第13話:地下遺構の暗殺者、マジで空気が読めてない
アレンお兄ちゃんとフェリスお姉ちゃんが王城へ報告に向かい、パパも国境の調整で不在。 アークライト家の「守り」が一番薄くなったその日、学院の地下から「それ」は現れた。
王都の地下に広がる迷宮遺構。そこに潜んでいた、魔法教団の暗殺部隊。 狙いはもちろん、国家最高戦力の二人を「覚醒」させた元凶――私、レナ・アークライト。
「……いたぞ。あの無属性の小娘だ。周囲に護衛はいない。……やれ!」
放課後の無人のはずの教室。 影から這い出してきた暗殺者たちが、漆黒の刃を手に私へ飛びかかる。 ……あーあ。マジでタイミング悪すぎ。
私は窓際で新作のタルトを食べてたんだけど、フォークを置くまでもなかった。
「……『重力崩壊』」
ドォォォォンッ!!
冷徹な声と共に、暗殺者たちの体が床にめり込んだ。 教室の入り口には、重力使いのカイトが、以前とは比べ物にならないほど鋭い眼差しで立っていた。
「……僕たちのリーダーに、汚い影が触れようとするな。不愉快だ」
「レナ様、お怪我はありませんか? 残りの連中は、私が『溶かして』おきましたから」
反対側の窓からは、毒使いのミーナが、指先から紫の毒針を弄びながら現れる。 外の廊下からは、エドワード王子の高笑いと、レーザーのように収束された光魔法が暗殺者たちを焼き貫く音が聞こえてくる。
……そう。 この1年、私が「プロデュース」してきたのは、ただの子供じゃない。 既存の魔法体系を無視し、レナ直伝の「魔力効率」を極めた、新時代の怪物たち。
「……っ、バカな……! たかが子供の集団が、なぜ我ら精鋭の術式を見破れる……!?」
床に這いつくばった暗殺者のリーダーが、信じられないものを見る目で絶叫する。 私は最後の一口のタルトを飲み込んで、彼を見下ろした。
「あんたたちの魔力、混ぜ物(属性)が多くてノイズだらけなんだよね。うちの子たちの『純度』とは、最初から勝負になってないの」
私はそっと立ち上がり、暗殺者のリーダーの頭に手を置いた。 鑑定眼で見抜いた、彼の魔力回路の「核」。
「……ちょっとだけ、無属性の『重み』、教えてあげる」
ドクンッ、と私の魔力が一瞬だけ流れた。 それだけで、リーダーの魔力回路は過負荷を起こし、彼は声を出す間もなく気絶した。
「レナ様……! また一人で解決しようとしないでください! 僕たちの出番がなくなるじゃないですか!」
駆け寄ってくるカイトやエドワードたち。 ……あー、ごめんごめん。 でも、あんたたちがこれだけ動けるなら、もう私が表に出る必要、マジでなくない?
――しかし、この襲撃はただの序章に過ぎなかった。 地下遺構から溢れ出した魔力は、王都全体を飲み込む「大災厄」へと繋がっていく。
「……お兄ちゃんとお姉ちゃん、まだ城から戻ってないよね」
私は遠く、不気味に光り始めた王宮を見つめた。 崖っぷちギャルのプロデューサー業。 どうやら、子供時代の最後に「この国の歴史」を書き換える仕事が回ってきたみたい。
「みんな、準備いーい? ……アークライト家のプロデュースは、ここからが本番だよ!」




