・・)
自分がヒーローだったらこんな戦闘員もどきたちはあっと言う間に倒せてしまえるのだろう。しかし自分はヒーローじゃないしヒーローなんてこの世にはいない。
メグミはこれまでの短い人生を走馬灯のように感じていた。
その時だった。
「ブーメラン!!」
「バァッテンッ!!」
怪人たちの体を風の刃のようなものが掠め、薙ぎ倒した。
(な、なんだ・・・?)
夢か、幻か。そこには4人の戦士たちがいた。
「ブラッククロス!人々の平和を乱すものは私たちが許さない!」
仮面をかぶり、マントをたなびかせた赤、青、黄、緑の四色の戦士だった。
「「「「団傑戦隊キズナイジャー!!!」」」」
「え・・・?」
目の前で繰り広げられる、空想のような世界にメグミは唖然とするばかりだった。
(夢、じゃあねえよな・・・?)
メグミは自分の頬をつねって確認してみるも、その痛みが逆に現実を認識させた。
テレビのヒーロー番組でしか見たことのないような光景が目の前で繰り広げられているのだ。
「やぁっ」「といやっ」「はぁっ」「うあたぁっ!!」
四人の戦士は次々と素手で黒い怪人たちを倒していく。まさにヒーローと戦闘員の戦いの様式美であった。
「みんな、行くよ!」
リーダーであろう赤が全員に号令をきる。
「「「「団傑キック!」」」」
「「「「「バッテン!!!」」」」」
彼らは4人全員でキックをし、大量の戦闘員もどきを一気に吹き飛ばした。
(すっげ)
メグミは物陰から見てて、ヒーローってホントにいたんだなぁと感心するばかりであった。下の弟妹たちの付き添いで見ている、日曜朝のヒーローヒロイン番組の中でしかこんな光景見たことなかったからだ。
「何をしている貴様ら!それでも誇り高きブラッククロスの兵士か!?」
とか思っていると、あたりにドスのきいた怒号が響き渡った。
「お前は!」
「ブラッククロス兵隊長、お相手いたそう」
現れたのは先ほどまで戦っていた黒の兵隊たちの装飾を派手にしたような、まさにワンランク上であろうといった怪人だった。兵隊たちと違って服の色も赤く、持っている武器も鉈ではなく長い薙刀だった。
「ブラックスラッシュ!」
「「「「うわぁぁぁっ!!」」」」」
「うぉっ」
兵隊長が必殺技めいたものを放ち爆発が起こり、ヒーローたちはメグミの方向に吹き飛ばされた。その威力たるや、割りと距離のあったメグミの方まで衝撃波が届くほどだ。
「うぅっ」
「ハッハッハ、噂のキズナイジャーとやらもそんなものかね?」
兵隊長が薙刀を振りかざし、ノッソノッソと近づいてくる。明かにとどめを刺す気だ。
「お、おい。あんたら大丈夫か!?」
この状況でメグミはヒーローたちの心配をしていた。このまま自分も殺されるかもしれないのに。そういう性分だった。
「あっはは、何とかね」
黄色があっけらかんと話す。
「というかあんたまだいたの」
緑がぶっきらぼうに話す。
「危急存亡。早く逃げるべき」
青が異常なほど冷静に話す。
「そうだよ!ここは危ない!あなたまで巻き込んじゃう!!」
赤は話し方には最も焦りが見えていた。
とはいうものの、兵隊長の怪人はもうすぐそこまで来ていた。
「終わりだぁ」
と、その時。
ビーンビーンビーンビーンビーンビーンビーンビーン!!!
