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【結論】俺は冒険者になれない。  作者: 阿野根の作者
第一章☆幼児は今日も考察中
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【考察】魔法使い

別に冒険者になるのに剣士である必要はないよな。

俺は昔のゲームの記憶をたどった。


懐かしい映像が蘇った。

あの音楽とか好きだったよな。


結構人気でオーケストラとかで演奏されたりしたCDとか出てて買ったよな。


うーんやっぱり勇者最高〜。

でも、別に世界は平和だしなぁ。


剣士とか戦士とか前衛職が花形だけど後衛職の魔法使いなんかもチートっぽくていい。


大爆発魔法で悪い魔王を一撃必殺で倒すとか最高だ。


幼児用机でお絵かきしながら最強冒険者の俺が綺麗なお姫様に抱きつかれる妄想にウハウハした。


もちろんかっこいい金飾りの黒いローブで大人の男になった俺だけどな。


「ラナちゃん、かけた? 」

近くをピピアノ(未来のハーレム要員)がスキップしながら来た時まだ丸一つ描いていなかった。


妄想はほどほどにしないとな。


ラノベでチートな主人公はどうやって魔法を覚えるか考えた。


本で覚えてたよな。

お父様の書斎は……戦術書が数冊に大型通信機の置かれた机と椅子……壁に全国武具コレクションかと言う武器が置いてあった。


お母様の書斎は経済学とか領地経営論とか難しそうな本たくさんあったな……机の上には大型通信機と家族写真……お母様は王宮で文官してるから忙しそうだ。


うーん役に立たない……図書館はあるらしいけど遠いし……


「本がよみたいの」

「本でございますか? 」

それでは書庫に参りましょうと乳母はたちあがった。


おお、書庫があるんだ。

行動範囲狭いから気が付かんかった。


屋敷の奥のその奥に書庫はあった。

本棚が立ち並ぶ様子はミニ図書館の様相だ。


とりあえず本で勉強と思って書庫に入るとおばちゃん司書がニッコリよってきた。


もちろん今日は乳母とピピアノと一緒だ。

だってお母様がこわいもん。


「ラナ様はどんな御本をお探しですか? 」

「まほうのほんにゃの」

俺は司書を見上げた。

ではこちらなんていかがですか?

と司書が渡してくれたのは絵本だった。


たしかにちび幼児だけどさ、中身はむにゃむにゃなんだぞ〜。


と思いつつ表紙を見るとエルフと竜が描かれていた。


あ……字が読めないわ……俺こっちの字習ったことねぇもんな。


文字翻訳チートとかないのかよ。

どう見てもないな。


「ラナ様はまだ文字がお読みになれません」

「では乳母殿読み聞かせをお願い致します」

私は文字練習の本を探してまいります。

と絵本を乳母に押し付けて楽しそうに書庫の奥へ去っていった。


乳母がふぅっとため息をついて本を読み出した。

俺がこの美人の乳母に微妙な距離を置くのはこの微妙な冷たさなんだよな。


内容はエルフの男の子が魔竜と仲良くなる話で楽しかった。


でも魔法使ってたけど……しょせん絵本だしよくわかんなかったよ。


「ちいぼっちゃま、こちらで学習いたしましょうね」

司書さんが三冊くらいの薄い本を嬉しそうに持ってきた。


カウンターから楽しそうにノートを取り出した。


「今度はドリルを準備いたしましょうね」

「……あい」

キラキラした司書のおばちゃんに俺は負けた。


いずれ文字も習わにゃイカンのだからまあいいか……も、文字チートということで……

わーんおばちゃんやる気満々だよー。


ピピアノは飽きてもう帰るといってる。


おばちゃんがちいぼっちゃまはお送りいたしますのでお散歩でもいかれたらいかがですのと二人を追い出した。


あ~一応あの人たちの職業、俺の乳母(お世話係)乳姉弟(遊び相手)だから……


「上の若様たちとちがってちいぼっちゃまはお勉強家でございますね」

おばちゃんが嬉しそうにこちらはこうでと教えてくれた結果少し読めるようになった。



夕食は忙しいと集まらないけど書庫初利用の時は珍しく家族全員いた。


「ラナ、アンジェ司書からきいたのだけど文字の練習をしているそうね」

お母様が美味しそうなエビのベーコン巻きを切りながら俺に微笑んだ。

「そうなにょ」

魔法の本を読まないとだしな。

「なにか読みたいものがあるの? 」

「まほうのほんがみゅたいにょ」

俺は自分の子供用のエビ団子を口に運びながら答えた。


「あらあら、ラナは魔法に興味があるのね」

「魔法か……」

楽しそうに笑うお母様のとなりのお父様が眉を少しひそめた。


武門の家的に魔法使いとかだすのはだめとか?

