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【結論】俺は冒険者になれない。  作者: 阿野根の作者
第一章☆幼児は今日も考察中
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【考察】魔法使い2

強くなるの〜おー

と寝室で拳を突き上げてたら様子を見に来たお母様に笑われた。


子供部屋のベッドは木製で天蓋は星の透かし模様のレースのカーテンで天井には蓄光素材の星のオーナメントが川のように連なってついている。


天井は濃紺で壁紙はアイボリーだ。

まだ学習机はなくてお絵描きの丸いテーブルとちっちゃい丸椅子が2つともう少し大きい丸椅子がある。


ピピアノのことを思って胸がちくんとした。


乳母は……もう会いたくないけど……ピピアノとはまた会えればいいなぁ……ハーレム関係なく。


首のところがちょっと痛いし恐怖も残るけど俺は元気だから遠慮なく会いにいつか来てほしいな。


「ラナ、新しい世話係も必要だけど魔法使いの先生もお願いしましょうね」

「わーいなの」

俺は思いっきり喜んだ。


そのためにも早く元気になってねとにんじんジュースを飲まされた。


美味しいけど……なんでにんじんジュースなのさ。


それにしても保育園とかじゃダメなのかな? お母様、働いてるしさ。


「お友達ほしいの」

俺は小首をかしげた。

「お友達ね」

お世話係はたくさん子供がいる人がいいかしらね? とお母様がニンジンジュースのおかわりをたした。


まさか保育園いきたいとは言えないしな……チートすぎるだろう。



扉がノックされてお母様が入りなさいと伝えると濃紺のお仕着せの侍女のランさんが静かに入ってきた。

「奥様、お見えになりました」

「そうなの? 居間にお通ししてちょうだい」

お母様がランさんに指示した。


ランはお辞儀をして先に出ていった。


さあ、お着替えして行きましょうねとお母様が俺の手をとって歩きだした。


今日の服はピンクのフリフリチュニックにキュロットらしい。


部屋の時みたいにヒルお兄様が流石にかばってくれないから髪もツインテールだ。


ああ、部屋はヒルお兄様がフリフリピンクじゃラナが落ち着かないっていってくれたらしいです。


ヒルお兄様〜ありがとう〜。


「どこに行くの?」

「いいところよ」

お母様が廊下を歩きながらウインクした。


本当に我が母ながら可愛い。

とても恐怖の大魔王には見えないよ。


居間はがっしりした大理石の暖炉とテーブルと大きな青いソファーセットがおいてある。


そのソファーに見覚えある聖印をかけた赤い髪のエウリールの巫子戦士の服……赤い生地に胸板が見えそうなV字の襟ぐりで袖無し長衣とズボンにマント……の青い目の細マッチョの男性が赤い髪に黒い目の綺麗な俺くらいの子供を膝に抱いてくつろいでた。


窓際には赤い縦襟長袖の長衣の緑の短い髪に青い目のがちマッチョの神官戦士が立っていた。


あ、あの人たちだ……助けてくれた……やっぱりエウリール神殿の戦士だったんだ。


この世界にはたくさんの神さまがいて有名所から地方の守神まで色々だけどエウリール神は帝都に大神殿を有する程のメジャーどころだ。


破壊と再生の神さまで通称? 戦いの神さまで通っていてうちみたいな武門の家には神棚もある。

だから聖印の小さい剣とか知ってるんだよね。


「皆様、よくおいでくださいました、そして息子を助けていただきありがとうございます」

お母様が丁寧に正式な礼らしいものをした。

「ありがとうなの」

一緒に頭を下げといた……正式な礼はまだ習ってないしな。

「頭を上げてください御子息がご無事で良かった」

優しい口調で言ったのは神官戦士だった。

あ、あれ? 巫子戦士さんの方はスルー? でも俺見てるしな。


「ティオラ、なんか言えよ」

「……ごめん、ちょっと幼児の性別ってわかんないなぁって思ってさ」

「そんなのでんかがいるよ」

神官戦士がとがめだてるとティオラ巫子戦士が気がついたように答えた。


綺麗な子も膝の上から参加した。


でんか? 殿下か? やっぱりエウリール大神殿だとそういう人来るんだな……俺みたいな性別不明な……


ま、まあ俺はまだ幼児だし鍛えればティオラ巫子戦士みたいな細マッチョなれるさ。


膝の上の子供がぴょんと降りて俺のところに来た。

赤いV字ネックの膝丈のチュニックにズボンでエウリールの逆聖印の刺繍が背中に入ってる。


この世界の神さまは相反する性質を2つ司っている。


正性質に仕える巫女、神官は正聖印を逆性質に仕える巫女、神官は逆聖印をつけている。


エウリール神の正は破壊で上をむいた剣、逆は再生で下をむいた剣だ。


つまり再生の巫女(女の子)巫子(男の子)


