第18話:かつての手下(エリート)たちがやってきた
レオが「終焉魔法」で荒野を更地にした翌日。 アークライト家の屋敷の前に、豪華な馬車と数騎の騎馬が到着した。
「……ねえ、レオ。お姉ちゃん、今日は体調不良で寝込んでるってことにしといて」 「えっ、でも姉様、さっきまでマドレーヌ三つも食べて元気そうだったのに」
窓から外を覗いた私は、即座に引きこもりモードへ移行しようとした。 だって、そこには見覚えのある、でも随分と「立派になりすぎた」顔ぶれが並んでいたから。
「お久しぶりです、レナ様! 学院を中退されたと聞いて、居ても立ってもいられず駆けつけました!」
真っ先に馬から降りて叫んだのは、かつての俺様王子、エドワードだ。 今は第1騎士団の副団長なんて大層な肩書きを持ってるらしいけど、私を見るなりキラキラした目で寄ってくるのは変わってない。光魔法をレーザー状に収束させる「屈折」を極めたせいで、今や『閃光の貴公子』とか呼ばれてるらしい。マジかよ。
「……レナ、相変わらず……隠居するの、早すぎ」
影からスッと現れたのは、カイト。 重力魔法を応用した隠密・暗殺術のスペシャリストとして、国の諜報機関の若きエースになっていた。無口なのは相変わらずだけど、魔力の密度が以前の比じゃない。
「レナ様ぁ! 会いたかったですぅ!」
毒使いのミーナは、今や宮廷薬剤師のトップ。可愛い顔して、彼女の作る「劇薬」は一国を滅ぼすとまで噂されている。
……こいつら、マジで私のプロデュース通りに育ちすぎ。 でも、彼らの視線はすぐに、私の後ろに隠れているレオに注がれた。
「……レナ様。この子が、噂の弟君ですか?」 エドワードの目が、騎士としての鋭さを帯びる。 「昨日、この付近で観測された『異常な魔力反応』……。正直、アレン殿やフェリス殿をも凌駕する異質なものでしたが……」
カイトやミーナも、探るような視線をレオに送る。 彼らもまた、レナにしごかれた「バケモノ」の一員。隠しきれないレオの『終焉』の片鱗に、本能的な恐怖と好奇心を感じてるみたいだ。
「……あー、みんな。わざわざ来たところ悪いけど、レオはただの可愛い弟だから。変なスカウトとか、決闘とか申し込まないでよね。お姉ちゃん、怒っちゃうよ?」
私が一歩前に出て、無属性SSSの圧を「ほんの少し」だけ混ぜて微笑む。 ピリッ、と空気が震える。 エドワードたちが一瞬で冷や汗を流し、直立不動になった。
「い、いえ! 滅相もございません! 私たちはただ、レナ様のご様子を伺いに……!」 「……そう、挨拶……だけ」
……よし、制圧完了。 でも、レオは彼らの放つ「強者のオーラ」に興味津々だ。 「ねえ、お姉ちゃんの友達? 僕に魔法、教えてくれるの?」
無邪気なレオの問いに、エリート三人が「えっ、俺たちが教えるの!?(死ぬ気か!?)」という顔で私をチラチラ見てくる。
アークライト家に集結した、かつての教え子たちと、新時代のバケモノ弟。 私の静かなニート生活、これ絶対無理なやつじゃん!