ふ、そうなったらそうなったでおんでてやるぜ。

チートな孤高の魔法使いが杖を片手に実家の追手を蹴散らす妄想をしてにへっと笑った。


「あ~あれだ、魔法の女王様だったか? 」

お父様がやっと思い出せたと笑った。

魔法の女王様(マジッククイーン)エリザベートに憧れてるのか〜あの衣装確かにラナに似合うかも」

「エリザベート? 」

リンお兄様がヒラヒラのミニスカートが可愛いんですとニコニコした。

ヒルお兄様は知らないらしく首を傾げた。


通信機の配信番組らしいけど……俺は幼児番組しか見せてもらってねーぞ。


魔女っ子もんか?


「この配信番組ですね」

リンお兄様が通信機を検索して画面を見せた。


ふ、フリフリのミニスカートの10代の女の子たちがバトンを持ってリリカルに三人写ってるアニメだった。


お約束のようにマスコットの犬だか猫だかわかんないような生きもんとカッコいいらしい仮面の優男が一緒に戦う番組らしい。


俺はそれより深夜にしてる萌アニメが見たいわー。

寝かされてるけどさ。


「もうすぐラナの誕生日だからこのエリザベート変身フルセットを買ってやろう」

通信機のネット通販画面をお父様が向けた。

キラキラしたティアラをつけたチュールレースのいっぱい使ったドレスを着た幼児モデルとさっきの変身装束のミニスカートを着てバトンを持った少女モデルがうつっている。

「いらにゃい」

「ハルと水の皇女のなりきりドレスの方が良いんじゃないですか? 」

ヒルお兄様が水色のふんわりした幼児用ドレスの映像を出した。


あのさ、俺、男児よ?


「ラナ、魔法使いになりたいにょ」

ガキだしもし挫折しても大丈夫だよな。

「おお、この魔女変身セットでも」

「ラナのプレゼントは本にします」

暴走お父様とヒルお兄様をお母様がちらっと見た。

「マリエル、せっかくラナが……」

「魔法使いになりたいなら文字が読めないといけないですからね」

お母様が俺に目を合わせて微笑んだ。

俺も一瞬が本?となったけどそれもそうだよね。


「それから、あ、な、た? ヒルナス? ラナが欲しがってないものを押し付けるなんていけません」

お母様が冷え冷えとした目でお父様とヒルお兄様をにらみつけた。


お父様とお兄様たちが固まったのちあわてて謝り出した。

お母様最強? 絶対に逆らわないもん。


なかなか魔法使いに弟子入りの機会もなく俺はちょっとだけ成長した。

正確には五歳になった。


もらったプレゼントは優しい文字練習ブックと幼児用握りやすい三角えんぴつ2Bと可愛いウサギさん消しゴムと手で削るえんぴつ削りとおっきい幅のノートと文字のドリルだった。


せっかく貴族に生まれたのになんか違う。


今度は数字マグネットボードでも買おうかしらとお母様が幼児学習用グッズのカタログをみながら微笑んでたのをみて寒気をおぼえたのは内緒だ。


俺と算数と数字は犬猿の仲なんだぁ〜。

数字チートはこの世界で絶対無理〜……だって教育機関すざまじいんだぜ。


大学院相当よりあるんだぜ。


お、俺は冒険者になるからいいんだ。



そんなある日お母様が珍しく休みで俺に秘密めかしていった。

「今日は魔法使いさんがお家に来るのよ」

「会いたいの」

俺がキラキラした目でお母様を見上げると一緒に見学しましょねと手をつないで歩きだした。


本日は乳母も休みでピピアノも居ないし……もしかしてお母様、俺の面倒見るために休んだ?


屋敷のホールのシャンデリアが切れたので屋敷全体の明かりとかも点検しようということで魔法技師とかいう業者がやってくる事になったらしい。


おおー魔法技師〜ちょっとイメージと違うがいいなぁ。

俺はわくわくドキドキしながらお母様とホールで待った。

しかも今日はお母様と一緒だしね。


お兄様たちは帝立軍学校の初等科に通っているので昼間はいない。


オーレウス帝国には帝立軍学校と神聖帝立オダーウエ学園という有名な帝国立の学校がある。


武門の貴族の子息といえどもそこそこ優秀でなければ帝立軍学校の初等科からはいけないのでお兄様たちはすごいんだ。


逆に優秀なら平民でも帝立軍学校に入れる。

未来の国防に関わることなので低額で入れるけど……成績落ちるとそく留年とか素行が悪いと退学とかあるらしい。


神聖帝立オダーウエ学園は……広く深く門扉を広げてる学園でぴんからきりまでいるらしいけど基本的に天才と変態の巣窟と言われているらしい……平民から皇族までいるらしいし……


