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【結論】俺は冒険者になれない。  作者: 阿野根の作者
第二章☆児童は今日もお試し中
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【考察】祈念術1

常々思っていたことなんだが、セシーやティオラ兄ちゃんが使う祈念術がかっこいい。


アイアンゴーレムを剣に祈念術をまとわせて一刀両断したティオラ兄ちゃんすごかったなぁ……


セシーの再生術もすごいぜ、千切れかけた指が少しづつくっついていくのを見て……気絶しました、はい。


たまにはうちの領地の枯れたダンジョンにみんなと行くようになったけど……相変わらず俺は役立たずだぜ。


「僕もエウリール神様信仰しようかな」

朝のミルク粥にスプーンを入れてつぶやいた。

「ちい坊っちゃん、あんまり危ないことはしないでくだせい」

専属護衛とかしたヤイリさんが後ろに立ちながら器用に片眉を上げた。

「あら、エウリール神様は家の守護神なのだから放課後拝みに行ったらいいわ」

お母様が優雅に紅茶を飲みながら微笑んだ。


放課後ね……あ~俺もついに神聖帝立オダーウエ学園初等科に入り行く年月……無事に十歳になりました。

セシーんちは双子の弟と末っ子の妹がこの五年でうまれたけど、家はやっぱり生まれなくて俺がやっぱり末っ子の赤ちゃん扱いだぜ、くっそー。


「奥様、あおんないでください」

「ついでにセシーちゃんちもよってくればいいわ」

セイカちゃんかわいいわよね〜とお母様がうっとりした。


セイカちゃんはセシーの家の末っ子でまだ1歳の赤ちゃんだ。

双子はシューアスとセリアスといって3歳で元気一杯なんだ。


セイカちゃんはセリカおばさんとよく似てるし赤紫の髪と目なので将来巫女になるらしい。

双子はシュースルおじさんとセリカおばさんのハイブリッドかな〜でも美幼児だけどさ。



初等科の勉強は小学校なみだし……俺、家庭学習頑張りすぎて優秀なんだよな。

体育もうちの連中がハイスペックなだけで別にオンチじゃないし……たぶん(震える声)


