明晰の民
壁は唸りを上げ、白妙、湧いて漂い。
青んだ鈍色……以前はくすんだ赤紫、意識向ければ忽ち消え抑制は襲う。
同質の壁や天井。だが床が抜ければ……。が、いずれ答えが共に消えるのだ。温もりなき実態へ、ひんやり迫るほどに。
角の先へ。違和感はない……きっと、右なのだ。
突如、蜃気楼からぐにゃぐにゃと、暴力へと歪み、ぬるぬると頼りない感触の密度に、反して重たく無責任にのし掛かり、陥穽へ、動けず、イメージひとつ鮮明な空間へと抗い、赦された。
が。濁りが覆い尽くす。空虚に浮かぶ蹂躙だけ自由で、意識を一手に諦めへ。愛着の気配遠のいて。
憐れに、目映さに縛られ一筋の狭き末路。ずんずんと呼び戻す視界へと、思いもよらぬ闇の、闇。