うん、行くんなら軍学校希望だな。

あってる戦闘能力が見つかるかもしれないしな。


それにお兄様たちモテモテだし……でも彼女いないよな。

羨ましい〜俺ならハーレム作るのにー。


頑張って魔法使いになるぞ〜。


「ラナ、何かボーとしてるけど大丈夫?」

「大丈夫なの」

お母様が俺を見たのであわてて笑った。


とりあえず妄想は禁止だ。

文字特訓のいっかんで声を出して読んだりしていたら少し滑舌が良くなったのはうれしい誤算だ。


「そうなの? 痛かったり苦しかったら言いなさいね」

お母様がフワフワシフォンのオレンジのリボンでポニーテールにまとめた俺の頭を撫でた。


お母様は俺を産んでもうこれ以上ご懐妊は無理といわれてるのでよく女の子っぽい格好をさせられる。


白いレースのブラウスに茶色のレース付きキュロットはいつもの格好だ。


そのせいでお父様も過保護なのかな? あの人の場合は娘と勘違いしてるところもあるからな。


今日来て入る魔法技師は三人でさっき廊下を通ってる時会釈されたおっさんと部屋を見て回っている人とうちの一応ある社交用のそこそこの広さのホールのもう一人らしい。


制服なのかウエセ魔法技管理会社㈱と背中に白文字書かれた黒いつなぎを着ていた。


え? 文字が読めるかって……俺はウエセで挫折でお母様が教えてくれたんだよ。


もっと勉強しないとだよな。


ホールにいた青年も着ていて背丈より長い棒の先になんかつけたものをもって上を見ていた。


なんか見たこと……あ~火災警報器の点検とかのおっさんが持ってるのと似てる……あの煙出して反応するか見るやつ。


先は違うみたいだけどな……水晶みたいのか? 


青年はポケットからメガネを出してよく見てから水晶? を天井の模様だと思ってたものに近づけて動かし始めた。


キラキラと光って天井に何かついた。

天井の少し薄れた模様が直されたみたいだ。


つまり水晶は筆記用具か?


面白い近くで見てみよう。

俺はお母様が見入って手をゆるめたすきに小走りに青年に近寄った。


青年はまだ天井を見てるけど杖は動かしていないみたいだ。


「お兄さんどうなってるの? 」

「わ~びっくりしました」

男性の足元から声をかけると驚かれた。

とたん点かなかったシャンデリアの灯りが輝いた。


あれどっかおかしいのかなと慌てた青年が天井に向き直って描き足すとシャンデリアの灯りが消えた。


ラナ〜邪魔しちゃダメよと言いながらもお母様が入ってきた、興味がひかれたらしい。


「面白いの」

俺はキラキラとした目で見上げた。

あの杖で描いた魔法陣で爆炎とかで一気にヒーローに躍り出る魔法使いの俺は夢想した。


キャーキャーいう女の子たち……いい、すごくいい。


「こ、ここのうちのお嬢様? 」

青年がもう一度俺に視線を向けた。

「ごめんなさいね、この子好奇心が強くって」

危なければすぐ出ていきますわとお母様がニコニコと俺の肩を掴んだ。

娘ってところ否定してくれよ。


お母様だってそうじゃねぇか。


「あ、あの危なくはないのですが……」

気の弱そうな青年がうろたえた。


ま、お母様は俺が見ても容貌だけは癒し系の胸の大きい美人だしね。

ただガッチリしたお父様と並んでるところ見ると子供と大人並の小柄さなんだよな。


怒ると恐ろしいけどね。


似てる俺は背が伸びない?

いや~お父様並とは言わんが男性平均はいきたいわー。


「あの模様が魔法陣なの? 」

「ええ、そうですよ」

魔法陣をご存知なんてすごいですねと青年が俺を興味部下そうに見た。


この拡大メガネで細かいところを見きわめてこちらの魔導石のペンで魔法陣を修正しているんですよと青年は人の良さそうな笑みを浮かべた。


「そうなのよ、ラナは可愛くて頭が良いの」

お母様はニコニコと俺の頭を撫でた。

「僕ね、あれやってみたいの〜魔法使いなの」

俺はぴょんぴょん飛び跳ねてみた。


面白そうだしな、青年に感心されたくらいだから向いてるかも。


「紋章魔法なのでお嬢様にピッタリかもしれないですね」

危なくないですしと青年が笑った。


危なくない……魔法? 

魔法って攻撃に使うの前提だから危ないのが普通なんじゃないのか?


「いいわね、お父様に許可をとって先生探しましょうね」

お母様が邪魔しないようにおやつ食べに行きましょうねと俺をホールからだした。


ま、まあ今度書庫の司書のおばちゃんに魔法陣……紋章魔法の本を見せてもらって調べるか……。

その前に読めるようにならないとだな。


【結論】紋章魔法? まだ使えるかわからないから結論は未定。


どんな先生が来るかわくわくドキドキだ。

読んでいただきありがとうございます♥♥

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