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リベンジェンドストーリー  作者: ルールメーカー
1/1

占い師~ 奇跡を何度も受け取りながら、最愛の娘の魂を探し続けた占い師の物語~

1話完結型の物語です。


①無能な青年

ある所に、青年がいました。彼は、とても勉強熱心でしたが、特別な能力はなく普通の人でした。

彼は学んだ学問を占いという形で人々に教えて、村の人々の役に立っていました。

彼は「占い師」と呼ばれました。



②無能な占い

月日は流れて、占い師は狩人の妻と結婚し、特別な能力を持つ娘を授かりました。

幸せな日々でしたが、長くは続きませんでした。人狼が、村を襲い始めたのです。

狡猾こうかつな人狼は人々に化けて村に溶け込んで夜に襲ってきました。

占い師は占いで人狼を見つけようとしましたが占いが外れてばかりで見つけられず、

村人は次々と襲われていきました。


実際の所、占い師の占いが当たらないのは魔女の魔法と呪いによるものでした。

そして、彼は魔法が使えないため、魔女に対抗できませんでした。



③娘の犠牲

ある夜、人狼は村に火を放ち、最後の襲撃しゅうげきを行いました。

人々は逃げまどいました。占い師は、村の人々、そして最愛の娘を失いました。

娘の死体は見つかりませんでしたが、きっと殺されたのでしょう。

占い師は後悔と絶望から世捨て人になりました。



贖罪しょくざい

占い師があてもなく旅をしていると、ある洞窟で、大魔導士「マーリン」に出会いました。

マーリンも大切な人を亡くし、世捨て人となっていました。占い師は贖罪しょくざいの為に、彼の弟子になり魔法の修行をしたいと志願しました。

「特別でない人が魔法の修行をするのは死ぬより辛い苦行になる」とマーリンは言いました。占い師は、自身の犯した罪の大きさから、別の苦しみが欲しかったため、マーリンの修行を喜びました。



⑤9年後

9年間、死よりも辛い苦行に耐えました。特別な目的があったわけではないです。

彼は無力な自分に罰を与えたかっただけでした。30歳半ばの占い師の見た目は老人のようになっていました。

そして、特別でない人間にもかかわらず、その血のにじむような努力の結果「魔法」を覚えたのでした。マーリンは知識と知恵を持って魔法を使う占い師に「魔術師ニコラス」と言う名を与え、彼の元を去りました。マーリンの顔はどこか満足そうでした。



⑥占い師の復讐ふくしゅう

占い師は、自身の魔法の力を高める為に、さらに苦しい修行をしました。

それはかつての絶望の為ではなく、どこかにいる人狼に一矢を報いる為です。

マーリンが去ってから1年後にその機会が訪れました。復興した町に再び人狼が現れたのです。

占い師はもう占うことをしません、手に入れた魔法で娘の復讐を果たすのです。



⑦リベンジェンド

町に向かった占い師の目に飛び込んで来たのは、あの惨劇を生き延びた赤ずきんが森の仲間を集めて、人狼と闘っている姿でした。

人狼は魔女と手を組み、赤い月を作り出し、月の力で強化して襲ってきます。。

劣勢の赤ずきんを助ける為に、

渾身の雷撃らいげきを赤い月に放ちました。

人生を犠牲にし、不可能を可能にした占い師の一撃は、赤い月を見事一撃で破壊しました。



⑧10年前の真実

赤い月を破壊した占い師の行く手を阻んだのは魔女でした。

魔女の中で一番悪い魔女であり、とても強力な魔力を持つ魔女です。

占い師は、魔女の魔法や呪いに苦戦しましたが、なんとか魔女に雷撃らいげきを当てました。

魔女は、消滅する自身の体から魂を取り出して別の肉体に乗り移りました。

魔女が憑依したのは、10年前に死んだはずの娘の身体でした。

娘は魔女に連れ去られていたのでした。



⑨本当の敵

娘の身体に入った魔女は魔力に溢れ、恐ろしい力を持っていました。

占い師の娘は特別な子だったため、その肉体を魔女が狙っていたのです。

本当の敵を前にした占い師は、その老いた容姿からは想像の出来ないほどの

強い怒りと、血がたぎるのを感じました。この命を全て燃やしつくしてでも

魔女から娘の肉体を取り戻さなくてはなりません。



⑩娘の魂の行方ゆくえ

渾身の魔法を幾重にも放ち、占い師は魔女の魂を、娘の肉体から引き離す事に成功しました。消えゆく魔女に、命を助ける代わりに娘の魂の行方を問いただすと、

「時空の彼方においやった」と言いました。

占い師は、約束を守らず、魔女の魂を焼き尽くしました。

彼は魂のない娘の肉体を抱きかかえながら、魂を戻すと神に誓いました。



⑪時空を越える魔法

占い師は世界中の時空の裂け目を探し、世界中の魔女を探し、そして世界中の魔術師を探しました。

そして、ありとあらゆる可能性を調べた結果、娘の魂がこの世界のどこにもないということが判明しました。この世界の過去、もしくは別の並行世界にしか可能性は残されていませんでした。

