第8話:ステータス、極端すぎてウケる
アレンお兄ちゃんとフェリスお姉ちゃんが、視察団を相手に異次元の演武を披露している横で、私は自分のステータスを改めて【鑑定】し、心の中で深いため息をついた。
【名前:レナ・アークライト(6)】 【魔力適性:精霊D、炎D、水D、風D、土D、闇D、光D、召喚D】 【武器適性:剣D、槍D、弓D、杖D】 【固有適性:無属性(潜在SSS/現在S)】
……うん、マジで笑えるくらい極端。 この世界の魔法って、基本は精霊とか属性の力を借りて出す「演出ありきのキラキラ魔法」なんだけど、私の適性はそこが全部底辺。パパが絶望したのも納得の「魔法使い失格」ラインだ。
でも、唯一の無属性SSS。 これ、属性っていう「フィルター」を通さずに、魔力をそのまま純粋なエネルギーとしてぶっ放す力。 属性魔法が「炎の玉を投げる」なら、私のは「魔力の塊で物理的にブチ抜く」感じ。
今はまだ6歳の体だから出力は「S」で抑えてるけど、それでも純粋な魔力量と密度だけなら、とっくにパパを超えてる。 ただ、魔法には「組み合わせ」とか「相性」があるから、今の段階でガチでやり合ったら、属性を極め始めたお兄ちゃんやお姉ちゃんの方が手数は多いし、実戦では上だろうな。
「……はぁ。でも、これでいいんだよね。私はこのまま、最強の兄姉の影に隠れて、美味しいお菓子を食べて一生を終える。これこそコスパ最強の人生じゃん」
そう自分に言い聞かせて、マドレーヌを口に放り込んだ時だった。
「——バルト閣下。この二人の才能、もはやこの領地で腐らせておくには惜しい。ぜひ、次期入学の特待生として、王立学院へ招きたい」
視察団のリーダーらしきおっさんが、興奮気味にパパに詰め寄っている。 ……おっ、きたきた。お兄ちゃんたちのエリートコース! これで二人が王都に行けば、家の中はさらに静かになって、私のニート計画は加速する……はずだった。
「……光栄な話だ。だが、もう一人。末娘のレナも一緒に、という条件なら考えよう」
……はぁ!? パパ、今なんて言った?
「レナ様を? ですが、彼女の適性は……」
「数値だけでは測れんものがある。この子が生まれてから、我が家は変わった。……私は、この子の『眼』を信じているのだ」
パパ、マジか。 あの日、適性ナシって言われてあんなに凹んでたのに、結局私のこと買い被りすぎでしょ! お兄ちゃんもお姉ちゃんも、「レナと一緒なら頑張れる!」みたいな顔してこっちを見てる。 ……待て待て、王立学院なんて行ったら、周りはエリートだらけで「擬態」がマジで難易度ハードモードになるんだけど!
セルンさんが私の隣で、眼鏡をクイッと上げた。
「……良かったですね、レナ様。王都には、貴女が興味を持ちそうな『未解明の術式』がたくさんありますよ?」
「……セルンさん、目が笑ってないんだけど。マジぴえん」
どうやら私の平和な隠居計画、6歳にして早くも崖っぷちなんですけど!