「けがいたくないか? 」

黒い大きい目に見られてどきっとした。

「セシー〜セシリア〜」

「ケイオスおじちゃん、けが治していいか? 」

セシーちゃんが神官戦士を見上げた。

「いいんじゃねぇ?」

「ちび巫女やれ」

ケイオス神官戦士とティオラ巫子戦士がうなづいた。


お、俺、別に怪我なんか……そういえば首が痛い。


セシーがそっと俺の首に手を当てた。

ふくふくの幼児の手が気持ちいい。


セシーの黒い目が閉じられて首から温かい何かが入ってきた。


「痛くない? 」

再び開けられた綺麗な瞳にドキッとした。

「うん、ありがとうなの」

ビックリするくらい痛くなくなってた。

「まあ、さすがご高名な最高位の再生巫女様のご息女様でございますね」

ありがとうございますとお母様がしゃがみこんで目線を合わせてセシーにお礼を言った。

セシーはニコっとして母さんほどじゃないですと答えて俺の手を持った。


「俺、この子と遊びたい」

「良かったわね、お友だちができて」

ぜひ遊んでくださいとお母様が侍女に案内するように指示した。


もうすぐ夫も参りますのでおくつろぎくださいというお母様の声を聞きながら俺はセシーに引っ張られるように部屋を出た。


「名前聞いてなかった、俺はセシリア」

「ぼ、僕はラナテスなの」

俺はドキドキしながら中庭に引っ張られていった。


中庭の修練場と反対側にお父様が作ってくれたブランコとか滑り台とかジャングルジムとかシーソーとかある。


ヒルお兄様が生まれた時につくったらしい。


プライベート公園ってすごいって初めて見た時おもったよ。


「追いかけっこだ、ラナが鬼」

セシーが走り出した。


早い……早すぎる。


その上ブランコとかジャングルジムとか滑り台の上からぴょんぴょん飛び上がったり飛び降りたり……


無理……絶対に捕まらない。


こ、転びまくっちまったよ。


恐ろしく激しい子供の遊びにぐったりした俺である。


でも美幼女? なお友だちゲットだぜ。

これが俺とセシーとの長い付き合いのはじまりだった。


どうでもいいけど俺体力普通すぎ〜。

チートはどこ行った〜


それにしても……あの再生魔法すごかったな……。


よーし俺も頑張るぜ。



しばらくして魔法学の家庭教師のじいさんが来た。

まごうことないジジイだった。


どうせなら年齢詐称美人エルフとかジト目の胸がペタン美女とかがいいけど。

あら可愛い〜とお姉様に抱きしめられてハーレムとか……


まあ、教えてもらうんだから文句は言えない。


勉強する部屋はうちにある軍議用の部屋となった。

防御力が一番すごい部屋なんだとさ。

やっぱり魔力の暴走とかあるから? チートっぽい。


ジジイは白衣を着ていて妙に研究者っぽい。

魔法使いなんだよな。

帝立オーレウス大学院のかつての魔法学の教授で引退して趣味で魔法の家庭教師してるんだそうだ。


「魔法は大まかに分けて5つ、舞武術魔法、精霊魔法、祈念魔法、詠唱魔法に紋章学魔法ですな」

白ひげジジイがひげを引っ張りながらホワイトボードに書いた。

「詠唱魔法……」

ああ、それいいなぁと俺はうっとりした。


セシーのは祈念魔法だよな。

神さまに祈ることによって力を授かり発揮するやつ。

俺もエウリール神を信じてみようかな。


「そのうち魔法の代表は詠唱魔法と紋章魔法ですな……」

「そうなのですか? 」

詠唱魔法が普通の魔法だよな、無詠唱とかいいな、かっこいい〜。

「しかし詠唱魔法の問題はですな、エルフしかつかえないことですな」

ジジイがにっこりと爆弾を落とした。


「どうしてなの? 」

「エルフくらい長生きでないとですなぁ」

出されたお茶をすすってジジイがいったんきった。


この世界のエルフも超長生きなのか?

