プロローグ
ここは高空から見て、海しか見えない、深い青が広がる綺麗な海原。
こんな海原の上に、ポツンと一軒家みたいな感じで、菱形な黒一点がある。
距離を近くするとやっと分かる、それは巨大な海上都市。
海と比べると、当然小さく見えますが、実際は九州と同じぐらいの面積を有する大きな造物である。
ここは海原臨時政府、この世界最後の人類の領土。
この世界はかつて発展の可能性を極めた、それはあらゆる神話や伝説で謳われた黄金時代よりも繁盛した時代でした。
地球自転発電や人工衛星によるソーラー発電で解決するエネルギー問題。
ナノテクによる体内であらゆる病原微生物を直接消滅する画期的技術で病気も無くなった。
VR、AR、MR、SR等の技術で、食事を取る必要が無くなった、現実で生命維持に必要最低限の栄養素を取れば、仮想の世界で豪華を極める食事やエンターテインメントと堪能することができる、しかも肉体に負担はない。
これで、人類は食料と水の危機が無くなって、病も傷もしなくなり、エネルギーも無限にあるようなユートピアを築き上げた。
全ての人類はこの栄えは永遠に続くと信じていた。
でも、人類は忘れていた、自分はこの広い宇宙の中で、唯一の存在ではないということを。
20年前、宇宙から暴雨のような隕石が降り注いだ。
三ヶ月にも及ぶ期間で、地球総質量の約四分の三の隕石が、全ての文明を滅ぼした。
標高2000メートル以下の陸が全部水没し、生き残った人口も災害前の万分の一以下になった。
それでも人類は立ち直った。
陸が無くなったら自分で作ればいいと言わんばかりに、7年でこの海上都市『海淵』の基本建設を完成させた。
今は都市の中だけを見ると、20年前に人類絶滅レベルの大災害があったと思えない程、この都市は繁盛している。