そのため占い師は、時空を越える魔法を身に着ける必要がありました。



⑫奇跡以上のものを得るための努力と犠牲

占い師は、とうとう時空を越える事のできる人物を見つけました。

サンジェルマン伯爵です。

サンジェルマンは、最初に占い師の頼みを断りました。

「特別な人間ではないものが魔法を覚えるのは奇跡だ。時空を越える魔法など、それに

追加してさらに100万回の奇跡を重ねるようなものだ」

それでも占い師は頼み続けました。それを見たサンジェルマンは、彼の頼みを受け入れることにしました。

占い師は、奇跡を越える努力と犠牲の上に、ついに時空を越える魔法を覚えました。

サンジェルマンと特別な約束をして、占い師は時空の裂け目に入っていきました。



⑬繰り返される10年前の惨劇

占い師が、初めに向かったのは10年前でした。

娘の肉体と魂がまだ1つの時に救いだせばいいと思ったからです。

しかし、何度ループしても娘を救い出す事は出来ませんでした。

魔女の使った魔法は、時空の法則に縛られており、何度試しても変えることができませんでした。



⑭魔女との取引

娘を助けるループが1万回に届くというところで、

魔女が占い師のループに気づき、交渉を持ちかけてきました。

「未来の私を救うなら、娘の魂を返してあげる」

魔女はループの先の未来を予言し、その未来を回避する為に交渉を持ちかけたのです。

占い師はこの提案に乗るしかありませんでした。

もう1万回も繰り返したのですから…

未来の魔女を救う為に時空を越えようとした瞬間、時空の裂け目が破裂しました。

誰かが、時空に深いダメージを与えたのです。

占い師は、時空の裂け目に飛ばされ、魔女との取引はできませんでした。



⑮パラレルワールド

占い師は、時空を漂いなんとか脱出しました。

しかしそこは自分のいた世界線ではありませんでした。

占い師の知らない所で、時を破壊している者がいたのです。

人狼と赤ずきん、そしてピノキオの3人でした。

彼らもまた、彼ら自身の目的の為に時空を越えていたのです。

しかしその行為は、様々な世界線や平行世界を行き来する場所を歪めていました。



⑯指名手配された占い師

突如、ブギーマンと妖狐ようこが占い師の前に立ちはだかり攻撃をしかけてきました。

ブギーマンと妖狐ようこはタイムキーパーという組織の一員で、時を破壊するものを抹殺する任務をおっていました。

妖狐は、魔法が一切効かず、占い師にとって天敵といえるほどでした。占い師は、彼らから逃げながら、娘の魂の探索を続けました。



⑰タイムキーパーへの加入

時空の崩壊が加速し、タイムキーパーたちは時空の修理に追われましたが修正が間に合いません。

時空の崩壊を防ぐ為に、ついにタイムキーパー達は、占い師に協力を要請しました。

時空を戻した後、時空を越えて好きなだけ娘を探してもよいというのが条件でした。

占い師はタイムキーパーになりました。



⑱協力

占い師は、時空を越えた赤ずきんの復讐を終わらせる為に、タイムキーパーとして、人狼と、赤ずきんを追いつめていきました。

彼らを攻撃しますが、すぐには2人を倒すことはできず、最後は彼らと協力することにしました。

赤ずきんと人狼も加わったタイムキーパー達は、時空の崩壊を阻止しました。

時空の修復にかかった実際の時間は数年しか経っていませんでしたが、占い師にとっては

とても長い時間でした。

やっと娘の魂を探す旅に戻れるのです。



⑲奇跡の上になりたっている現実

占い師は、あらゆる時空を、あらゆる次元の世界を、その未来を、その過去を

探しました。しかし、娘の魂は見つかりませんでした。

そして、ついに占い師は自分の寿命を悟りました。

奇跡の上に成り立っているからこそ、この終わりを冷静に感じ取れたのです。

自分の命はもう終わる、そして娘は見つからない…。

幾重の奇跡の上に今があるからこそ、これは受け入れるしかない現実でした。



⑳娘との1日

占い師は、全く別の平行世界の過去に行き、その世界の自分に会って願いを伝えました。

そして、別の世界の娘と、一緒に1日を過ごしました。

森に出かけて、ピクニックをして、サンドイッチを食べて…

そんな平凡な1日を娘と一緒に過ごしました。

娘と過ごした1日は夢のような幻のような経験を占い師にもたらしてくれました。



㉑本当の幸せ

占い師は、娘と一緒に暮らすことをずっとずっと追い求めていました。

しかし、今の占い師は、幸せがどのようなものか覚えていませんでした。占い師は何度も何度も繰り返すループある人生の中で、求めていた幸せそのものを見失っていたのでした。

けれども、娘と過ごした1日の中で、懐かしさや、あたたかさ、愛おしさ、優しさなどに触れることができました。

だからこそ、昔の自分がこれを求めていたんだろうな。これが昔の自分にとっての幸せだったのだろうなと思えました。


途方もなく長い時空のループの中で、最後の最後に感じた感情が本当の幸せという感覚なんだと満足して、占い師は亡くなりました。


奇跡を何度も受け取りながら、最愛の娘の魂を探し続けた占い師の物語。





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