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第5話 開眼者の末路

「あ……あ……あ……っ」


 新たな観客の登場に、イングリッド様の表情が戦慄に染まる。

 未だジャバジャバと失禁を続ける彼女に、アシュレイの顔が嗜虐の形に歪んだ。


「あらあら、これは大変ね、イングリッド」

「ち、違う、これは、違うんだ……! あぁっ……と、止まってくれ……!」


 ジョオオオオッ!ジョボボボボボボボボボッ!ジャバッ!ブジィィィィィィッ!ジャバババババッ!


 同じ幹部に見られるのは、下っ端の男に見られるのとは、また別の恥ずかしさがあるのだろう。

 イングリッド様が懸命に失禁を止めようとする。だが――


 61%、337/552ml(395ml)


 イングリッド様の膀胱には、まだ半分以上液体が残っている。

 陥落した括約筋で止められる筈もなく、溢れ出る水流が歪なリズムを刻むだけだ。

 そのいじらしい努力に見惚れていたいところだが、残念ながらそれどころではないようだ。


「ア、アシュレイ様、これは――」

「しー」


 そしらぬ顔で説明を求める俺に、アシュレイ様は唇に人差し指を当て静寂を促した。

 いったい、何のつもり……あっ!



 バシャバシャバシャバシャッ!ジョロッ!ジョロロロッ!ジョボボボボッ!


「見るな……見るな……っ……音も、聴かないでくれ……っ……お、お願いだ……うぅぅっ」


 静寂の中に響く水音と、消え入りそうな懇願。

 間違いない、この女……!



「本当は貴方の相手をしないといけないのだけれど……今は、楽しみましょう」


 やはり……こいつ、イングリッド様のお漏らしが終わるまで、俺も利用して辱めるつもりだ。

 いいだろう。何となくだが、もう言い逃れはできないよう気がする。

 この先どうなるかわからないのなら、せめてこの瞬間を楽しんでやろうじゃないか。


 俺は、口を閉じてイングリッド様に視線を戻した。


「あぁぁ……っ……そんな……やめてくれっ……もう、許して……!」


 ジョオオオッ!ジョオオオオオッ!ジョボボボボボッ!


「止まれっ、止まれっ! お願い……っ……止まって……うぅぅっ!」


 その後数十秒、俺とアシュレイは、イングリッド様の恥態を楽しんだ。


 やがて水音が止み、イングリッド様の啜り泣きだけが廊下に響く。

 アシュレイは、漸くその顔を、自分が鎖でがんじがらめにした男――俺に向けた。


「さて……じゃあ貴方の番ね。何か申し開きはあるかしら?」


 確信を帯びた声音。やはりこの女、俺の素性を掴んでいるらしい。

 が、ブラフの可能性もゼロではない。できる限りしらばっくれてやる。


「い、いったいなんのことでしょう? 私はこの辺りの警備を――」

「貴方の担当は会場内よ」

「っ!」


 こいつは……驚いた。


 アシュレイはイングリッド様と違って、下っ端の配置など気にするような奴ではない。

 にも関わらず、担当を把握されているということは、かなり深いレベルで疑われていたということだ。


「じゃあ改めて、申し開きはあるかしら? 帝国のスパイさん」


「は、配置を間違えただけでスパイ扱いは……あまりに、話が飛躍しすぎでは……?」


 ははっ、完全にバレてるな。コイツは最初から、俺がボロを出す瞬間を狙ったってわけか。

 ってことは、尻のポケットに隠した――


「これ、起爆スイッチね?」



「……あぁ、そうだ。いつから俺を監視していた?」


 少なくとも、あの爆発が俺の仕業だってのは気付かれていた。

 前々からバレていたのか、そうでなけりゃ――


「ついさっきよ。集会の前、慌てて何処かに行っていたようだから、念のためね。貴方、あの時点で彼女がおしっこ我慢してたの、気付いていたのね。で、なんとか1人で目撃して、脅迫しようとした」


「ははっ……降参だ」


 こんな仕事してりゃ、いつかこんな日が来るとは思っていたが、案外早かったな。


「そうそう、貴方の処遇は博士に預けることになるわ。実験体を欲しがってたから。運が良ければ、怪人として生きていられるわよ?」


「そいつは……どう……も……」


 意識が闇に落ちていく。

 最後にイングリッド様に目を向けると、彼女は何か悍ましいものを見るような表情を俺に向けていた。


 あんたね……俺が何もしなかったら、今頃は衆人環視の中でお漏らしだったんですよ?


 じゃあ、最後に。



 6%、33/552ml(699ml)


 ――ははっ、随分出しましたね。

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