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ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~  作者: 悠月 星花


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1567/1569

1566. 鬼のセシリア

「さぁ、出発よ!」


 トレビが加わった私たちの一行は、ローズディア公国へ向け、出発した。急な出立にも関わらず、あっという間に野営は解かれ、今に至る。こういう訓練ももちろんされているのだと、ウィルが言ったが、中にはもたもたとしている近衛もちらほらと見えた。こそっとウィルが教えてくれたのだが、どうやら、ウィルの隊の者ではないらしい。軍行に出ることもあるウィルの隊では、いつでも野営やそれらを片付けることも、セシリアが訓練に取り入れているらしい。ローズディア公国の近衛の中で、13番隊に配属された者が、よそへ移動したとき、その優秀さで昇格していくことは、ざらにあるという。


「……これもそれも、セシリアあってのたまものだよ。まぁ、セシリアが13番隊に残ってくれているのは、姫さんが俺の後ろにいるからだけど」

「そんなことないでしょ?ウィルも大隊長として認められているから」

「そう思う?1年のほとんどが、アンバー領にいて、セシリアの負担は減るどころか……」

「それもそうね。でも、アンバー領でも、結構、厳しい訓練はしているように思うけど?」

「アンナリーゼ様は、セシリア様の訓練を受けられたことは、ありませんか?」


 話に割って入ってきたのは、よく見かける100人斬りの内の一人だった。ウィルの隊では、かなり古参ではあるが、元々、セシリアの部下でもあったはずだ。


「私はないわ」

「それなら……、お教えします。セシリア様の訓練は、アンナリーゼ様に出会うまでは、普通の訓練でした。いわゆる隊の教本に載っているような陣形や伝達のような簡単なものが多く、あとは、個々人の力量を上げるための訓練が多かったように思います」

「あぁ、俺も、セシリアの隊に入ったときは、大体、そんな感じだったなぁ。あれは、姫さんが近衛の訓練場に現れるようになったあとだったか」

「そうです!サーラー大隊長。鬼のセシリア……おっと、これは、セシリア様には内密にお願いしますね!」


 口にチャックを絞めるかのような動きで、懇願するので、私もウィルも頷く。ウィルも、その頃はただの新兵だったはずで、セシリアの隊で訓練をしていたのだった。


「アンナリーゼ様が訓練場に来られるようになって、アンナリーゼ杯をしたあたりからですね。少しずつ訓練内容の見直しがありました。その頃は、大隊長もサーラー大隊長とは違ったので、そこまでの厳しさはなかったんですが、大隊長が変わったくらいですかね……大隊長が、セシリア様に丸投げしたので……」

「あら?それって、ウィルが悪いの?」

「……身に覚えしかない。でも、セシリアには、相談をされていて、二人で、いろいろと案は出し合った記憶はあるかな。姫さんに連れて行ってもらった姫さんの叔父さんのところで、いろいろと見聞きしたことなんかも、伝えてたから……」

「そう、まさにそれです!訓練内容が多岐に渡り、なんでもこなせるようになったんですよ。おかげで、移動したものは、どんどん出世していきますけどね」


 笑っている近衛に、「あなたは、移動を希望しないの?」と問うと、とてもいい笑顔が返ってくる。その理由は、私だそうだ。


「アンナリーゼ様との繋がりがあるこの隊を離れるわけがありませんよ。よそへ出ていった者たちも、13番隊に戻れる機会がないかと、常に探っているくらいです。訓練が厳しかったとしても、強いお二人の元で訓練がでることに誇りを持っていますから。いったん外に出てしまうと、枠がなくて、戻れないという話もよく聞きます」

「……姫さん、近衛の訓練場じゃ、大人気だからなぁ。毎年、アンナリーゼ杯があるけど、今も伝説」


 ウィルが茶化すので睨むと、近衛たちも話を聞いていたのか、「アンナリーゼ様と大隊長との試合は、生で見られてよかったですよ!」とか、「激熱でしたね!」とか、聞こえてくる。中には、まだ、近衛ではなかったものもいるようで、「その試合を見たかったです!また、お手合わせはしないのですか?」なんて、質問まであった。


「ほら、人気者」

「……ウィルが、そんなふうに仕向けたのではなくて」

「そうじゃないさ。みんな、姫さんの強さを認めているんだよ。腕っぷしだけじゃないことも、知っているしな」


 私がアンバー領に移動してからのことも知っているものも多い。もちろん、アンバー領で同じく汗を流したものもいるようで、頷いているものもいた。


「13番隊は、姫さんのおかげで、人気の隊なんだわ。セシリアの鬼のような訓練があったとしても、誰も離脱しようとするものはいない。それって、純粋にすごいことなんだ。セバスから、宰相に言ってもらって、少しずつセシリアの訓練方法を他の隊にも取り入れているけど、なかなか根付かないようだな」


 隊長の隊の者たちを見ながら、ウィルは聞こえないように小さく呟く。ウィルたちは、実際、小競り合いなどの現場へ向かうことがあるため、より実践的な訓練が多い。隊長たちは、そういう場所へは行かないので、単純に慣れていないのだろう。

 それでも、訓練を続ければ、成果は出るはずだ。私は、この二つの隊だけでも、格差があることに、少しだけ不安に感じたのであった。

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