第9話:特設小等部、マウントの取り合いでマジ無理
王都の王立学院。その一角に、隔離されるように作られた新校舎。 それが私の通う「特別小等部」だ。
教室の扉を開けた瞬間、熱気っていうか……刺すような「魔圧」が飛んできた。 普通の6歳児なら泣き出すレベル。 教室内は、すでにいくつかのグループに分かれて、お互いを牽制し合っていた。 このクラスは、年齢も国籍もバラバラ。共通しているのは、全員が「既存の枠に収まらない異常な魔力」を持っていること。 つまり、「自分が一番最強」と思ってるガキの集まりだ。
「……はぁ。空気悪すぎ。マジで換気したいんだけど」
「おっと、レナ様。ここは『実力こそが序列』を地で行くクラスですから。大人しくしているのが正解ですよ」
案内役のセルンさんが楽しそうに囁く。 私は適当な席に座ろうとしたけど、そこをドカッと一人の少年に塞がれた。
第3王子、エドワード。 取り巻きを従え、すでにこのクラスの「頂点」に君臨しているつもりらしい。
「アークライトの無能が、この僕の前に座るな。このクラスの序列は、魔力の『純度』で決まっている。精霊の加護もない、無属性のゴミに座る資格はない」
……あー、始まった。 王族特有の「血筋と属性」マウント。 周りの連中も、冷ややかな目でこっちを見てる。
重力を操る無口な少年、カイト。 猛毒の霧を指先で弄ぶ少女、ミーナ。 彼らもまた、エドワードの実力(潜在A)は認めつつ、虎視眈々と上の座を狙ってる顔だ。 まさに、弱肉強食のサファリパーク。
私はそっと、教室全体の魔力の流れを【鑑定】した。
【空間鑑定:特設小等部・第1教室】 【状態:魔力の衝突による乱気流。エドワードを筆頭に、全員が『力を見せつける』ことだけに魔力を浪費している。……非効率すぎてマジで時間の無駄】
……うわ、見なきゃよかった。 こいつら、自分の才能に溺れて、根底のコントロールがガタガタじゃん。 「ねえ、エドワード様だっけ? 序列とか純度とか、そんな古い価値観でイキってて恥ずかしくないの? あんたの光魔法、さっきから屈折率がブレてて、マジで眩しいだけで中身スカスカなんだけど」
教室が、凍りついた。 エドワードの顔が、屈辱で真っ赤に染まる。
「……貴様、今なんと言った? 無能の分際で、この僕に……!」
「あー、怒るとさらに魔力乱れるよ? ほら、足元」
私が指差すと、エドワードの足元で暴走しかけた光の粒子がパリンッと弾けた。 彼は驚いて飛び退く。
「……ふん。口の減らない女だ。いいだろう、次の『実技訓練』で、その生意気な態度を後悔させてやる」
エドワードは捨て台詞を吐いて離れていったけど、カイトやミーナたちの視線が、今度は「獲物」を見るように私に突き刺さる。 ……やっべ、つい「プロデューサー目線」でダメ出ししちゃった。 目立たずにお菓子を食べる計画だったのに、これじゃクラス全員から「分からせてやる対象」に指定されたようなもんじゃん。 崖っぷちどころか、初日から四面楚歌なんですけど!