「な、何?」
何かのコールらしきものが、辺り一面に響きわたった。
「これってー、まさか・・・」
「間違いない。十中八九この近くにキズナイジャーがいる、というか多分目の前に」
「え、じゃあこいつが最後のキズナイジャー?マジで?」
何やら青黄緑の3人が何やら話している。が、メグミには何が何やらさっぱりであった。
「あーもう、しょうがない!ねえ君!」
「は、はい!」
赤に詰め寄られるように迫られメグミはさらに困惑する。
「正義の味方になる気はない!?」
「えっ?」
「やり方は簡単!このキズナブレスレットをつけて変身するだけ!」
「いやちょっと・・・」
「おやおや戦闘中に無駄話とはずいぶんと余裕じゃないか」
業を煮やした相手の兵隊長が皮肉交じりに声を飛ばしてきた。
「ちょっと黙ってろ!今大事な話してんだ!」
「え」
「人が離してる最中には割り込むなって小学校で習わなかった?」
「えぇ・・・」
「傲慢無礼。悪とは言えど筋は通すべき」
「あっ、はい。すいません」
青緑黄にボロクソに言われ兵隊長と兵隊はすごすごと下がる。それでいいのか悪の怪人。
「よしっ!じゃあ決まり!これつけて!」
カシッとメグミの右腕にブレスレットが装着される。
「えーと、俺まだヒーローになるなんて言ってな」
「で、ここの部分を押し込む」
「俺の事情とか関係なしでドンドン進んじゃうんだな」
カシッ
『キズナ!ハイリマース!』
『ダンダンダダーン!!ダンダダーン!!!』
「何このアブラ多めのラーメン屋みたいな歌!?」
「歌は気にしないでいいから。で、ブレスレットのこの部分を」
『ダンダンダダーン!!ダンダダーン!!!ダンダンダダーン!!ダンダダーン!!!』
「さっきからうるさいなこの歌!!ご近所迷惑だろ!!」
「そういうもんだから。そしたらブレスレットを開きながらこう言うの。チェンジダンケツ!」
「え、高2ににもなってそんな決め台詞を大声で?」
「そういうもんだから。さあ!変身よ!!」
「え~っと・・・ チェンジダンケツ」
カシャン!!
『Done!!Gets!!』
大きな英語音声が流れたと思うと、メグミの体を光が包み、服が変わっていく。眩しさにメグミは思わず目を閉じる。
そして光がおさまったかと思うと、メグミの姿は変わっていた。目の前のヒーローのような奴らと同じように。
「これは・・・」
そう、その姿は。
「これは・・・・・!」
まさしく。
「ピンクじゃねぇかぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」
日曜朝の戦隊のヒロインのようだった。
「ねえ何でピンク!?俺男なんだけど!?せめて白とか黒とかにして!?」
「余ってたのがその色だったんでしゃーなしっ」
「男ピンクも最近のトレンドっしょ」
「性別で色を決めつけるのはよくない。男女平等」
「いや、でも・・・」
「よしっ、これで5人そろったね!」
「俺に拒否権ないんだな」
こうして、地球を救うべく、5色のヒーローがこの世に生誕した。
「皆行くよ!!熱いキズナっうぉおっと」
「流石に長いわ。待たせすぎだわ」
流石に相手に兵隊長もしびれを切らしたらしい。エネルギー弾みたいなものを飛ばして攻撃してきた。
「ちょっと!!名乗り最中に攻撃するなんて一番やっちゃいけないことでしょ!?プライドないの!?」
「いやいや戦闘中に敵の要求飲んで攻撃中断して俺が変身するまで待ってくれるなんてすげえ寛大だと思うぞ」
「そのピンクの言うとおりだ。感謝してもらいたいね」
「それもそうね。ごめんなさい。そしてありがとう」
「素直だな。流石ヒーロー」
「レッドはそういう子。温良恭倹」
地球をかけた戦闘中にも関わらず、何やら和やかな雰囲気が漂っていた。
「じゃあ今回は名乗りは省略ってことで!」
「とっとと終わらせて帰ろう」
「5人の初名乗り・・・。やりたかった」
「次の機会を待とう。一期一会」
「それ使い方間違ってないか?」
「ええい、5人揃おうが同じことよ!!バッテン兵!やれー!!」
「バッテン!!」
「え、これ俺マジで戦うの!?」
気を取り直して、ここに、長きにわたる地球の命運をかけた、正義と悪の戦いが始まったのである。
「でやぁ!!」「うりゃうりゃ!」「はっ」「とやぁっ!!」
