第7話:6年後、アークライト家はマジで別世界
月日が流れるのはマジで早い。 崖から落ちてこの世界に爆誕してから、気づけば6年。 私、レナ・アークライトは、6歳の誕生日を迎えた。 鏡を見ると、我ながら「将来これ、マジで無双できるわ」ってレベルの美少女に育ってる。……まあ、中身は相変わらず「根性」で生きてるギャルなんだけど。
この6年で、アークライト家はマジで激変した。
まず、兄のアレン(14歳)。 あの日、私が無理やり槍の柄を触らせて以来、彼は自分の本当の才能に気づいた。今や「紅蓮の魔槍」なんて二つ名で、騎士団の訓練生の間ではちょっとした有名人だ。
そして姉のフェリス(12歳)。 セルンさんの指導で、独自の広域精霊術を開花させた彼女は、もはや一つの軍隊に匹敵するって言われるほどの美少女術師になった。
……で、そんな怪物二人を「鑑定」で密かに導いてきた私は。
「……レナ。またそんな端っこの席で、お菓子ばかり食べて……。今日は王立学院から視察が来ているんだ。少しはシャキッとしなさい」
バルトパパが、呆れ顔で私を覗き込む。 パパも、二人の覚醒に刺激を受けたのか、最近また一段と強くなってる。Aランクっていう自分の限界を、楽しそうに超えようとしてるんだよね。
「あー、パパ。大丈夫だって。私は『精霊に愛されなかった無属性』なんだから、空気でしょ」
「お前は昔から、そういう冷めたところがあるな……。まあいい、アレンの演武が始まるぞ」
庭の訓練場では、アレンが一本の紅い槍を携えて、騎士団の精鋭たちを相手に立っていた。 【名前:アレン・アークライト(14)】 【魔力適性:槍術(潜在A/現在A)、炎魔法(潜在S/現在A)】
アレンが槍を一閃させた瞬間、空気が熱を帯びて爆ぜた。 剣の時とは比べ物にならないほど、魔力と動きが「バチコン」と噛み合っている。
「マジで強くなりすぎっしょ、お兄ちゃん」
続いて、フェリスが杖を掲げる。 彼女が静かに微笑むと、空からキラキラした光の粒が降り注ぎ、訓練場一帯が幻想的な光に包まれた。
視察に来ていた学院の偉い人たちが、腰を抜かして震えている。 ……よし、計画通り。 家族が「本物の天才」として目立てば目立つほど、凡才扱いの私は、自由な隠居ライフに近づくわけよ。
――なーんて、甘いこと考えてたんだけど。
「……レナ様。貴女が生まれてから、この家は随分と『面白いこと』が続きますね」
背後から、クスクスという笑い声。 振り向くと、家庭教師のセルンさんが、度数の強そうな眼鏡を光らせて立っていた。
「……セルンさん。それ、どういう意味?」
「アレン様が槍に目覚めたあの日、貴女が側にいたと聞きました。フェリス様が術式を変えたあの日も……。貴女が何をしたかは分かりません。でも、貴女の瞳……時折、全てを見透かしているような、不思議な輝き方をしますね」
……うっわ、鋭。この女、マジで勘がいい。 「……気のせいじゃない? 私、ただの6歳児だよ?」
「そうですね。ただの6歳児が、学院の視察官の魔法構成を見て、つまらなそうに欠伸をしたりはしませんが」
……やっべ、油断した。 鑑定眼は誰にも言ってないし、魔法の実技も隠してるけど、態度は隠せてなかったか。 家族を最強にするプロデュースは完璧だったけど、自分の「擬態」が一番難しいって、これマジでバグなんですけど!