そして魔法チートなんだな。


「覚えられないですぞ」

む、難しいんか? 呪文? でも頑張れば……

もったいぶった顔でジジイが発言した。

「早口が」

ジジイがお茶がうまいですのうとすすってむせた。

「早口……」

言うのことかいて早口かよ。

「も、もちろん魔法専門用語は古代語なので覚えるのが大変なのですぞ」

付け足しのようにジジイがむせながら俺を見た。


つまり難しい古代語の専門用語を一字一句間違えずに唱えないと発動せず。

その言葉を覚えてさらに戦闘に使うとなると超寿命で時間があるエルフ(戦闘民族)でないと実戦で使えないそうです。


無詠唱〜チート〜

というかエルフが戦闘民族ってなんだよ〜。

エルフって言えば弓とか魔法がメインクラスの麗人じゃないんかい?


「お嬢様には紋章魔法がおすすめですぞ」

「僕……男の子なの」

ジジイは俺の自己主張も聞かずにさあ丸を書く練習ですぞと紙と筆記用具を渡された。

三角定規に分度器に線引きにコンパス……何だこりゃ。


設計でもする勢いだよ。


「まずですなコンパスで丸を描いてですな」

ジジイがホワイトボードに描いて説明した。

「大きすぎて持てないの」

俺はケースから出したコンパスを持てずに困った。

コンパスは幼児は持てんだろう。

針が危ないしな。


俺はふくふくの手を悲しく見つめた。

あと何年すれば見覚えあるすらっとした手になるんだろう?


まあ、日焼けした男の手希望だけどさ。


「……今度円型テンプレートと準備することにして……フリーハンドですな」

ジジイが鉛筆を俺に渡した。


結局フリーハンドかい!


お絵描き帳みたいな紙にひたすら丸を描く。


なんだこの単調作業は?

杖はどこ行った〜

魔法技師さんが杖みたいので描いてたじゃねーか? 

「まあまあですな、これに三角を描いてください」

ジジイがホワイトボードにマルを描いて三角を足した見本を見せた。


さすがの先生でフリーハンドハンドなのにそこそこ整っている。


「これで良いの?」

俺も少し歪んだ三角を丸の中に描いた。

「発動ワードはサンドですぞ」

元気よく言ってくださいとジジイが指を立て左右に振った。


は、発動ワード? かっこいい。


「サンド」

ノリノリで唱えると紙が光って……砂の山が紙の上に出来た。

「素晴らしいですな」

ジジイがわざわざ砂をてにとってみている。

「砂なの……」

何で砂なのさ。

俺は砂をさわった、まごうことない砂である。

「紋章魔法は派手で無く実用的ですからな」

こんな適当な魔法陣で上質な砂の出るお嬢様は才能がございますぞとジジイがわらった。


お嬢様じゃないし〜


適当な魔法陣で砂ってある意味すげーのか?

結論もう少しだけ習ってみる。

ジジイの孫とかに可愛い美少女とかいるかもしれないしな。


「この魔法があればたたかえるの? 」

「……紋章魔法はあまり戦闘に向きませんのですぞ」

生活特化型魔法と別名言われていますぞとジジイが困ったように目線をそらした。


「ちい坊っちゃんは逃げることだけ考えてくれればいいんですよ」

ヤイリさんが迎えに来たらしく顔を出した。

あれ以来過保護さがましましで家庭内ですら護衛がつくはめになっている。


特にヤイリさんが付いてるのはどういうことなんだろう?


「はしりこみすればいいの? 」

俺は小首を傾げた。


走り込んでムキムキになる俺……かっこいい〜。


「ちい坊っちゃんが転んでる図しかうかばねぇ」

ヤイリさんが頭を抱えた。


「紋章魔法で体質改善もありですぞ! 」

紋章魔法は将来性のある学問なんですぞとジジイが叫んでむせこんだ。


体質改善? 身体強化魔法のことか?

発展していないという事はアレンジの可能性が無限大ってことか。


身体強化とか身体強化とか身体強化とかすれば剣士とか戦闘職で冒険者も可能かもしれない。


魔法剣士かっこいい〜


【結論】とりあえず習ってみる。

もし身体強化が使えればセシーに追いつくかもしれないしな。


ジジイに素敵なジト目の美少女の孫とかいるかもしれないので頑張ろうと思います。


「ちい坊っちゃん、かえるぜ」

「ヤイリさん抱き上げたら鍛えられないの」

俺は子供抱きしたヤイリさんを見上げた。


う、うるせー転んだら怪我するじゃねぇか〜。

ヤイリさんが動揺しながら足早に歩きだした。


あ~身体強化の前に普通に体力つけないとなぁ〜。


過保護連中をなんとかせんと俺の将来はやばいかもしれん。


女の子ならともかく俺は男だぜ。


よし密かに走り込みして体力強化だぁ。

チートのハーレム冒険者めざすんだもん。

読んでいただきありがとうございます♥

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