武術訓練以外は並だぜ……だって人に武器向けるの、平和ボケした元ニホン人としては怖いんだよ。



初等科は小学校みたいだけど黒板じゃなくて紋章魔法の技術が使われた大きなホワイトボードが前と後ろの壁にかけられている。


発動ワードで一部消せたり全部消せたり……データを呼び出したり……その他できるらしいけどノート取りは健在だ。


椅子と机は多少デザインが違うけどほぼ一緒でランドセルはないので紋章魔法で少し空間拡張した自作のメッセンジャーバッグを使っている。


放課後、帰るべとメッセンジャーバッグを背負って護衛のヤイリさんを待ってるとクラスメイトで丸可愛いチェリーちゃんがよって来た。


ちなみに護衛は人によって付いているけど教室には授業中は基本的にはいらない。

……うちのお父様がオーレウス帝国軍の重職についてる関係で護衛はヤイリさん中心に子飼いの兵士がついてきている。


大坊っちゃんと坊っちゃんの時は一日中じゃなかったのになぁとヤイリさんがぼやいてるの聞いちまった、けっ、どうせ。


「ラナちゃん、一緒に手芸店行かない? 」

チェリーちゃんは俺の手作りの数々をみてハンドメイド仲間と認識している女の子だ。

今日もピンクの手作りレッスンバッグを持っている。


「ごめんな、放課後はセシーと約束してるんだ」

「ええーいつもセシリアちゃんとばっか、ズルい」

チェリーちゃんは口をとがらせた。


うーん可愛い〜丸顔で少しぽっちゃりしてて青いフリフリワンピースが似合ってる。

しかし、チェリーちゃんは俺に対して恋愛感情はない……残念。


「また今度誘ってよ」

「うん、サマーヤーン買いたいから一緒に行こうね」

チェリーちゃんに手を振ってどこかニヨニヨしているヤイリさんを見た。


ちなみにサマーヤーンというのは夏用の毛糸で綿とか麻とかで出来てる。


「行くよ、ヤイリさん」

「はい、ちい坊っちゃん」

俺はプイッと目をそらして教室を出た。


途中でセシーと(護衛はなしなんだよなぁ……ハア)合流してバスに乗って移動した。


オーレウス帝国には帝都にはエウリール神の大神殿とオーラダー神の大神殿がある。


2柱の神様は姉弟なので極近くにあるんだ。

姉、地母神オーラダー様は『生』と『死』をつかさどっていて弟、戦いの神エウリール様は『破壊』と『再生』を司ってるんだ。


その他の神々の大神殿は別の国に……ああ、天空神(星神)ゴエルティノ様……『閃き(知恵)』と『停滞(安息)』を司る大神殿もあったような……まあ、いいか。


エウリール大神殿は皇宮の敷地内にある。

神聖騎士団や帝国軍に神官戦士や巫子(巫女)戦士や再生巫女(巫子)が派遣されてるからだ。


広いアーチ型の天井には赤を基調にした美しい神話の壁画が天井まで描かれている。


「おかえりなさい、セシリアといらっしゃい、ラナテス君」

長め金の髪と紫の目にメガネの長身のインテリ系細マッチョのイリュゲス神官戦士が通りかかった。

この人は家庭持ちなのでセシーとはあんまり行動しない。

「神殿に見学に来ました」

俺はペコリと頭を下げた。


エウリール大神殿の中心はエウリール神様を祭ってる祭壇があって祭りの日だけ披露される絵姿が祭壇の奥にある扉の向こうにあるらしい。


祭壇の前にはおそなえものがたくさんおいてある。

プロテインとかプロテインとかプロテインとか……ってみんなプロテインかい?


も、もちろんビーフジャーキーとかささみの缶詰とか花とか常温牛乳とか栄養ドリンクとかも供えられてるし賽銭箱もある。


そのまえでセシーのお父さんの短い黒髪とグレーの目の細マッチョで中年美丈夫なシュースル神官長が静かに誰かを後ろから抱きしめている。

抱きしめられているんは赤茶色の長いくせのある髪のぽっちゃりした小柄な中年女性でどこかぼーっとしている……確かセシーのお母様のファリシア再生巫女だ。


なんか腹もんでないか?


