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紙一重

作者: S

自分の思ったことをつらつらと書き殴っています。

冬が、好きだ。


夏の倦怠感や危なっかしさとは無縁で、静謐で清澄な雰囲気の中で心安らかに過ごすことができる。


すっかり重くなった空気。仄青く光る早朝の空。カメラなんて持たなくても自然と開かれる外界への感性は、特にこの季節特有のものなのかもしれない。


だけど、そのことを特別誰に伝えることはない。かつて好きだった人のコートの美しさも、クリスマスと共に訪れる喧騒への憎しみも、雪にも感傷にもならない無機質な雨も。

もはや独り言にすらならない出来事の総体が冬となり、私達に覆いかぶさる。


ある意味贅沢なことなのかもしれない。自分1人だけが気付く様々な出来事は自分だけのものであり、絶対に不可侵のものである。


しかし、裏を返せばもう冬には誰もいなくなってしまったのだ。


誰でもよかった夏、誰でもよくなくなっていく秋を経て、冬には誰にもいなくなる。


忘れたいことなんて何もないはずの忘年会で何を話しても、ふとした瞬間に訪れる虚しさに気づけば、感情が死んでいくのを実感する。


会いたいと思う人にはどうしても会えないこととか、その人の会いたい人はきっと自分ではないこととか、旧友との懐かしい昔話に笑った直後に訪れる一瞬の沈黙とか。


そのような経験を通して、感情の大半は12月の終わりには死んでしまう気がする。


幸福で安全で、そして絶望を感じるこの季節の輪廻を、私はあと何回迎えるのであろうか。


冬が、嫌いだ。

最後まで読んでくださった方々、ありがとうございます。不定期ながら更新していくつもりなのでお手隙の際にでも読んで頂けたら幸いです。

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