第3話:鑑定の儀、マジ修羅場なんですけど?
今日はアークライト家の一大事、【鑑定の儀】の日。 赤ちゃんの「適性」を調べて、今後の人生が決まっちゃうっていう、この世界の超重要イベントらしい。
会場の広間には、バルトパパを筆頭に、偉そうな魔法使いがズラッと並んでる。 みんな、私を見る目が怖いくらいガチだ。 パパなんて、期待しすぎて鼻息荒いし……ちょっと緊張してミルク戻しそう。
「さあ、レナ。アークライト家の未来をその身に示してくれ」
パパが仰々しく、大きな水晶玉に私の手を乗せた。 その瞬間、水晶玉がパァァァァッて、見たこともないくらいの眩しい光を放った。 広間の大人たちが「おおおっ!」ってどよめく。
でも、その光が収まったあとに浮かび上がった文字を見て、全員が石になった。
『——適性:【無属性魔法】。精霊適性、ゼロ』
「…………な……?」
パパの顔から、一瞬で血の気が引いていくのが分かった。 周りのおじさんたちも、「精霊魔法の家系から、無属性だと……?」「魔法使いとしては最も平凡な適性ではないか」なんて、さっきまでの期待が嘘みたいに冷たい空気が流れる。
え、無属性ってそんなダメなの? てかパパ、そんな絶望した顔しないでよ。マジで凹むんだけど。
重苦しい沈黙の中で、お姉ちゃんのフェリスが震える手で私を抱き上げた。
「……パパ、レナは悪くないよ。無属性だって、きっと何かできることがあるよ」 「フェリス、下がっていなさい。まさか、私の子が……精霊に愛されない子が生まれるなど……」
バルトパパの声は、怒っているというより、魂が抜けたみたいに力がない。 代々続く「精霊魔法」の重みを背負っているからこそ、ショックが大きいんだろうな。 でも、お姉ちゃんを無視するのは違うっしょ。 私は、お姉ちゃんの胸に顔を埋めながら、もう一度【鑑定】を回してみた。
【フェリス(姉):潜在能力S(開花率5%)】 【現状:あまりに巨大な精霊の愛を受けているため、伝統的な『型』に魔力が収まりきっていない状態。お姉ちゃん専用の、もっと自由な魔法の形を見つける必要がある】
……そう。パパもお姉ちゃんも、誰も悪くないんだ。 ただ、お姉ちゃんの才能がアークライト家の歴史でも見たことがないくらい「デカすぎる」から、今の教え方じゃ収まりきってないだけ。
パパたちが築き上げてきた道も凄いけど、お姉ちゃんには「お姉ちゃんだけの道」があるんだってば!
私は、まだ上手く動かない舌を必死に動かした。 言葉は通じなくても、この熱量だけは伝わってほしい。
「あぅ……あぅー! ぺりしゅ、しゅごい! しゅごいのー!」
私はお姉ちゃんの指を掴んで、パパに向かってブンブン振った。 パパ、見てよ。 私は期待外れだったかもしれないけど、隣に「本物」がいるじゃん。 このお姉ちゃん、あんたが思ってるより、何百倍も「キラキラ」してるんだよ!
「……レナ? フェリスが、凄い……と言うのか?」
私の必死な「あぅあぅ」攻撃に、バルトパパが呆然と目を見開いた。
お姉ちゃんは不思議そうに私を見てるけど、私は諦めない。 お姉ちゃんが「自分はダメなんだ」なんて思い込んだままなのは、絶対に見過ごせない。 ここからがお姉ちゃんの、そして私の逆転劇のスタートなんだから!




