第一話「神に挑む力」
俺は高根勝。
21歳のニートだ。
毎日PCに向かってはネトゲをしていた。
変わらない毎日。
ニュースを見れば大抵は誘拐や殺人の悪行三昧。
腐ってやがる。この世の中は。
俺に力があれば……。こんな……。
「もうこんな時間か。そろそろ寝るか」
俺は布団に入り、眠りについた。
「ん?」
目の前が真っ暗になっていた。
これは……夢?
「力が欲しいか?」
どこからか声がする。
「誰だ? お前は」
「それを知ってどうする。それよりも力が欲しいか?」
「力? ああ、欲しいさ。もらえるものなら」
「なぜそれを望む?」
「この世界は腐ってやがる。俺は世界を変えたい」
「それが力を望む理由か?」
「ああ、そうだ」
「ならばお前に力を授けよう」
「おいちょっと待て! お前は!?」
「ん?」
目が覚めた。
あれは……。夢?
そうだよな。
あんな都合がいい話があるわけがない。
あれは夢だ。
さて、今日もネトゲでもして時間を潰すか
「!?」
起き上がろうとして首を横に振った瞬間。
俺の目の前に白い球体が浮かんでいた。
「おはよう。勝」
その声は男か女か分らない中性的な声に聞こえた。
ただ、その声は神秘的に感じた。
「あれ? 返事がないな?」
「お前は一体……誰だ?」
「それを知ってどうする?」
「まさか……。あの夢の中の声もお前か?」
「そうだが」
俺は幻でも見ているのだろうか?
暇すぎてついには頭まで狂っちゃったか。
「まあ名前を知らないのは不便だろう。これからお前は私のパートナーなんだからな」
「パートナー?」
「お前は世界を変えたいと言った。それは、私も同じだ」
「…………」
「私の名前はアルファート。邪神だ」
「邪神?」
とてもじゃないが声からして邪神とは到底思えない。
普通に神様の声に聞こえる。
しかし、これは幻じゃないのか?
「その様子だと信用してないようだな」
「そうだな。俺は頭まで狂ってしまったみたいだ」
「それなら証明してやろう」
「何を?」
「力さ」
力。
邪神アルファートは俺に力を授けようと言った。
面白いじゃないか。
幻かどうか……試してやる。
「そうだなあ、近所の公園に瞬間移動でも出来たら信じてやるよ」
「分かった。念じてみろ」
俺は言われるままに念じてみた。
「ここは……!?」
「どうだ? 勝」
「本当に近所の……公園だ」
「これで私に力があると分かっただろう?」
「信用……していいかもな」
俺は再び念じて自分の部屋に戻った。
「お前に力があるのは分かった」
「だろう」
「で、この力を使って俺に何をして欲しいんだ?」
「創造神を倒すこと」
「創造神?」
「ああ、お前にはそれが出来ると私は期待している」
神。
俺はこの世の中には神はいると思っている。
邪神がいるように創造神もいるのだろう。
俺はずっと前から疑問だった。
人間は自分がやったことには責任を持たないといけない。
だがそれは創造神にも当てはまるんじゃないのか?
人間やこの世界を作った以上。
創造神にはそれらを幸福にする義務があると俺は思っている。
俺はこんな世界を作った創造神が憎い。
だけど邪神は言った。
創造神を倒せと。
俺は手に入れたんだ。
それだけの力を。
なら俺は……。
創造神を……殺す。