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雑草

頭中の石

作者: ものくれ

 最近、頭の中に石があるのだ。それは、大き過ぎず小さ過ぎず存在感を示すようにそこにある。意識すれば確かにあるようだが、日常の中では気にはなりもしない程度のものである。頭を振れば、ころころと音をたてるわけでもなく、ぎちっとおさまっているわけでもない。程よい違和感としてそこにあるのがわかる。日常に支障はないがしかし、意識し始めるととたんに悪くなる。重さを思い出したように頭にのしかかり、思考を隅に追いやってしまう。それはこぶし大の大きさになり頭を圧迫し始める。するともうだめだ、起き上がることすらままならない。読みたかった文章も言いたかった言葉もどうでもよくなる。石に追いやられた隅っこで思考が跳ね返り、ぶつかり合ってこんがらがって沈んでを繰り返し、やがて思考のごみが堆積していく後頭部が床に押し付けられて痛みをじんわり主張しだす。それを紛らわすように寝返りを打ち、ごみを撹拌させる。どれもこれもよろしくないものばかりで吐き気がする。撹拌させる作業を繰り返しているとだんだんと石が小さくなって、痛みが消えるときがくる。違和感だけを残して頭の中にあり続けるのだ。


 何とか、この石ころをどうにかしようと耳をほじくってみたが、小指ではどうにも届かない。小指の爪でがりがりと耳の中の表皮を傷つけるだけだった。頭をぶんぶんと振り回しても、目が回るだけである。頭の中にあるものをどうして取りだせようか。目からか、鼻からか口からか。虫歯が脳を感染させると聞いたが、まさか歯からこの石ころが出てくるのか。

「どうなったら幸せか」という問いをされたならきっと、この頭の中の石が取り除かれたときが幸せだと間違いなく答える。自分ではどうしようもなく、取り出すことさえできない。どうにかならないものかなあ。

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