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【結論】俺は冒険者になれない。  作者: 阿野根の作者
第一章☆幼児は今日も考察中
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【考察】剣士

きらめく剣を振るい迷宮(ダンジョン)に乗り込んでいく……そのうしろには俺を慕う可愛い女の子のハーレムだ。


そんな冒険者になりたいって思っていたことがありました。


俺は武門でオーレウス帝国にお仕えする下級貴族ジェアサーナ家の三男で末っ子だ、とりあえずは。


とりあえずじゃないところは……まあ、おいおいと語ろうと思う。


俺の家は帝都の中にある。

古都の雰囲気漂う石畳に石造りの建物が並んでいて活気があっていい街らしいけどちび幼児の俺はまだ外に出たことがない。


帝都オダーウエはかつてこの世界を瘴気に包み込んだ邪神ルートシルを倒した勇者オダーウエが建国したオーレウス帝国の首都だ。


勇者とかかっこいい〜。


ただし勇者には謎がある帝都に勇者の銅像とか普通に有りそうナンだけど神の加護がある勇者は『神聖皇帝』としてまだ生きてるらしい。

……ということにしてるのか真実なのか知らないケドある意味ホラーだよな〜。


そのために生きてる勇者? が銅像とか石像とか嫌って建てられてなくて勇者の顔立ちはあんまり知られてない。

まあ、絵本とか想像画は描いてもいいらしいけど……肖像画はないらしい。


もちろん写真もない。

この世界はファンタジーのくせに進んでいて写真とか明かりとか通信機とかともかく困ったことはない……何で動いてるかは知らないケド。


通信機はまだちび幼児だから持ってないけどね。


ちなみに『神聖皇帝(勇者)』はこの国の象徴であって実際治めてるんは『オーレウス帝国、皇帝陛下』なんだけどね。


うちのお兄ちゃんたちは武門の一族だけあって幼い時から強い、未来の騎士か軍人というところらしい。


一番上のヒルナスお兄様は12歳で筋肉が少年ながら程よくついたかっこいい茶色の短い髪にはしばみ色の目の少年で優しい。


次のリンテスお兄様は9歳で銀の短い髪と青い目のがっしりした少年で行動的で面白い。


いずれもお父様に似て身のこなしの素早い自慢のお兄様だ。


対して俺はまだ4歳のちび幼児だ。

銀の長い巻き毛に青い目のお母様似のチビちゃんだ。


髪が長いのはお母様の趣味で将来は切ってお兄様みたいな髪型にしたいと思っている。


ちなみにお父様は銀の短い髪と青い目のがっしりした厳しいけど思いやりのある子煩悩な親父。

お母様は茶色の巻き毛にはしばみ色の瞳の小柄の人でいつも楽しそうな笑みを浮かべてる……おこると怖いけどね。


三兄弟なんだから末っ子の俺は冒険者になってもいいよな。


「ちいぼっちゃま、冒険者なんてならずモンの集まりですよ」

「ギルドに入っていても暴力ざたがあるくらいなんですから」

「おじちゃんが飴あげるからそんなこと考えないでください」

兵士用の居間でくつろいでる子飼いの兵士のおっちゃんたちに冗談めかして聞いたらそんな答えてがかえってきた。


兵士のおっちゃんたちの方ががたいがいいし、いかついからやばそうだけどな。


「ぼうけんしゃになりたうにょ」

「ええ? そんなヤクザなお仕事やめてください」

「まだちっちゃいだから人生捨てちゃダメですよ〜」

うちの使用人も大反対する。


そんなに『冒険者』ってヤクザな職業なのか?

でも憧れなんだよな。


俺はまだちびっ子だけど冒険者になるならやっぱりなんか武器が使えないとな。


幸いうちは武門の家で子飼いの兵士がたくさんいる。

そのための訓練場も中庭にある。

よーしまずは剣だ、天才剣士が冒険者になって大活躍でハーレムでウハウハもててしょうがない。


妄想が止まんないぜ。


うちの使用人は……俺の乳母とかお母様のおつきとかレベルたかいけど……基本的にベテランが多いんだよな。


絶対に見に行くと心に決めてたのにお昼寝しちまったぜ。

俺は一緒にうたた寝している乳母と乳兄弟の女の子のピピアノがよく寝てるのを確かめてそっと抜け出した。

さいわい暖かい時期なので中庭側の掃き出し窓が開いてる。


よいしょと隙間から出てとてとてと走った。

お母様の趣味のヒラヒラのブラウスとかキュロットが邪魔だぜ。


向こうから気合のこもった掛け声と戦闘訓練の音が聴こえる。


うーんいいぜ、本当の戦闘訓練ってどんなのかわくわくドキドキしだした。


ゲームみたいに剣戟無双とかいって雷まとったりするんかな?


