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ハニーローズ  ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~  作者: 悠月 星花


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1554/1569

1553. 人形の町

 当初の計画通り、私たちは元来た街道を少しそれる道に向かう。それは、私が望んだ人形を造る職人がいる町へ向かうためだ。運よく、帰路の途中に、目的とする地があることは、かなり幸運であろう。


「町へは、街道から曲がって、馬車で2時間ほどのところだと聞いています。もう、そろそろ、町が見えてくると思いますが……」


 馬車の中から、ヒーナが教えてくれるとおりの道を進んでいる。街道を外れたとはいえ、生活道路ということもあり、比較的整備されているので、町まではそれほどかからないはずだ。


「インゼロ帝国ってさ、俺が思うに……」

「「道が整備されている!」でしょ?」

「そう!そうなんだよ。ローズディアも街道は、そこそこ整備されているんだけど、それでも、ボコボコの道でさ。俺の生家がある領地は、ここやアンバーのように舗装もされてないから、雨の日とか、最悪なんだよ」

「確かに、カラマスの領地も同じようなもですわ」

「僕らの生家がある領地は、アンバー領からかなり離れているからね。街道整備の範囲から外れているし、そこに予算を投入していないから」

「アンナリーゼ様」

「どうかしたかしら?」


 ナタリーが、私を呼ぶ。少し困ったような表情をしているので、話を聞くことにする。


「街道の話ですが……」

「えぇ、今、公都まで、石畳の道にするために動いているわね」

「それは、カラマス領も可能なのでしょうか?」

「ナタリー、それは、さすがに無理じゃないか?」


 セバスは、ナタリーを窘めるように声をかけているが、私はそうは思わない。実のところ、街道が整備されると、物流も早くなるため、良い面も多い。店を持っている私からしたら、利点になるのだ。ただ、アンバー領だけで、それらを担うことは難しいとは思う。今でさえ、近衛を借りて、兵役の一つとしながらの作業ではある。アンバー領内は、街道整備が整ったとはいえ、公都までの街道整備を請け負っているところだ。今すぐ、同行できる問題ではないことは、セバスはわかっているのだろう。


「セバスの言う通り、今は、無理だと思うわ。人も足りないもの。領地は2つあるし、コーコナ領も含め、公都までの街道整備をするから。でも、それさえ終わって、人手もあり、資金も出してくれるなら……そこは、要相談ね!」

「本当ですか?」

「えぇ、もちろんよ。街道整備をすることは、利便性が高いのよ。行商なんかは、たくさんの荷物も運ぶために、馬車での移動もあるから……脱輪なんてしてたら、盗賊に襲われたりするでしょ?」

「確かにそうですね。私も移動のときは、荷物は最小限にして、馬での移動にしていますが、アンバー領やコーコナ領で馬を走らせるのと他の領地で走らせるのでは、気の使い方が違いますもの」


 馬車の車輪だけでなく、馬も凸凹とした道は走りにくいようで、歩くスピードが違う。石畳には石畳の悪いところもあるのだが、凸凹とした表面や水たまりができたり、泥水でぬかるむことがないという面を考えれば、格段と移動には適している。ローズディアでは、私の提案で、街道を石畳にする計画があるが、それも、アンバー領から公都までしか決まっていないため、他領からすれば、自領もと思うところだろう。その点、インゼロ帝国は、街道や道に関しては、本当に素晴らしい。どこをとっても、整備されている。ローズディアだけでなく、トワイスやエルドアも含め、見習うべきところだと私は感じていた。


「国が大きければ、それだけの流通がありますからね……街道整備というのは、1番大切な事業なのだと、実感させられますね」

「戦争をするときには、人も物資も輸送されるから、そのときに、道がしっかりしてなければ、物流に足止めされずに進められるというところに、皇帝は目を付けているのでしょう。さすがと言えば、さすがよね」


 褒めていいのかと微妙な表情の三人はさておき、大きな国であれば、こういった公共事業は、最後になりがちだと思っていた。理由はどうあれ、私たちが考えているよりもはるかに、皇帝の考えが進んでいることに、私は感嘆するしかない。


「街道問題は、公が、今後、どうするかは決めるだろうからさ。もし、今の事業が終わったら、サーラー子爵領の街道整備も考えておいてくれよ、姫さん」

「それは、子爵からお声がかかればの話ね」

「あぁ、そのうち、話がされるんじゃないかな。まぁ、公都までの街道整備は、まだまだ、時間がかかりそうだから、うちの街道着手までには、かなり、時間がかかると思うけど」

「自領で、進めるというのも、ひとつだとは思うけど……」

「姫さんも言ったとおり、そこまで、人材がいないんだよ。アンバー領に比べれば、領地自体は小さいし、そこまで時間は取らないと思うけど」

「ウィル、出し抜くとは!」

「言ったもん勝ちだろ?まぁ、俺は、サーラー子爵領へ戻ることはなくてもさ、せめてもの親孝行だよ」


 ウィルがため息をつきながら、「私もお願いしますわ!」とナタリーも意気込んでいる。セバスは、現状を知るので何も言わないが、内々では、話をしているようなそぶりを見せていた。


「アンナリーゼ様、あれ!」


 ヒーナが、声を上げたので、私は、ヒーナが指さした方をみる。そこには、目的地だと思われる町が見えた。

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