第9話:特設小等部、メンツが濃すぎてマジ無理
そんなわけで、私は家族全員で王都へ引っ越すことになった。 パパも騎士団の要職を兼ねて王都勤務になり、お兄ちゃんとお姉ちゃんは学院の特待生。 そして私は、今回新設されたという「王立学院・特別小等部」の一期生。
「レナ様、ここが貴女の学び舎です。世界中から『予測不能な才能』を持つ子供たちが集められました」
案内してくれるセルンさんの目は、相変わらず「新しい研究材料」を見る目だ。
教室の扉を開けると、そこは学校というよりは……なんていうか、**「野生動物の保護区」**だった。
机の上で瞑想して周囲の家具を浮かせてる無口な少年とか。 教室の隅で不気味な薬を調合して、爆発させてるツインテールの幼女とか。 「俺に触ると呪われるぞ」とか言いつつ、誰にも相手にされなくて寂しそうにしてる中二病予備軍の男子とか。
私は入り口で立ち止まり、そっと【鑑定眼】を回した。
【名前:カイト】 【適性:重力魔法(潜在S/現在E)】 【状況:魔力が重すぎて自分でも制御不能。引きこもり予備軍】
【名前:ミーナ】 【適性:錬金術(潜在S/現在D)】 【状況:配合のリテラシーが独学すぎて、いつか自分を爆破する予定】
……ちょ。 何これ、マジで「原石」のバーゲンセールじゃん。 どいつもこいつも、お兄ちゃんたちと同じで「使い方が分かってないだけ」の天才たち。
「……はぁ。私の平穏な学校生活、初日で終わったわ」
「何かおっしゃいましたか、レナ様?」
「ううん、独り言。……それよりセルンさん、あそこでふんぞり返ってる金髪の男子、あれ何? 鑑定しなくても『俺様キャラ』がダダ漏れなんだけど」
教室の中央で、取り巻きに囲まれてふんぞり返っている少年。 彼が私の方を向いて、ニヤリと嫌な笑い方をした。
「ふん、君がアークライト家の『おまけ』か。精霊に愛されなかった無能が、この僕……第3王子・エドワードと同じクラスとは、学院も焼きが回ったな」
……出た。王族の俺様キャラ。 私はそっと彼のステータスを覗く。
【名前:エドワード・フォン・ロイヤル】 【適性:光魔法(潜在A/現在C)】 【性格:プライドがエベレスト級。自分の限界(A)に気づいていない】
……あー、なるほど。パパと同じ「Aランクの壁」にぶつかるタイプね。 しかも性格がこれじゃ、伸び代もたかが知れてる。
「……あの、エドワード様? 私、お菓子食べて静かにしてたいだけなんで。序列とか興味ないんで、適当にスルーしてくんない?」
「なっ……!? 貴様、僕を無視する気か!」
周りの天才予備軍たちが、一斉にこっちを見た。 ……やっべ、つい地が出た。 平穏に過ごしたいのに、さっそく「問題児」の注目を集めちゃった。 でも、この教室……魔力の流れがマジで「スパゲッティ状態」。 私の【無属性SSS】の感覚からすると、全員の魔力を「交通整理」してあげたくてウズウズしちゃう。
崖っぷちギャルのプロデューサー魂……。 いやいや、我慢。私はあくまで「無能な末っ子」なんだから!




