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2. 水着ワールドへようこそ?

 しばらくしたら目眩は収まった。


 そして、目の前の水着の人々が行き交う様を、しばらくぼーっとベンチで眺めていた。……これは何なのか?

 遅刻は気になるが、それより現状を把握したい。


 可能性はいくつか有りそうだった。自分が何かの原因でパラレルワールドに来たと言うのが一つ。もう一つ、自分の視覚がおかしくなってしまって、妄想が現実に投影されている可能性。そして最後に、自分がまだ寝ている可能性も捨てきれない。


 夢かどうかを確認するのは簡単だった。頬をつねった。普通に痛い。これは夢ではない。もっとも、何度か夢の中で頬をつねって痛がったつもりになったことがあるので、まだ半信半疑だが。


 視覚がおかしい可能性はどうだろう?目の前で弾む、赤いビキニのお姉さんの胸や、おっさんの太鼓腹はとてもリアルに見える。これが幻想だとしたら、自分の想像力は大したものだ。

 とても便利……いや、困る!視線に困ってしまうじゃないか!


 しかし、リアルだから本物とも言えないとなると……確かめる方法は……直接聞いてみるしか?


「あの……」

 目の前の女の人に勇気を出して声をかけた。そして声をかけてから、彼女が青い目をしている事に気付いた。え、外人さん?英語で?


「ど……ドゥユゥ……(ジェスチャー)……(水着を着る?プット?)……プット……スイムウェアァ?」

 いかん、何だコレ。ジェスチャーを混ぜながら聞いてみたが、通じてます?

「はい、着てますけど」

 流暢な日本語だった。笑顔で答えてくれた。その下ではビキニの胸がタプタプ揺れていた。


「あ、そうですか!いえ、何でもないんです!ちょっと気になったもので!ノーマター、ノーマター、サンキュー!」


 笑顔で手を振ると、女の人は怪訝な顔をして去って行った。危なかった。そのビキニの下のウェポンの破壊力は凄まじく、危うくガン見しそうになった。


 落ち着け。息を整えろ自分。ふーふー。

 まあ良い、大丈夫。何ともない、何ともない。


 つまり、彼女が「着てる」と言ったのだから真実だ。彼女は水着を着ていた。オーケー?

 つまり、視覚は正常だ。

 いや、待てよ、聴覚はどうなんだ?「着てます」と言うのが幻聴だったら?

 この聴覚が正しいと言う保証がどこにある?


 ……いや、止めておこう。ちょっと哲学に足を踏み入れそうになった。


 まとめよう。夢の可能性は低い。幻覚である可能性も低い。となると……残された可能性は……パラレルワールド!?そゆこと?


「まもなく三番線に電車が参ります。この電車は折り返し運転となります」

 アナウンスと共に電車がホームにガタゴトと滑り込んで来た。

 ドアが開き、水着の人々がわらわらと降りて、足早に去って行く。


 そして、電車の行き先表示がパタパタと切り替わり、「西梅」行きになった。

 そんな地名はこの路線では聞いた事がない。


 考えた。さっき相田さんにはあった。つまり、会社はあるだろう。そこに行けば何らかの確証や、もしかしたら、前の世界に戻るヒントがあるかもしれない。情報がある。とりあえず会社へ急ごう。


 僕はベンチを立ち、いつもの?……うん、いつもの改札へと向かった。


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― 新着の感想 ―
野郎の水着姿も眺めるとか……いや女性の水着で劣情を抱きそうだったら男のを見れば冷えるからある意味グッジョブなのか(ォィ それはそうとこれはね。 怪訝な顔をされちゃう流れでしょうけど元の世界に帰れるの…
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