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ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~  作者: 悠月 星花


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85. ダンスは、いつまで続く?

 用意のいいハリーは、今回も私たちのために飲み物を用意してくれていた。



「はぁはぁ……ありがとう、ハリー!」

「楽しそうだったな……」

「うん、すっごく楽しかった!」



 ちょっとむっとしているハリー。

 そこにウィルがきた。

 こちらも近衛の制服を着ているので、ジョージアとはまた違うカッコよさがある。



「姫さん、俺とも踊ってくれ!」

「ウィルと?踊れるの?」



 ふぅ……と息を整えた私はウィルを見る。

 すると、ふっと不敵に笑うウィル。



「もちろん、嗜み程度には踊れるさ!」

「ジョージア様、行ってきても?」

「あぁ、行っておいで!ちょっと、俺は休んでいるよ!」



 ジョージアは、さすがに疲れたという顔をしている。

 私に合わせて踊っていたのだろう。

 いつもハリーと踊るより、ずっと体を使ったなと感じているのだから、ジョージアはそれ以上に疲労しているだろう。

 じゃじゃ馬を振り回すのは、かなり大変なのだそうだ。



「いこう!ウィル」

「ちょ……」



 私がウィルの手を取り引きずられるようにホールへでる。

 ちょうど新しい曲に代わるときであったため、カウントをとり踊り始めた。

 ウィルは、ダンスは苦手なのかぎこちない。



「ウィルにも苦手なものがあるのね?」

「姫さんの苦手なものは、俺、知らないな……何?」



 私の弱点を聞いて、何かのときに見舞ってやろうと言う魂胆なんだろう。

 ウィルに私が勝てるのは、剣を握ったときくらいなのだから……勘弁してもらおうと思っていたが、無意識にハリーの方を見ていたらしい。



「へぇーまぁ、わかっていたけど、弱点ね。でも、もう使えそうにない弱点だな……」

「弱点、弱点って……私勉強も苦手だし、ウィルに勝てるものなんて少ないわよ!」

「そう思っているのは、姫さんだけ!」



 軽口を言いあいながら、踊っているとだんだん波長が合ってきたのか、リードも楽そうだ。



「ジョージア様もヘンリー様もよくこんなじゃじゃ馬と上手に踊れるよな……」

「あぁーひどい!じゃじゃ馬は、関係なくない?」

「いや、あると思うぞ……ダンスでこんなに消耗するのって、姫さんが初めてだよ……」

「そうなの?でも、確かに下級貴族の方と踊ると、私も疲れるのよね……?

 ハリーもジョージア様も私に合わせて踊ってくれてたってことなのね。

 お兄様なんて、いまだに足踏まれるし……」



 兄と私のダンスを思い浮かべたのか、ふっと笑うウィル。

 きっと、兄が私の足を踏んでフラフラしたところひっぱりあげて、ごめんごめんという兄に私がもぅ!と怒っているそんなことを想像しているのだろう。



「ありがとう……ウィル。あなたに会えてよかったわ!」

「何言ってんだ?ローズディアへ来るんだ。これからもお付き合いしてくれるんだろう?もちろん」

「えぇ、ウィルさえその気なら、これまで通りよ!」

「楽しみにしてるよ!」



 ウィルの顔を見ると笑っている。

 そして、耳には、あのアメジストのピアスがあった。



「俺、姫さんから『愛の守護者』とか『誠実』とか、もらっちゃったからね。

 姫さんの抱えてるもの、俺たちにもいつか任せてくれ。守護者として守ってやるからさ!」

「ふふふ、頼もしいわ!ありがとう、ウィル!」



 音楽がちょうど鳴りやんだ。

 ウィルに抱きつくと、背中を優しくポンポンとしてくれる。



「アンナ、次は僕と……」

「お兄様とですか?足、踏みません?」



 ウィルに抱きつきながら、軽く兄を睨む。

 すると、さっきの話を思い出したのか、ウィルが震えながら笑っている。

 ウィルからするするっと兄に向かう。



「姫さん、我が国へようこそ!」



 そういってウィルはホールの端へ出て行った。



「ウィルと何を話していたんだい?」



 次の曲が流れてきたので、兄と踊り始める。

 練習相手だった兄も立派に踊れるようになったようだ。

 エリザベスの足を踏まないために、相当練習したもんな……私の足を犠牲にして……



「今後もよろしくって。ローズディアに行くからね。あとは、私の抱えているものをいつか任せて

 くれって!ほんとにいい仲間に出会えたなぁーって思って」

「たしか、ウィルもセバスもナタリーもアメジストの宝飾品をつけているけど、あれは、アンナが

 渡したものかい?」



 ウィルの耳にあったピアスを見ていたなと思っていたら、そんな話になった。

 家で話してもいい話のような気がする。



「うん。そうね。この前、エレーナの両親に会いに行ったときのお礼で渡したの。

 エレーナにせがまれたから……エレーナにもピアスを渡したのだけど……」

「なるほどね……エリーも欲しいって言ってたから、何かあるのかな?って思って……アンナからの

 下賜品か」

「そんな大層なものじゃないですよ……」



 このタイミングで兄とのダンスは終わった。



「大層なものになったんじゃないかな?あの子たちにとっては……」



 その言葉だけを残して、私をダンスホールの真ん中に残し、兄は隅へ行く。

 私は、その言葉の意味をかみしめ、兄の後姿を見送る。



「アンナ!次は俺だ!」



 振り向くと、殿下が私を見て微笑んでいた。

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