第12話:アークライトの双璧、降臨。
あれからさらに1年。 私の「小等部プロデュース」は順調すぎて、今やクラス全体が「レナの私設軍隊」なんて揶揄されるほど、とんでもない実力者集団に育っていた。
そんなある日、学院に激震が走る。 国境付近での紛争を、たった二人で鎮圧して帰還した「国家最高戦力」が、休暇を兼ねて学院を訪れるというのだ。
「レナ様、来ましたよ。貴女の最高傑作たちが」
隣でセルンさんが、心底楽しそうに窓の外を指差す。 学院の正門から、騎士団や教師たちが総出で出迎える中、馬を降りて歩いてくる二人の男女。
一人は、背中に巨大な紅蓮の槍を背負い、歩くたびに周囲の空気を熱くさせる少年。 もう一人は、ただそこにいるだけで精霊たちが歌い出すような、神秘的なオーラを纏った少女。
【名前:アレン・アークライト(15)】 【二名:紅蓮の魔槍】 【状態:国家最高戦力。妹への愛がカンスト中】
【名前:フェリス・アークライト(13)】 【二名:聖域の巫女】 【状態:広域絶滅魔法(慈悲あり)の使い手】
……うわぁ。二人とも、マジでオーラが「バグ」レベルなんだけど。 1年前よりさらに魔力の練度が上がってる。特にフェリスお姉ちゃん、歩く聖域って感じ。
「レナ! 元気にしてたか?」
アレンお兄ちゃんが私を見つけるなり、周囲の重々しい空気を一瞬でぶち壊して駆け寄ってきた。 後ろで跪いていた学院長たちが「え、あの魔槍様が……?」って顔で固まってる。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。お帰り。……二人とも、また強くなりすぎじゃない? どんだけコスパいい修行したのよ」
「ふふ、全部レナが教えてくれた『感覚』を突き詰めただけだよ。……ねえ、レナ。少し見ない間に、随分と立派な『手下』を囲ってるみたいじゃない?」
お姉ちゃんの視線が、私の後ろで直立不動になっているエドワードやカイト、ミーナたちに向けられる。 最高戦力二人の圧を前に、あの問題児クラスの面々が、生まれたての小鹿みたいにプルプル震えてる。
「……レナ・アークライト。貴様の家族は、これほどまでの……怪物だったのか」
エドワードが冷や汗を流しながら呟く。 そうだよ王子、これが私の「第一期プロデュース作品」だよ。
アレンお兄ちゃんが、槍を地面に突き立て、真剣な顔で私を見た。
「レナ、実は王都の地下遺構から『妙な連中』が動き出してるって噂がある。そいつら、どうやらお前の『無属性』の噂を嗅ぎつけたらしくてな……。パパも警戒してる」
……あー。やっぱりそうなるよね。 家族が目立てば、その「源」を探ろうとする輩が出てくる。 国家最高戦力の兄と姉。 そして、その二人が唯一頭の上がらない「無属性の末妹」。 そろそろ、私が裏でこっそりボコるだけじゃ済まない「ヤバい案件」が来そうな予感。 「お兄ちゃん、お姉ちゃん。私、ただの7歳児なんだけど、護衛プランの料金、高くなりそう?」
「何言ってるの、レナ。私たちが、世界中の敵からあんたを守ってあげるに決まってるでしょ」
お姉ちゃんの笑顔が、逆に一番怖かった。 崖っぷちギャルの隠居計画、ついに「国家間抗争」のフラグまで建っちゃったんですけど!




