夏休みもしごとがしたい遥夢さん
夏休み
学生にとってはいたく楽しみな物であり、それは、この王立学園でも例外ではありません。
ザイラ王国は保有国である我が国の日時計算を流用しているため、非常に正確名時間計算を行い暦法も同じため、毎年6月末にその年度の春学期が終わると、丸々2ヶ月の夏休みが始まります。
それを使い我々は、使い慣れた文明あふれるザイラスに戻ることにしました。
因みにこのザイラ王国が丸々領有する大陸は、地球の全大陸を合わせた総面積の4.5倍はある巨大な物です。それでも王国のベイリア県(我が王国の行政区分においては、各惑星の大陸一つを一つの県として扱っています。)より遥かに小さいですが。
その北西4割ですからたぶんロシア連邦よりは大きいです。それで満足でしょうにザイラスまで支配下に置こうと企むから圧倒的文明差でつぶされるのです。これまでに何度この馬鹿どもをつぶしたことか。
ザイラスに戻って最初に我々が訪れたのは、ザイラにおける腹心であり忠臣のラングレー公爵家です。ザイラ王国は我が国がとる、宗属対等国家主義に則り、我々七人を一人の国主すなわち国家元首として扱い、我が王国と同君連合をとると対外的に宣言しています。この際の我々七人をまとめてランゲルハンス大公家とし、それに連なる者即ち。我が王国の王族をまとめてランゲルハンス大公家として扱うことで、ザイラ王家との差を見せつけるというわけです。
まあ、我が国は世界の2割(全宇宙のですが。)…。
「ハルーそんくらいにしとかんと趣旨がどっかに逃げるよー。」
すいません。話を戻しまして、ザイラスの北西にあるこのラングレー公爵領において、ある話し合いの場が持たれると聞いて、参加することになりました。
北西の王家勢力側からは、国王夫妻、宰相、王立学園学園長が。
ザイラスからは、国主府代表(国主家不在時の国家代表)、首相ラングレー公爵、国立ラウサ学院高等教育部局長2名。
見物兼議長として、我々7人とおばあさまがラングレー公爵領都のホテルにある会議室に入りました。
話し合いの内容は来年度1年間の交換留学について。
王家側は、ザイラスの高度な文明を肌身で感じることで国主への理解と反抗心の削減を。
ザイラス側は、王家側の情勢や、考古学、歴史の授業でしか学べてこなかった、古き時代の状態を今なお継続する、王家側勢力の街並み、市民の暮らし、そして、ザイラスとは異なる魔法形態について学ぶことで、さらなる人材の強化を願って。
両者ともに交換留学を行いたいという思いはあったものの、ザイラ王国の「大陸北西部に位置するザイラス境界を越えての物流、交流は、国主府国王府の一部高位官僚を除いてこれを禁止する。」という、法律の規定があったために諦めていたのです。
それが、保有国である王国で大保法(大和民族と呼ばれる種族に関する文化文明伝統を保存発展させるための関連法律群 通称大和民族保存関連法)が制定、施行されると、大保法に基づく各種活動を行うために上記のザイラ王国における法律の規定が邪魔になったため、この規定が、この春学期最終日をもって廃止されることになりました。
これを受けてこの交換留学が実行可能になりました。
「お疲れ様でした。」
お茶を乗せたお盆を持って議場に入ってきたのは、このラングレー公爵家において当主代行をつとめる、エリシアの弟であるコーインです。
なぜラングレー公爵家で当主代行が置かれているかというと、当主が、ザイラ王国内閣総理大臣を務め国政に従事し公爵業を回すことができないためです。そのおろそかになってしまう公爵業を回すためにコーインが当主代行で公爵の仕事を片付けています。
「お嬢様、失礼いたします。」
僕の前に緑茶の入った湯飲みを置いたのは、僕の専属メイドで、王国王宮メイドの頂点に立つ、王国宮内省給仕局長兼同省副大臣鳴滝です。作者の不手際でせっかく決まっていたしたの名前が行方不明になった上大学卒業し、初出社の日に採用先の企業が夜逃げして失業したなかなかの不幸属性の持ち主です。
あ、小学生からの同級生兼幼なじみです。
話ずれましたね。
現在我々はそれぞれの勢力に別れて協議をしています。まあ協議はすでに終わり、あとは我々議長団が細かい予定を詰めていくだけなのですが、問題として定義しても問題ないことが一つありまして。
それが、王立学園側からの留学生に同行する留学教員陣です。
あーむかつく。
あ、次回は、ラウサです