俺もお兄様たちみたいに早く戦闘訓練したいんだけどまだちび幼児なんでさせてもらえないんだ。


あっちで訓練していると中庭に集まる兵士たちをみて短い足を動かして走った。

模擬剣と呼ばれる先の刃を潰した剣を20人くらいの兵士たちがふるっている。


向こうで見える小さい影はお兄様たちだ。

少年なのに動きが良い。


俺も俺も早くやりたい。


本当にちび幼児の身体って使いにくいぜ。


突進して途中で止まろうとしたのに止まれずに訓練している兵士の所に飛び込んだ。

うなりを上げて模擬剣が目の前に振り下ろされる。


俺はそのまま転んだ。


「わーん」

俺の泣き声があたりに響き渡った。

痛いよ〜痛いの〜

見えるのは訓練場の芝生ばかりだ。


「お、おい誰か呼んでこい」

「乳母はどうしたんだ? 」

頭の上がざわついてるのに気がついてしゃくりあげながら上を見た。


「ちい坊っちゃん〜」

起き上がれるかと目の前にごつい男がしゃがみこんだ兵士たちの長のヤイリさんだ。

起き上がろうとして腰が立たないのに気がついた。

「たてにゃいの」

「まあ、そうだよな」

仕方なさそうにヤイリさんがひょいと俺を抱き上げた。


まあ、ちい坊っちゃんは恐怖だよな。

そう言いながらくびにかけてたタオルで俺の顔を拭いた。

おっちゃんの汗の匂いがした。


「やべー額にこぶかよ」

ヤイリさんが俺の傷を確かめた。

擦り傷もあるぜとためいきをついた。


あの人が切れなきゃいいけどと顔をしかめる。


「やいりゅしゃーこわきゃったにょー」

俺は本能に逆らえず再び激しく泣きじゃくった。

ちい坊っちゃん大丈夫だとヤイリさんが背中をなでてくれる。


向こうから軍靴の荒々しい音がした。

銀の短い髪の筋肉質の武人が青い目でまっすぐ前を向いて早足でやってきて俺達の前で止まった。


オレイアス・ヴァリ・ジュアサーナ王宮騎士団第一小隊長その人で俺の父親だ。


「旦那〜ちい坊っちゃんは……」

「ヤイリ」

体格のいいお父様が俺の前に鋭い眼差しで俺たちを。見た

お父様〜その威圧感怖いです〜。

恐怖のあまり涙が止まってしゃくりあげる。


お父様が俺に手を伸ばした。

殴られる? 怒られる?


「ラナテス」

「あい」

お父様の大きい手が俺の頭をなでた。

俺はしゃくりあげながら答えた。

「お前を脅した奴は誰だ? 」

お父様が俺を撫でながら兵士たちを睨みつけた。

兵士たちがひっとふるえあがった。


あ、あれ? 俺、訓練邪魔したって怒られるんじゃないの?