肥巫女(コエミコ)来たぞ」

「……はい、ごえる……」

どこか呆然としていたファリシア巫女がはっと気がついた顔をした。


「シュー兄ちゃん、ラナちゃんは巫女なんだって」

「エウリール様からの御言葉か? 」

だがシュー兄ちゃんはよせと見上げたファリシアおばさんに甘くシュースルおじさんはささやいた。


「ラナが巫子なら、一緒に修行できるな! 」

セシーがキラキラした目で俺の手を握った。

俺は呆然としてそれから嬉しくなった。


ティオラお兄ちゃんみたいな巫子戦士になればジェアサーナ家の息子としての戦闘能力がつけられるかもしれない……


エウリール様ありがとうございます。

俺は祭壇を拝んだ。


『違う、お前は俺の巫子ではない』

低い美声が頭の中に響いた。

赤い髪と目の偉丈夫が腕組みしてどこかの泉の前で立っていた。

『僕の巫子だよ、知恵面最高位の巫女ラナ』

小柄な少年のような深い藍色の長い髪と銀と金の瞳の男性がその後ろから出てきた。


二人から神々しい感じが出てきて少し居づらい。

澄んだ泉の周りは深い森が広がってるのが見える。


『わーん、今日も雑草だよー』

人の良さそうな長い金髪碧眼の美青年がのんきに走ってきて手に持った雑草を見せて二柱ににらまれる。

『グラ……少しは神々しさとか』

『うん、無理……ゴエルティノ、ついに巫子ちゃんと交流持つことにしたんだ』

金髪青年がニコニコと俺をみた。

『横から脳筋にかっさらわれたくないからね』

『おい』

少年? の言葉に偉丈夫が不機嫌そうな顔をした。

『僕は天空神(星神)ゴエルティノ……『閃き(知恵)』と『停滞』を司ってる、お前の守護神だ』

ゴエルティノ様が神々しく宣言した。

『……えーとつまり、僕はゴエルティノ様の巫子なのですね』

『ああ、最高位の知恵巫子だ、生まれた時より』

美味しい保存食は素晴らしかった今後も励めよとゴエルティノ様にお褒めのお言葉をいただいたところで周りが意識が現実に戻ってきた。


「ファースト御言葉きついよな」

セシーの心配そうな綺麗な顔が上に見えた。

「ちい坊っちゃん、大丈夫ですかい? 」

気がづくとヤイリさんに支えられて床に座り込んでいた。


「エウリール様にお手柔らかにとお願いしたのに」

右手が柔らかい手に包まれた。

ファリシアおばさんが手を握ってくれてた。

「ゴエルティノ大神殿に連絡をせねばなるまい」

その後ろから黒髪の美丈夫がのぞき込んだ。


とりあえず部屋に行こうと黒髪の美丈夫……シュースル神官長にうながされてヤイリさんに助けられて立ち上がった。


なんかまだふらふらするぜ。


祭壇の前にある闘技場の前の廊下を歩きながらセシーがぼやいた。

「エウリール様の巫子なら一緒に暮らせたのに残念だ」

「巫子って神殿でくらさないとなの? 」

ええー嫌だぜ〜。

両親とかお兄様たちと離れたくない……ぬくぬく人生バンザーイだぜ。

「最高位の巫子だからなぁ」

「私も小さい時に引き取られたから……ここがうちなの、セシリアたちがエウリール神様の使徒でよかったよ」

ファリシアおばさんが少し寂しそうに笑った。

シュースルおじさんがギュっとファリシアおばさんを抱きしめた。

「セリカ……」

「お兄ちゃんたちがいたから大丈夫だよ」

ファリシアおばさんがシュースルおじさんの腕に頬ずりする様子はドキッとするくらい色っぽかった。


どうやらファリシアおばさんはかなり小さい頃に巫女認定されて家族と引き離されたらしい。


「ともかく旦那に連絡だな」

ヤイリさんがため息をついて通信機を取り出した、迷惑かけてごめんな、悲哀の独身ヤイリさん。


シュースルおじさんもどこかに通信機を出して話している、その間のファリシアおばさんの脇腹から手を離さないってエロい?


一通り話したあととりあえずセシーの家に行くことになった。

セシーの家は皇宮の宮家の有る区域だけどエウリール大神殿とつながっててかなりでかい。


「おかえりなさいませ」

リアルな侍従が出迎えた。


セシーってお姫様なんだな、本当は。


侍従の後ろからコロコロと小さい奴らが飛び出てきた。

「ね~ね~おきゃえりー」

「らにゃにー」

シューアスはセシーにセリアスは俺に飛びついた。

セシーはともかく俺は後ろに倒れかけてヤイリが支えてくれた。

「ちび共〜あんまりかっ飛ぶとラナ兄ちゃんが倒れるぞ」

ケイオスおじさんがセイカちゃんを太い腕に抱きながら出てきた。

「らにゃに~ごめんにゃの」

「大丈夫だよ」

俺は痩せ我慢して笑った。


ちょっと腹が痛いぜ。


優美なレースカーテンが揺れる居間に猫足のソファーセットがおいてある外向けのところを案内されそうになったけど、別のところに方向をむけられアットホームだけど大きなリビングに案内された。


「ラナテス・アゴラ・ジェアサーナ嬢……いや君は今後よほどのことがない限りこちらに案内するように」

シュースルおじさんがエレガントな動作でリアルな侍従に命じた。

かしこまりましたとリアルな侍従は優美な礼をして下がって行った。


シュースルおじさんはしっかりしたソファーに腰掛けファリシアおばさんを膝の上に抱き込んだ。

「ゴエルティノ大神殿に問い合わせた、都合の良い日に一度来てほしいとのことだ」

「わかりました、主人はいつでも戦う所存とのことでございます」

シュースルおじさんの言葉にヤイリさんが俺の後ろにたって恐ろしい事を言った。

「……戦う事は最終手段としてもらいたい」

「大事なちい坊っちゃんをうばわれるわけにいきませんから」

頭を抱えたシュースルおじさんにヤイリさんは俺を後ろに回した。


緊張感が少しだけ漂った。


「らにゃに~遊ぼー」

「あそぼーなの」

双子が後ろから俺に激突して俺は前のめりになってヤイリさんを倒しかけた。

わ~ちい坊っちゃん、せっかく格好つけたのに〜とヤイリさんの情けない声が聞こえた。


「悪いようにはしない、早まるな」

「へ~へ~、うちの大将にそう言ってみますよ、ちい坊っちゃんを溺愛してるんでどうなるかわかりませんけどね」

ヤイリさんが仕方なさそうに頭をかいた。

「ジェアサーナ殿と手合わせするのはやぶさかではない」

どこか楽しそうにシュースルおじさんが唇をなめた。


おーいちび共〜おやつだぞーと言いながらケイオスおじさんがトレーにホットケーキを乗せてセシーと一緒にキッチンから帰って来たところで完全に緊張感は解かれていた。


【結論】ゴエルティノ神様の知恵巫子らしいけど……実感ないや。

それより本当に大神殿預かりになっちゃったらどうしよう……


俺、俺……家族と……私兵や使用人のみんなとヤイリさんと……セシー離れたくないよ〜。

だってみんな大好きなんだもん。


もしかしたら巫女さんとかにチートハーレム……神殿でウハウハだったとしても、俺は家を選ぶ。


それに俺、紋章魔法を研究して冒険者に役立つものつくりたいんだ。

だから今の生活キープするんだ、絶対にね、家族とセシーとみんなと離れたくないしね。

読んでいただきありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ

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