俺以外の4人は慣れた手つきでスタイリッシュに戦っていく。俺はただひたすらあわあわうろうろするばかりだ。
「俺、喧嘩もまともにやったことねえんだけど・・・」
我ながら情けないと思う。でも男なら喧嘩の一つや二つするっていうけど、暴力振るわないで済むならそれで越したことはないとは思う。
「バッテン!!」
「うわきた!」
しかしこの状況はどんなに温厚な奴でも正当防衛せざるを得ないだろう。
バキッ
「バッテンー!」
「え・・・?」
軽く振り払うように小突いたつもりだったのに、兵隊は10メートルくらい遠くへ吹っ飛んでいった。
「な、なんて力だ・・・」
俺は自分の持っている力の強大さに恐れおののいた。
こんなのいち高校生が持ってていい力じゃないだろ・・・。
「バッテンー!!」
そう考える暇もなく、兵隊がどんどん襲い掛かってくる。さっきまで一介の男子高校生だった俺には振り払うので精いっぱいだ。
もう怖い。このまま逃げてしまいたい。
そう思っていると。
「あ・・・」
戦っている赤の後ろに、鉈を持った戦闘員がジリジリと近寄っていた。赤は前方の敵を振り払うのに夢中で気づいていない。
このままじゃ。
「危ない!!」
俺は無我夢中で赤のもとへ突っ走り、戦闘員をパンチでぶっ飛ばした。
「おお!ありがとうピンク!!」
「はぁ、はぁ。無事でよかった・・・」
ここ30分で寿命が何度も縮んでる気がする・・・。
「おのれ~、小童ども!!戦闘員には任せておけん!!」
部下を蹴散らされて怒り心頭な兵隊長が、薙刀を振りかざし向かってくる。
「お、おいどうすんだ!?あいつ結構強そうだぞ!?」
「みんな!!団傑キック!!」
「え、なにそれ」
「息を合わせて全員で飛び蹴り」
「ああなるほど・・・」
黄色がこしょこしょと囁くように親切にも教えてくれた。黄色はどうやら一番優しいっぽい。
「行くよ!!」
リーダーであろう赤に息を合わせて。
「「「「「団傑キック!!!!!」」」」」
ドゴァッ!!!!!
「ぐわあああっっっ!!!」
5人のキックを食らった兵隊長ははるか遠くへ吹っ飛んでいった。
「倒せた・・・のか?」
俺は今起きたことが現実のものとは思えず半ば放心していた。
「ありがとう!君のおかげだよ!!」
「ああ、どういたしまして・・・」
赤が勢いよく詰め寄ってくる。俺ほとんど何もしてないんだけどな。どうやら赤は一番フットワークが軽いらしい。
「これで君もキズナイジャーだね!これからは5人で戦っていこう!」
「え、これからも・・・?」
俺は耳を疑った。あいつ倒して終わりじゃないの!?
「い、いやいや。もうやらないよ!?あんな危険なこと!?」
「なっさけないな~、それでもあんた男?」
緑があきれたように話しかけてくる。どうやら一番ぶっきらぼうらしい。
「これも宿命。受け入れて。運否天賦」
落ち着いた口調で青が言う。一番剛直で厳しそうだ。
「いや、でも俺、ただの高校生だし」
「あら、私だって高校生だよ」
「え」
そう言って赤が変身を解く。それに続いて残る3人も変身を解く。
「まああなたと違って女子だけど」
そこにいた4人は全員女子だった。
驚愕の事実がどんどん出てきて、脳がキャパオーバーを起こしていた。
「まあ、これからのことは司令が教えてくれるよ」
赤だった子がそういうと、途端にあたりに稲妻の轟くような音が響き渡った。
そして暗雲の隙間から機械の竜のような、飛行機のようなデカい戦艦が飛んできた。
俺はもう何が何やらだった。
そして戦艦から光が放たれ、俺たち5人を包み込む。
(いったい何が始まるんだ)
俺はこれから起こるであろうとんでもないことを予期し、身を震わせていた。
〇キズナイジャーファイルその1
名前:バッテン兵
身長:180㎝(個体差あり)
体重:80㎏(個体差あり)
能力:人間の5倍のも及ぶ怪力と身体能力
備考:キズナイジャーの力があれば雑兵より簡単に倒せるぞ!でも倒しても倒しても闇の中から無数にわらわら湧いてくるんだ!
〇次回予告
キズナイジャーのピンクとなってしまった愛野メグミ。だが彼は正義のために戦うことを拒否してしまう。しかし彼の家族の近くに悪の組織ブラッククロスの魔の手が!!立ち上がれ愛野メグミ!!大切な人たちを守るために!!変身せよキズナイジャー!!
次回!団傑戦隊キズナイジャー!
「ピンクデタミネーション!団傑せよキズナイジャー!!」
どうぞお楽しみに!!