「旦那〜、いくらちい坊っちゃんが奥様そっくりだからって娘じゃないんですよ〜」

ヤイリさんがそう叫んだ時はお父様は模擬剣を片手に

貴様がうちのラナにコブを作ったのか? 貴様か? と突き付けて兵士たちを追っかけ回してた。


わーん大騒動だよ。

俺はただ単に見たかっただけなのに〜。


「ごめんにゃさい」

震えながらヤイリさんに頭を下げた。

「大坊っちゃんと坊っちゃんの時は普通だったのになぁ」

ヤイリさんがポリポリと頬をかいた。

今度見に来るときは飛び出さないでくだせいとヤイリさんが言った。


すじゃと音がして兵士の一人がお父様に模擬剣で叩き飛ばした。


貴様かぁ~と次の獲物にお父様はもう一人を模擬剣で叩いた。


御館様〜やめてください〜。

親虎様がお怒りだ〜。


キャーキャー言いながら兵士たちが逃げていった。


「もうしにゃいの」

「ぜひそうしてくだせい」

ヤイリさんがさてどうにとめっかなとつぶやいた。

後ろから止めようとした兵士が蹴り倒された。


うちのお父様は銀の猛虎のオレイアスと呼ばれてる走り出すと止まらない男らしい。


「ラナ〜大丈夫か? 」

リンお兄様がツンっとヤイリさんの裾を引いた。

「坊っちゃんは逃げられたんだな」

「兄上は止めに行って飛ばされた」

リンお兄様が見た方に死屍累々とした兵士の倒れ伏した所に茶色の髪の少年がうめいて倒れてた。


「あなた、ラナがいなくなったのになになさってますの? 」

被害が治まったのは乳母に俺がいないと報告されてお父様に言いに来たお母様の一喝だった。


「すまん、マリエル……だがラナの敵を取らないと」

「ラナがどうなさいましたの」

とまったお父様に空恐ろしい雰囲気でお母様が詰め寄った。


わ……あそこに行きたくないな


「奥様、ラナテス坊っちゃんならここにいますぜ」

ヤイリさんが俺を差し出した。

「ラナ……どうしてここに? みんな心配したのよ」

「へいししゃんのくんれんがみたかったにょ」

お母様許してください〜俺はごめんなさいと頭を下げた。

「いなくなったから誘拐されたかと心配したわ」

お父様の力を得ようとヒルナスも誘拐されそうになったのよ。

すぐにお父様が犯人をぶちのめしてくださったけどね。

とお母様が俺を抱き取って柔らかい胸で包み込んだ。


ちび幼児、バンザーイ。


「だ、か、ら抜け出してはいけないのです、わかりましたね」

お母様が怖い声で俺を怒った。

「ごめんにゃさいにゃの」

俺は柔らかい胸にしがみついてわんわん泣いた。


ヨシヨシわかればいいのよ、迷惑かけた人たちに謝りましょうねとお母様が俺の背中をなでた。


俺は泣きながら兵士のみんなにごめんにゃさいにゃのと謝った。


「ちい坊っちゃん気にしないでください、訓練ですから」

「そうですよ、このくらい朝飯前です」

「可愛い〜」

兵士たちが起き上がって近づいてきた。


男ばっかりでなく女もいるようだ。


「貴様ら……よっぽど体力が余ってるみたいだな」

特訓するぞとお父様が模擬剣を構えて追っかけだした。

「大将〜俺も行きます」

ヤイリさんが楽しそうにたちあがった兵士を拳で芝生に沈めた。


わー大将の鬼ーあくま〜と騒ぎながらくものこを散らすようににげていく兵士の皆さん。

ご愁傷様です。

ちび幼児だから屍は拾えないけど頑張ってください。


お兄様たちも恐怖の鬼ごっこに巻き込まれたようだ。


何が怖いって捕まったら弾き飛ばされることだ。


うーんどう考えても俺には無理だす。


廊下からちっちゃい黒髪の女の子の手を引いた若い黒髪の女性が歩いてくる。


「ラナちゃんずるい〜わたちも遊びたい」

「ピピアノ、ラナ様と教えたでしょう」

乳母とピピアノがやって来た。


ピピアノの方が運動神経いいんだよな……


「ラナちゃん希望にゃの」

ラナ様って言う柄じゃないしなと俺は思いながらはいと手を上げた。


ケジメというものがございますと乳母がうるさいことをグジグジ言いはじめたのをお母様はまゆをひそめた。


「エールシア、気をつけてちょうだいね、ピピアノちゃん、ラナちゃんでいいわよ」

お母様が俺をおろして乳母(エールシア)にたくした。


お母様はお仕事がいつもお忙しそうで寂しいけど我慢するの……って中身の俺引きずられるな。

「はい、申し訳ございません」

乳母が俺の手を強く握って頭をさげた。


「乳母さんのせいじゃないの、らなが抜け出したの」

「ラナ、優しいのね」

お母様が俺に微笑んだ。


「お母様おしごとがんばってにゃの」

「ありがとう」

お母様はこの後仕事だと俺とピピアノの頭をなでて奥に歩いていった。

向こうでとばされた兵士たちがひいっとか言いながらなんとか立ち上がってお父様の指導を仰いでいる。

やっぱりかっこいいなぁ。


あ……走り出した。


「ラナ様行きましょう、お怪我の手当をいたします」

「大丈夫にゃの」

女の子の顔にこぶと擦り傷なんて……と乳母はブツブツ言ってる。

「ラナ、男にゃの」

「ラナちゃん〜終わったら戦いごっこしようね〜」

ピピアノがクルクルと俺と乳母の周りをまわった。

乳母は俺の主張を無視して終わったらオヤツです。と告げた。


オヤツ〜オヤツ〜とピピアノが余計に回り出した。

おい、転ぶぞと思ったら俺の手を握った。


「今日のオヤツなんだろうね〜」

ピピアノは可愛く笑った。


こんな元気娘でも将来、俺のハーレムが出来たら入ってくれたら嬉しい。

だって乳姉弟でそういう関係って萌ないか?


それにしても剣をむけられて恐ろしかった。

ちび幼児だからと怖いのかな?


でも大っきくなってからでも無理のような気もする。

こうなると他の冒険者に使えそうな技能を考えないとだな。


【結論】どうやっても剣が向けられると怖い俺には無理だわ……剣士は諦めようとおもう。


き、きっと俺にあってる素晴らしい戦士技能があるに違いないと信じて今後も考察することにしよう。


目指せチートでハーレム付きの最強冒険者!

ま、まだちび幼児だからきっとあってる職業(戦闘職)あるよね。


というか頼むからあってくれ〜

俺最強ならいいけど、俺最弱とか絶対嫌だからな。

読んでいただきありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ

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